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【記事転載元:http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1191301_629.html】
From : ビル・トッテン
Subject : 新型インフル対策
Number : OW898
Date : 2009年12月01日
数年前に鳥インフルエンザが話題になった時、“タミフル”を開発し、その特許を持っているカリフォルニアのギリアド社は、当時国防長官だったラムズフェルドが会長を務めていた会社だということを取り上げた。
(ビル・トッテン)
新型インフル対策
その薬をアメリカ政府が大量に購入したため、ウォール街では「政治銘柄」と呼ばれているが、実はタミフルをどこよりも多く使っている国は日本だという。数年前からタミフルの副作用について言われているにもかかわらず、日本の厚生労働省は「感染の疑い」でも、医師の判断によりタミフルの投与をするようにという通達を都道府県にだしているというのだから、日本が一番の市場となるのも当然であろう。
日本政府は予防接種も、2010年3月末までに約7,700万人分のワクチンを確保するため、購入費として280億円を計上するという。また厚生労働省は新型インフルエンザに関係しこれ以外にもワクチン開発・生産期間を短縮させる費用として1,279億円を要求している。
ワクチンの開発は、その有効性や副作用について長い期間にわたる調査が必要なのではないか。しかし新型インフルエンザに関しては、その発生から短期間にワクチンができ、またタミフルが有効だとされた。投与後の追跡調査もされていないし、副作用についてはすでに危険性は周知の事実でもある。さらに、通年型インフルエンザウイルスでも流行してから変化することもあるのに新型だけが変わらない保証はどこにもない。
今回の新型インフルエンザは、最初から恐怖感を煽る報道で始まった。テロリストのごとく空港の検疫による水際で封じ込めをしようともした。しかし症状は普通の風邪と変わらないし、潜伏期間もあるインフルエンザが防げるはずはない。もちろん新型インフルエンザで亡くなった人もいる。しかしそれよりずっと多くの人が、肺炎や通年型のインフルエンザで死亡している。
日本の国民医療費は34.1兆円(2007年度)で、GDPの約9%を占める巨大産業である。厚生労働省の官僚、厚生族議員、そしてメーカーや病院、医師会、またその広告によって利益を得ているメディアなど大きな利権が存在するのだ。弱毒性であっても製薬メーカーだけでなく政府やメディアが過剰な反応をするのはそのためであり、タミフルを販売するスイスの製薬会社では2009年の「タミフル」売上高見通しは27億スイスフラン (2,460億円)だという。
「医は仁術」という言葉がある。人々に恐怖を煽って予防注射や薬を押し付けるのではなく、十分な休息と睡眠をとり、身体を動かし、太陽にあたり、野菜や果物を中心とした食生活をすることを教えることが医療倫理ではないのだろか。GDPの成長にはほとんど貢献しないが、少なくとも私は、それが一番の新型インフルエンザ対策だと思っている。