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慰めにすらならない「一人あたり」の経済水準の高さ(Klugview)
2010/01/21 (木) 17:36
1月21日に発表された中国の09年の名目GDPは、33兆5353億元(約460兆円)と、前年(08年)から11.5%増加しました。日本の09年の名目GDPは、まだ発表されていませんが、470兆円を少し上回る程度と思われます。つまり、09年時点で日本と中国の名目GDP差は、10兆円程度といえます。
2010年の日本の名目経済成長率は、デフレの影響もあって、±ゼロ%程度を見込むのがせいぜいで、楽観的に考えても1%に迫ることは考えにくいでしょう。このため、2010年の日本の名目GDPは、470兆円前後が見込まれます。
一方、中国は、インフレ懸念があるくらいですし、中国政府による巨額の景気対策の恩恵もあり、少なく見積もっても10%程度の伸びは確保しそうです。よって、2010年の中国の名目GDPは、506兆円(=460×110%)が見込まれます。つまり、2010年には、中国の名目GDPは、日本のそれを上回ることになり、中国が世界第二位の経済大国となるわけです。
2010年には、中国の名目GDPが日本を上回る可能性があることは、2008年くらいから、すでに指摘されていたことでした。日本と中国の成長率格差やインフレ格差を考えれば、こうした見通しは、特に異論があるわけでもなく、2009年の結果をもって2010年の見通しを考えたところで、それは過去の見通しとなんら変わることがない、特に興味深いものではありません。
しかし、新聞を中心とするマスメディアは、2009年の名目GDP2010年には中国が日本を抜き、世界第二位の経済大国になる、という(確度の高い)予想を大きく取り上げています。日本の名目GDPが世界第二位になったのは1968年、今から42年前のことですから、日本に住む多くの方にとって、「日本が世界第二位の経済大国」というのは、変わりようがない事実、だからかもしれません。
興味深いのは、マスメディアの中には、2010年には中国が世界第二位の経済大国になる、という事実を報じる一方で、中国の一人あたり名目GDPは、日本の10%未満で、生活水準は、(まだまだ)日本の方が高い、といった内容も報じていることです。中国は日本の10倍以上の人口を有しているのですから、中国の名目GDPが、日本を追い抜いたとしても、一人あたり名目GDPが日本を大きく下回るのは、ちょっと考えれば分かることです。
こうした記事を目にするたびに懸念されることは、日本の経済成長が鈍化していることもあって、経済水準の評価を国全体ではなく一人あたりの尺度で考えようとする風潮がでてきたことです。日本は少子高齢化で人口減少が確実視されているから、経済水準を国全体で評価せず、一人あたりで考えたほうが公平だ、ということかもしれません。
ただ、規模の経済、という言葉があるように、一人あたりの経済水準は、一国全体の経済活動がもとになって事後的に決まるものです。一人あたりの経済水準で他国を上回ったところで、一国全体の経済水準が低い場合、経済大国のやり方を続けていれば、いずれ一人あたりの経済水準も相対的に低下するでしょう。
一国全体の経済水準が小さくても一人あたりの経済水準が高い国は、原油など天然資源に恵まれていたり、税制などを駆使して特定産業の活性化を図るなど、経済大国とは違う経済政策を実施しています。
仮に日本が、国全体の経済水準ではなく、一人あたりの経済水準を政策目標にするならば、日本も経済「小国」として、他国を参考に経済政策を劇的に変更する必要があるでしょう。しかし、残念ながら、現在の日本の状況をみると、こうした劇的な変更は期待できません。このため、一人あたりの経済水準をターゲットとすることが懸念されるのです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日本が世界第二位の経済大国になったのはいつ?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1968年
http://www.gci-klug.jp/klugview/2010/01/21/008107.php