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【凍える就活 内定率急落の現場】(3)内定率9割の秘密【産経】
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091216/biz0912162252043-n1.htm
2009.12.16 22:51
11月25日、高校3年生を対象に行われた就職面接会。
緊張した様子で順番を待つ=山形市の山形国際ホテル すでに約9割の生徒が内定を決めている高校が岩手県にある。
就職を希望する高校3年生の全国平均の内定率が55・2%(10月末現在)と沈み込んでいる中では、驚異的な内定率だ。
創立96年の伝統校、岩手県立盛岡商業高校(盛岡市)。
師走に入って馬上(まがみ)達幸校長(60)が壇上から、3年生に呼びかける光景があった。
「厳しい就職戦線だったね。でも、これからが大切。社会に出てからどう勉強するのか。それが今後の君たちを形成することになるんだよ」
同校の就職希望の生徒124人のうち110人がすでに内定を獲得した。
多くの生徒が内定を決めた後も、社会人としての心構えなど指導は続く。
馬上校長は32年間銀行で人事担当などを勤めた後、民間人校長として6年前に転職。
盛岡商業には3年前に赴任した。
生徒の職業観や倫理観を育てるキャリア教育をスタートさせ、昨年までの2年間「就職内定率100%」を達成している。
生徒は2年生までに職場体験などを通じてキャリア意識を高め、3年生の4月から実践的な面接指導を徹底される。
馬上校長も、自ら面接指導にあたる。
■ ■
盛岡商業3年の神崎正さん(17)=仮名=は東北では抜群の人気を持つ、東北電力への就職が決まった。
担任の指導もあり1年生の時からスキルアップにはげんできた。
簿記、情報処理、ワープロ、電卓…。さまざまな資格の1級を取得している。
バレーボール部でも中心選手として活躍してきた神崎さんだが、「人前に出ると緊張してしゃべれなくなる」のが悩み。
3年生の夏から進路指導の教師や馬上校長の面接指導を10回以上受けた。
「ドアをノックするところから何回も練習した。本番では緊張したけど、自然に動けた」
求人が激減する中、同校では1年生から県外企業を含むさまざまな職種に目を向けさせている。
生徒が共倒れにならないよう、複数企業の受験は原則禁止。
7月下旬から校内選考を行い、それぞれの生徒が受ける企業を決める。
その過程は実社会を知らない高校生に厳しい現実を突きつけることにもなる。
「『自己理解』や『個性の尊重』など教育現場には美しい言葉が多い。
しかし、本校では競争の激しい社会の現状を伝え、『社会理解』を深めることを重視している」と馬上校長。
父親と2人暮らしの神崎さんは春から県外に勤務する予定だ。
「父を一人にするのは不安。でも、『おまえならできる』といつも励ましてくれた父のため、早く一人前になりたい」
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やはり岩手県一関市の県立千厩(せんまや)高校も、すでに92%の生徒が就職を決めている。
厳しい就職戦線を見越し、同校では今春から生徒の就職支援を専門に行う就職支援相談補助員を1人採用している。
補助員は大手電機メーカーの元社員。就職希望の生徒から特技や希望職種を聞き取り、1人ひとりに合わせた求人を探す。
今年は6月から補助員と教師8人が手分けをして県外の企業60社を回り、求人開拓にあたった。
浅沼孝夫副校長(53)は「今年は例年になく、首都圏のサービス業などの競争率が高かった。大学生も交えた厳しい状況で高校生がはじき出されることも多かった」と振り返る。
「それでも、生徒をフリーターや派遣にしないように必死にやっている。新卒で就職しなければ、正社員への道がほとんど閉ざされてしまうからです」。熱い思いが、就職戦線の厚い氷を打ち砕く原動力となっている。