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第3593回
これだけ不景気と円高が続く気配を見せると、
日本国内でお金の運用をする対象が激減するのと、
将来、政府がお金に困って増税の対策になるのを嫌って、
お金が眞先に日本から逃げ出します。
自分とは関係ないと思うかも知れませんが、
気がついたら外国に行ったこともない人が
外国の株や投信に投資したり、
外国の国債を買ったりするようになっています。
その動きが今までに考えられなかった
大きな動きになっているのです。
それについで、日本企業が海外に工場を移したり、
うっかりすると本社ごと海外に移したり、
新しく設立する動きも盛んになります。
こちらの動きは毎日の新聞のニュースとして報道されますので、
いやでも目につきます。
一頃、海外でも思うような業績があげられないから、
海外はやめて日本の地方に戻すのだという動きもありましたが、
それは日本が世界の工場として
きわめて不利な立場になりつつあることが
まだはっきり認識されていない時のことでした。
日本国内で円建てで物をつくることの難しさに加えて
不況の長期化によって国内消費の萎縮が定着すると、
経営者は日本国内で生産をすることに自信を失ってしまいます。
従って新しい工場は将来の市場がどこになるか
ということも考慮に入れて海外に移すことが益々多くなります。
その次は人の動きになります。
お金と事業が国外に動くようになっても、
日本人は動くことに馴れていない植物的人間ですから、
大半の人がお金と事業について行こうとしないでしょう。
多分、ごく僅かのお金と
事業に関心の強い若い人がお金と事業の後を追って
海外に動くことになります。
私のところにはそういう若い、
元気のよい日本人がたくさんいますが、
日本国中から見たらまだほんの一握りの人です。
次の日本の産業地図は日本の領土とは
重なり合わない展開になるのです。
そうした動きが日本人の実力を決定する時代が
近づきつつあると私は見ています。