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(回答先: 長谷川洋三の産業ウォッチ/大和総研理事長の景気診断:回復の基本は外需主導だ 投稿者 gikou89 日時 2009 年 12 月 29 日 13:00:27)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/091228/mcb0912280504008-n1.htm
世界的に金融危機から回復する兆しが見えてきた。景気は後退局面から抜け出し、消費者は自信を取り戻し始めている。各国中央銀行が救済措置として実施していた債権の流動化や量的緩和は終わりを告げそうだ。
このような明るい兆しが見られる一方で、地下ではいまだにリスクという名のゾンビがうごめいている。ここでそのリスクの可能性を洗い出してみたい。
政府による企業救済は、リスクが民間銀行から国家財政へ転嫁されたことを意味する。リスクが増加すると通常は債券の格付けが低下し、借入費用が上昇する。しかし、中央銀行は自国の国債を買い続け、民間銀行はバランスシートの修正に余念がない。
格付け会社の責務
債券市場が警鐘を鳴らせないのなら、リスクを伝えるのは格付け会社だ。ギリシャの格付けが引き下げられ、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)もスペイン国債の見通しをネガティブに転じた。もっとランクの高い大国が格付けを下げることもあり得る。
投資家は、債務担保証券やストラクチャード・ファイナンス以外でも急激な格付けの下落が起こることを思い知らされるかもしれない。悪化した米国と英国の経済は「AAA格付けの限界を試す」ことになるだろうと米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは予想する。米国、英国国債10年物の利率はそれぞれ3.4%と3.7%だが、賢い投資とは言い切れない
米投資顧問会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)は、金融危機後の世界経済はこれまでとは違った形になる、という意味を込めて「ニューノーマル」という言葉を使用した。バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチでも2010年見通し研究報告書に「ニューノーマル」という言葉を用いている。
しかしながら、借り入れを促進して経済を活性化させようとする米国や欧州などの低金利政策は、とてもノーマルとはいえない。このままでは「これまでと同じ」ようにブーム・バスト(バブルと破綻(はたん))、つまりバブル、巨大インフレの再発をたどってしまうかもしれない。
財政赤字に端を発してギリシャ国債が急落したが、ドイツ連邦銀行は「国際通貨基金(IMF)の支援は不要」との見解を表明した。それでもなお、メンバー国の償還トラブルに対してユーロ各国が支援を行うと信じているのなら、そしてギリシャが財務を立て直せると信じているならギリシャ国債は買いだろう。しかし、ユーロの傘を期待してはいけない。ユーロ圏には連帯保証制度などない。仮にデフォルト(債務不履行)となって壊滅的な状況に陥っても、財政の立て直しができない政府を救済する国などない。
絶好の機会逃す
金融当局は、異なる種類の債券をひとつのパッケージにまとめて切り売りする証券化市場の透明化を推進する絶好の機会を逃してしまったようだ。
サブプライム危機によって債務担保証券に付けられた「AAA」の格付けが誤りである可能性が露見し、その後数カ月は中央銀行だけが問題の債券を購入していた。
この期に、最後の貸し手である連邦準備銀行、欧州中央銀行(ECB)および英中銀イングランド銀行は資金提供を行った銀行に、証券化されたすべての個人ローンについて詳細を明らかにするよう求めることができたはずだ。
市場を健全化させることが可能だったのに、実際は利益に飢えた投資家が懲りもせず、詳細を確かめないままに債券を購入している。しかしまだ遅すぎることはない。中央銀行が証券化ゲームを終わらせたいと思っているのなら今すぐ行動を起こすべきだ。
納税者が世界的な金融システムの債務を負うことになった今、銀行関係者は巨額のボーナスが出ないのは不公平だなどと嘆いている場合ではない。納税者の怒りを買うだけだ。
銀行は黙って薬を飲み込まなければ、さらに自分の首を絞めることになりかねない。英国政府は4万ドル(約365万円)を超える銀行員のボーナスに50%の特別税をかけると発表している。たとえこのような方策を拒否しても、政府は報復の機会をうかがっており、銀行がたやすいターゲットであるという根本的な事実を変えることはできない。これ以上深みにはまっている場合ではない。(コラムニスト Mark Gilbert)
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Mark Gilbertはブルームバーグ・ニュースのロンドン支局長でコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。