| Tweet |
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2010/20100101_1261963858.html
2010年を迎えて(年頭所感)2010年のニュース一覧
2010年1月 1日 掲載
日本労働組合総連合会
会長 古賀伸明
明けましておめでとうございます。
昨年は大きな変化の一年でした。市場原理主義的な価値観から、公正や連帯を重んじる価値観へと大きく舵を切る時だと、パラダイムの転換を訴えて年が明けました。格差が拡大し貧困層が増大する中で、多くの国民のあいだにも自民党中心の長期政権が生んだ社会の歪から変化を求める機運が高まりました。
そして、夏の衆議院選挙で民主党が圧勝して鳩山政権が発足しました。戦後の一時期を除けば、ほぼ60年ぶりの政権交代であり、有権者の投票行動が政治を変革に導いた、まさに日本の民主主義にとって歴史的・画期的な出来事でした。この“変革＝チェンジ”を求めるエネルギーは、世界各国を席巻した市場原理主義・新自由主義的な経済・社会運営が限界に至り、金融資本主義の暴走と破綻を目の当たりにする中で、主権者として、市場の論理が社会と生活を支配するのではなく、「連帯と相互の支えあい」という協力原理が活かされるぬくもりのある社会に転換させよう、という欲求の発露だと考えます。そのマグマは「生活者が第一」「地域主権の推進」「官僚依存から政治主導」を柱とする民主党の政権構想への共感となり、歴史的な政権交代を実現しました。
政権交代から３ヶ月余り、鳩山政権では政策決定の過程がオープンになり、新しい政治スタイルを確立しようとする姿勢は大いに評価出来るところです。
その上で、政府には、初の予算編成となる2010年度予算案等を通じて、「生活者第一」を実感できる具体策を提示することが求められています。同時に、個々の政策や財源問題も当然重要ですが、持続可能な日本社会の実現にむけたグランドデザイン、加えて、中長期的な成長戦略を早期に構築し、社会・経済構造の改革を大胆に推進することを期待するところです。
2010年の連合の重要な取り組みの一つは、「生活者」「働く者」の立場を重視する鳩山政権と密接な連携を図りながら「政策・制度 要求と提言」を実現させるために全力を注ぐことです。
《パラダイム・シフト》は、私たち連合自身にも求められています。
結成20周年を迎えた昨年10月の定期大会で「すべての働く者の連帯で、希望と安心の社会を築こう！」のスローガンを掲げました。連合は、社会全体に広がる「格差」を是正し、すべての働く者の雇用と生活を維持し、安心の未来を築くことを運動の柱に据えたのです。結成20周年プロジェクト報告は“連合は、「働く」ことの価値が共有化され、「労働の尊厳」が尊重される社会、働き暮らす人々が主人公で、その「幸せ」に最大の価値をおく社会の創造をめざす"と提起しています。私たちは、「連帯・公正・規律・育成・包摂」という理念のもとに、日本社会の再構築＝パラダイム・シフトを実現したいと思います。
しかし、そこに至る途は決して平坦ではありません。小泉・竹中改革路線を通じて日本社会には既に「亀裂」が生じています。また、直近の、デフレ・円高・株安の影響もあり、雇用・労働環境は厳しさを増しているのが実態です。
先般発表された労働組合推定組織率(2009/6現在)は、18.5％と34年ぶりに前年比0.4ポイント増加、連合加盟組合員も7万人強増加して683万人になりました。この間の地道な取り組みの成果ではありますが、一方で雇用労働者は110万人も減少(5565万人→5455万人)しました。2008年末以降の非正規労働者の雇い止めなど、この間の深刻な雇用情勢を反映したものです。
私たちは、生活と雇用不安に晒されているすべての働く者と手を携えて、職場で組合作りをすすめ、集団的労使関係の再構築と働く者の権利擁護のために、さらに運動を強化していかなければなりません。そして、「700万人連合」を早期に回復させ、労働運動の社会的役割・機能を一層発揮する必要があります。
他方で、完全失業者数は344万人(2009/10現在)で前年比89万人増、完全失業率も5.1％と高水準で推移し、失業者総数はこの１年間で急増しています。 連合は、働く者の将来不安を払拭するために、雇用の維持・確保、就労支援対策の恒久化、貧困・困窮者支援の継続など、すべての働く者を対象にした“雇用のセーフティネット”の充実、及び、医療・年金・介護などの“社会的セーフティネット”の再構築など「安心」の仕組みを創造していきます。
まさに、「雇用」「男女」「地域」「世代」など日本全体に拡大した「格差」を是正することが急務です。そのためには、積極的雇用労働政策をベースに、重層的なセーフティネットや「ディーセントワーク」を実現し、基盤とした持続可能な日本社会にむけた成長戦略を軌道に乗せること、そして「中間層」を復活させることこそ、日本が中期的にめざすべき社会像でしょう。
更には、2010春季生活闘争への取り組み、核拡散防止条約再検討会議(５月)の成功、参議院選挙(７月)の勝利、ワークライフバランス社会の実現、低炭素社会づくりの展望や国際労働運動への参画など、労働運動の役割・機能がますます問われる中、連合はナショナルセンターの役割と責任を自覚し《すべての働く者の連帯で希望と安心の社会を構築する》ために力強く行動を展開します。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,ＭＬを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。