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(回答先: トヨタが米で大規模リコール…230万台 投稿者 gikou89 日時 2010 年 1 月 22 日 14:43:33)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100120-00000002-voice-pol
◇“日本だけがマーケット”の企業は時代遅れ◇
リーマン・ショック後、企業のかたち、雇用のかたちが大きな変化を遂げていることは誰の目にも明らかだろう。ならばこれから10年後、企業の在り方、社員の働き方はどのように変わっていくのだろうか。
まず予想できるのは、おそらく上場企業において、日本だけをマーケットにしている企業、さらにはそれを前提にした企業組織はかなり時代遅れのものになっている可能性がある、ということだ。
今後、日本はますます少子高齢化が進んでいく。仮に人口減を止められたとしても、新興国を中心として世界の人口は増加の一途をたどり、GDP比率は下がっていくだろう。そうなれば当然、国内マーケットだけを相手にしている組織は成長が難しくなる。
もちろん、世の中には外に出ていける業種、あるいは出ていけない業種がある。海外進出ができない業種はそれなりの対応を考えなければいけないが、私がいいたいのは国内マーケットがどんどん廃れ、ダメになっていく、ということではない。日本は巨大な経済圏で、そのなかで極端に仕事が減る、仕事の質が大きく下がる、ということはないだろう。円ベースのコストはあまり変わらないから、同じような仕事が行なわれ、それに対して需要もある、という状態がこれからも続くように思う。
業種によっては変化しないほうが、その強みが生かされるかもしれない。たとえば下手に日本料理屋がグローバル化すると、為替の影響を受けて材料の輸入ができなくなってしまう。それよりは地域で直接農家と契約し、食材を押さえておくほうが安定するだろう。
ただし、仕事をたくさん集めて利益を出し、税金を納めて株主に分配することが企業の本質であるならば、上場企業においてはやはり、これまでとはルールが変わってくる。たとえ国内で売り上げを維持できたとしても、上場企業の場合、株主は世界中に存在している。日本のなかでは調子がよい、という話は関係がなくなってくるだろう。株主に対するリターンを考えても成長分野に入っていく必要があり、それはすなわち日本の外である。
そうなった場合、その組織がすべて日本にあり、経営陣も日本人が占めている、という状況はありえない。会社がグローバルな戦略を考えるとき、グローバルな人材が必要とされるのは当然である。極端にいえば、そのヘッドクォーター(本社)が東京にある必要すらないのかもしれない。税率一つとってみても、PER(株価収益率)は株式時価総額を税引き後の最終利益で割った倍数だから、法人税が安いところのほうがいい、という判断になってしかるべきだろう。
そのような判断を行なう業種は、これから多岐にわたるように思う。猛スピードで海外移転を進めている製造業はもちろん、ビジネスのほとんどを日本の外で行なっている海運業、さらには一般的には「内需系企業」と呼ばれている企業もまた、大胆な海外展開を行なうことが十分に予想される。
また、ヘッドクォーターの場所や経営陣だけがグローバル化しても、グローバルなビジネスを行なうことはできない。10年後の日本企業では、中間管理職から一般社員に至るまで、さまざまな部署に外国人がいて、外国語でのコミュニケーションが当たり前のものになっていることだろう。
これまで日本人だけで回していた組織に新しい血が入ってくるわけで、そのような状況下、日本独自のかたちといわれた制度もまた、大きな変遷を迎えるにちがいない。
そもそも中国やインドなど、海外でビジネスを展開しようとするならば、それぞれの地域にあるルールに従わなければならないのは当然である。いちばん分かりやすいのは法律で、日本企業が外国に進出したとき、日本の法律に則ってビジネスができると考える人はいない。法律に由来するような人事制度もマーケットに与えられているフレームワークの一つであって、そこに無理やり日本流のものをもってくるのはナンセンスである。各地において各地のやり方を採用していくことになるだろう。
しかしそれをもってして、わが社は変わってしまった、純粋な日本企業ではなくなってしまった、と考えること自体、意味のないことではないだろうか。例えるなら、アメリカでビジネスをしたいなら、円ではなくドルを使わなければいけない、ということと同じ考え方が求められているのだ。
◇「変化」があってこそリターンが生まれる◇
そのように日本企業が大きくそのかたちを変えようとするとき、社員の働き方はどのように変化を遂げていくのだろうか。
日本企業が「変化する」という選択肢をとって、積極的な海外展開を推し進めたとしても、日本国内における仕事が完全になくなってしまうわけではない。そういう意味では、その変化に無理に付いていく必要はない、ともいえるだろう。
しかしながら、さまざまな意味における「リターン」とは通常、変化する場所に生まれるものである。自分が変化する戦略に使われるか、あるいは変化しない戦略に使われるのかを考えれば、おそらく変化戦略に使われるほうが、一般論でいえばその本人にとってリターンは大きい。
したがって、そのような変化戦略に起用してもらえるよう自らをまた変化させていくことが、個人における働き方の一つになる。一例を挙げるなら、いま、中国語が話せることは、企業の変化戦略に使われる非常に重要な要素になる。それを学ぶことがそのまま、個人の働き方に直結するのだ。
さらには言葉だけではなく、物事が変化していくとき、必要になってくるものはたくさんある。それはテクノロジーであったり、新しい価値観であったりするかもしれない。たとえばいま世界で成長している企業はどのような戦略をとっているのかを理解している人、していない人のあいだでは、変化戦略に起用される、されないときに大きな差が出てくるだろう。
一方で少し気になるのは、若者たちがそのような「変化」を望まず、むしろ保守的な思考を強めていることだ。その大きな要因は、国がリターンを上げるというゴール・セッティングを見せていないことにある。過日、民主党政権は「デフレ宣言」を行なったが、デフレだからこのような戦略をとって、名目GDPを増やしていく、という具体的なビジョンは示されなかった。すべてが右肩下がりになっていくというムードのなかで、「変化」といっている会社よりも、昨日もあるし、明日もある会社のほうがよい、という安定志向に若者がなびくのは、ある意味で仕方がないことだろう。
これから右肩上がりにする、といわれれば、人は固定よりも変動、安定よりも変化を選ぶ。そこから成長が生じ、リターンを得ることができる。そのようなゴール・セッティングをどうやって示すのか、それが個人の働き方にまで影響を及ぼすことを、為政者は忘れてはならない。
◇わが、右肩上がりのビジョン◇
それはまた、経営においても同じことである。当社はいま創業10年だが、最初の5年間は大きな追い風が吹いていた。小泉・竹中改革によって「貯蓄から投資」が謳われ、そのなかで帆を広げ、どれだけ先へ進めるかがテーマだった。後半の5年間はライブドア・ショックなどで金融改革の流れが停滞した。水平飛行に入っているので、今回オリックス証券との合併を決断したように、規模を取ってコストを下げることが選択肢の一つとなる。業界再編を進めたうえで、先に述べたような積極的な海外展開を進めていきたい。
たとえば、成長著しい中国にマネックスチャイナ、さらにはマネックスインド、2019年にはオリンピック後のブラジルにマネックスブラジルを設立。世界人口の約半分をカバーするグローバルな金融グループに向けて歩を進めたい。同時にそのような世界展開に見合うよう、斬新な商品を開発する。リーマン・ショックによって非難の槍玉に挙げられたが、金融工学は日々確実な進歩を遂げている。その進歩を最大限に活用し、当社が手掛ける「カブロボファンド」をさらに進化させたような、集合知を生かした資産運用をめざしたい。
テクノロジーの部分でも、キーボードとモニターではなくホログラムで投影された3Dエージェントによって取引ができる「VSA(バーチャル・セールスエージェント)」を開始、さらには、東アジアを中心にした新しい基軸通貨構想に参加し、それをベースにした商品を世界で初めて販売――。
現時点において、これらはまだまだ「遠い夢」である。しかしすべては「夢」を見て、それに向けて「変化」することから始まる。「変化」こそ成長の源。そう思っているからこそ、自ら変化戦略を貫きたい。
そのような右肩上がりのビジョンを経営者が打ち出し、それに向けて日本企業が大いなる変化戦略をとっていくなかで、これから10年後、いまとは様相の異なる新しい日本企業が生まれているのではないだろうか。