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http://jin-i.com/yumegen/back-issues/20080317/6
【1】はじめに
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みなさま、
ゆめげんメールマガジン第6号をお送りいたします。
先日、『The Big Issue』誌の785号(3月3−9日号)(注)を読んでいたら
ハーブやアロマセラピー、フラワーエッセンス、レメディなどを製造・
販売し、日本でも注目されているニールズヤードレメディーズの
創始者ロミー・フレイザーの記事が載っていました。
記事のタイトルは、『Commercial Values(商業価値)』。
これまで会社の目的は、
企業活動で利益をあげ、会社として永続していくこと(=営利企業)
とされていました。
でも、過度に利益を追求してきたあまり、そのしわ寄せは
食の安全や環境問題など、私たちの生活を具体的かつ可視的に
脅かすようになってきました。
いまや、
利益を追求することだけが目的の『企業の時代』は終わりました。
企業価値(ブランド)を、私たちの健康や身近な環境問題、
フェア・トレードという倫理的な課題(ethical concerns)
に置きながらも確実に利益をあげていく。
そして、企業メッセージが商品をとおして社会にじわじわと浸透していき、
私たちの行動までも ethical(倫理的)なものに変わっていく。
しかも、このような新しい商業価値は、
都会の高層ビルの会議室から生まれているのではなく、
家族との時間を大切にしながら、また子育てをしながら、
仕事と家庭の生活のバランスをとりつつ、自宅から発信されている。
そんな女性起業家たちを紹介している記事でした。
さて、今回のテーマは
「イギリスやヨーロッパにおけるホメオパシー事情概略」です。
ニールズヤードレメディーズが生まれたイギリスや
ヨーロッパのホメオパシー事情についてお話しいたします。
ご一読いただければ幸いです。
(注)『The Big Issue』誌は1991年にロンドンで生まれたホームレスの人の救済
(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業です。
記事の内容の斬新さ、おもしろさで販売数を伸ばしている雑誌です。
日本でも2003年9月に創刊されています。
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【2】今月のテーマ: ホメオパシー
(第2回:イギリスやヨーロッパにおけるホメオパシー事情概略)
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■ イギリスのホメオパシー
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前号でイギリスのホメオパシーの歴史について少し触れましたが、
イギリスでホメオパシーが使われ始めたのは、
19世紀、ウィリアム4世とアデレイド王妃の時代に
イタリアでホメオパシーを知ったフレデリック・クウィン医師が
王室に紹介し、それ以降王室が愛用したことで
イギリスに広まっていったそうです。
現在、全人口の10人に1人がホメオパシーを利用しており、
人々の間でのホメオパシー人気は益々高くなっています。
イギリスのホメオパシーの市場規模は約78億円ですが、
2012年には約94億円に拡大すると見込まれています。
ちなみに近代史的にイギリスと関係の深いインドでは、
元々アーユルヴェーダ(インドの伝統医療)が盛んだったため、
ホメオパシーも同様に医療と認められて、広く使われています。
ホメオパシー専門の医科大学があり、ホメオパスは10万人以上もいます。
特に、今、ブームが起こっているそうで、
約1億人がホメオパシーの治療のみを受けているそうです。
● レメディ処方の方法
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レメディの処方の方法は大きく2つに分かれています。
1種類のレメディを処方するのを『クラシカル・ホメオパシー派』、
コンビネーション・レメディ(複数のレメディを混ぜて作る)
を処方するのを『コンプレックス・ホメオパシー派』と呼んでいます。
イギリスでは、クラシカル・ホメオパシー派が主流です。
レメディは200種類以上あり濃度も様々なので
専門家による処方が望ましいとされています。
一方で、身近な症状には「セルフケア・レメディ」と呼ばれる
家庭の常備薬として使用できるものもあります。
そういったレメディは、イギリスでは薬局、健康食品店などの
店頭で売られていて、処方箋なしで誰でも気軽に購入できます。
風邪の諸症状、消化不良やお腹の張った感じ、
下痢、便秘、更年期障害、花粉症、切り傷や打ち身、
イライラやショックなどに効くレメディが売られています。
日本では、腹痛の正露丸、風邪の葛根湯など漢方を
気軽に購入して常備しているご家庭もありますよね。
それに似ていますね。
イギリスには5つの公的なホメオパシー病院があり
(イギリスでは公立=王立)、
私が勉強しているホメオパシー病院も王立です。
ホメオパシー病院だけでなく、家庭医(GP)もホメオパシーを処方でき、
国民健康保険(NHS)によって無料で治療を受けることができますし、
街の薬局ではほとんどの店がレメディを店頭に並べているので、
病院からの処方箋を持っていけば簡単に購入できます。
● 医療制度改革の影響
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一方で、近年、イギリスでは医療制度改革が進められています。
NHS病院の統廃合が進み、小さな病院は大きな病院に合併され、
地方では家から病院までの距離が長くなって心配する声もあがっています。
(日本と似ていますね)。
そして、ホメオパシーもこのNHSの医療費削減政策の対象になっており、
西ケント州ではホメオパシー治療の有料化がはじまりました。
イギリスにはホメオパシーの専門家は約2600人、
民間のホメオパスは約1万人います。
専門家になるための資格を得るためには、
大学のホメオパシー学科やホメオパシー専門学校で
3年間学ぶ必要があります。
また、医師、歯科医師、看護師、獣医師、薬剤師には
それぞれ専門のトレーニングコースがあり、
専門資格は4段階(LFHom, MFHom, Specialist, FFHom)に
分かれており、全ての医師に治療資格があります。
ホメオパシーの専門家の診察を受けたい場合は、
NHSともプライベートのクリニックも電話予約をしてから診察に行きます。
NHSではホームページにホメオパシーの専門家のいる病院を掲載していて、
自分の郵便番号を入力して検索すると、最寄の病院を探すことができる
便利なサービスがあります。
■ 他ヨーロッパ諸国のホメオパシー
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ホメオパシーの祖であるハーネマンの生誕地であるドイツでは
医師の約7割以上ががホメオパシーを処方しており、人々の間でも
約7割以上が実際にホメオパシーを使っているそうです。
医師資格保持者で大学院レベルでホメオパシーを3年間勉強した者には
ホメオパシー医師の資格が与えられます。
また、国家資格として認定された療法士、ハイルプラクティカーも
ホメオパシーのレメディを処方できます。
そして、医師やハイルプラクティカーが処方するレメディにはすべて
保険が適用されます。
フランスはハーネマンが晩年を過ごしながら治療をおこなった場所で、
コンプレックス派のホメオパシーが主流です。
人口の約半分の人々がホメオパシーを利用しています。
ただ、フランスではレメディの処方は医師に限られています。
ちなみにフランスは、世界最大のホメオパシー製剤生産国でもあります。
(例:ボワロン、ドリソス、レーニンなどの製薬会社)
他のヨーロッパ諸国(ギリシャ、イタリア、スペイン、オランダなど)
においてもホメオパシーは広く親しまれていてるそうです。
このようにそれぞれの国で、専門家のトレーニング方法が異なっていたり、
ホメオパシー治療のできる資格がそれぞれであったり、
各国の事情は様々です。
ホメオパシーの使用については、
医学とホメオパシーの両方を学んだ者が治療すべきという意見と、
カウンセリングが大切なので必ずしもそうでなくても良いという意見があり、
こういったトレーニング、資格についての統一化が、
今後進められていくようです。
ヨーロッパではすでにEUの統合が進む中で
それを統一しようとする動きがあるようです。
いずれにしてもホメオパシーの目的は、
患者さんの症状を取り治療することですから、
その目標からぶれないように
統一化が進んでいくことを願っています。
(くに)
次回につづく・・・
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【3】ゆめげんドア
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今月のテーマについて更に詳しく知りたい方は、
次の本やウェブサイトをご参考にしてください。
ニールズヤードレメディーズ http://www.nealsyard.co.jp/
クリーンライフ http://cleanlife.com/aromatherapy/comp/e_oil.htm
ヤーパンヘール http://www.japan-heel.com/
マリエン薬局 http://www.marienremedy.com/
■ 服部伸(著)『ドイツ「素人医師」団』(講談社選書メチエ)
ドイツのホメオパシーが、近代医学とぶつかり合いながらも、
現代に再び見直されるまでの発展史を描いています。
ホメオパシーの現代的意義を理解するのに適しています。
■ 日本でレメディを購入できる主なお店
・ニールズヤードレメディーズ: http://www.nealsyard.co.jp/
・クリーンライフ: http://cleanlife.com/aromatherapy/comp/e_oil.htm
・ヤーパンヘール: http://www.japan-heel.com/
・マリエン薬局・ http://www.marienremedy.com/
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● 編集後記:『Commercial Values(商業価値)』
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ゆめげんクリニック・プロジェクトのメールマガジン第6号は
いかがでしたでしょうか。
「はじめに」で少し触れた『Commercial Values(商業価値)』は
今、イギリスのビジネス界、経営学でも大きな議論になっている
話題のひとつです。
商品やサービスの量や豪華さだけによって自分たちの生活が
本当に豊かになるのだろうか・・・
そのような表層的なことに価値をおいても、結局その行き着く先は、
自分たちの食の安全を脅かしたり、環境を破壊したり、
その最終的なつけは自分たちの生きる時代はもちろんのこと、
子どもたちの生きる将来までも悪影響を与えている・・・
私たちの暮らしの豊かさの「本質」についてもっと考えなければ・・・
そんな気持ちを私たちは共有しはじめているのではないでしょうか。
そういう「真の豊かさへの疑問」から生まれるビジネスのアイデアは、
具体的な生活、暮らしの中から生まれてくる、というのも
考えてみると当たり前のことで、
それは近年の情報通信技術の発展とリンクして、
「男性、都会+オフィスビル発、スーツ、利益中心」から
「女性、地方+自宅発、普段着、価値中心」へと
ビジネス・スタイルが変化していることと呼応しているのかもしれません。
また、
『部分部分の最適化は必ずしも全体の最適化にはならない』
ということを言われます。
企業の商業価値も、個々の企業の利益最大化を目指すだけでは
不十分で、企業活動を可能にしている社会や環境の基盤の維持
発展に配慮できた企業こそが、社会の中で生かされることを
許される時代になってきたのではないかと思います。
さて、次号ですが、4月7日にホメオパシーシリーズの最終回として
『日本におけるホメオパシーとゆめげんクリニック』をお送りします。
次回もどうぞお楽しみに!
(よし)
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