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(回答先: 特会めぐり財務省を批判=「主計局長のクビを切れ」−亀井金融相 投稿者 gikou89 日時 2009 年 12 月 19 日 04:49:37)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13016620091218
[東京 18日 ロイター] 日銀は18日の金融政策決定会合で、「物価安定の理解」の明確化を打ち出して、デフレ脱却が重要との姿勢をあらためて示した。また、声明の中で円高リスクにも言及し、この2つを日銀が重視していることを明確にした。
こうした中で2010年の日本経済にとって、円高とデフレが大きなリスク要因であるとの見方が日銀ウォッチャーの間で浮上しつつある。2010年に日銀が取りうる政策は何か、そのシナリオを探った。
<円高とデフレ、日銀声明文でも警戒感強める>
外為市場では、ユーロにギリシャなど欧州の財政赤字国に対する信認問題やドバイ債務問題などが発生する一方、ドルには基軸通貨としての信認問題がくすぶり続けている。JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は、日銀声明との関連で「ショックがあると円高になりやすい。円高がもう一段進むようなことがあれば、日銀は一歩踏み込んだ何らかの政策を打つ用意があるといった意味合いが想像できる」とみている。
すでに12月日銀短観で下期収益は下方修正され、円高や国内売上伸び悩みの影響が表れた。国内設備投資も一段と下方修正され、不安定な為替相場を背景に設備投資の海外移転が目立ち、国内での設備投資は振るわない。海外進出企業の多くは、為替リスクや輸送コストを考えれば現地生産が基本方針とし、生産・研究開発拠点を新興国に移して国内投資は最低限にとどめている。
デフレが長期化すれば、円高を招く要因ともなる。物価が下落している国の通貨は、モノに比べて相対価値が高くなり、為替相場が上昇しやすい。日米で名目金利差がほとんどない現状では、物価下落による実質金利の上昇も円高要因となる。
しかも日本のデフレは賃金調整という構造的な問題が主因であり、政策対応が難しい。日本企業は海外諸国に比べて相対的に大幅な雇用調整を避けて賃金調整で対応してきた。それが消費の悪化、価格の低下につながり、さらに企業収益を圧迫し始めている。ゴールドマンサックス証券・チーフエコノミストの山川哲史氏は「デフレ環境が深刻化するなら、日銀はより明示的な量的緩和策拡大に踏み切らざるを得ない」と見ている。
日銀が取りうる対応策について、日銀ウォッチャーは事態の深刻さが増すに応じて、以下のようなシナリオを想定している
・新型オペの供給量拡大にまず、着手する。現在の10兆円から順次、30兆円程度までの拡大は可能という声が日銀ウォッチャーにはある。また、オペの期間を現行の3カ月から延ばすことも行われる可能性がある。最長で1年まで期間を延長することもあるとの見方が有力。言うなれば「ターム物金利の低め誘導政策」となるだろう。
・資金量を多く出せば、いずれ無担保コール翌日物金利は低下し、現行の0.1%に誘導するという政策目標が達成できない事態に直面しそうだ。その際は明示的にゼロ金利に復帰する選択肢もあるが、当座預金に0.1%付利しており、ゼロ金利に戻す意味があるかどうかは議論の余地がある。ゼロ─0.1%のゾーンを採用する可能性を指摘する声がある。金利へのこだわりを捨てれば、量のターゲットを何にするのかという問題は残るが、マネーを大幅に供給できるようになる。
・日銀が18日の会合で「物価安定の理解」の明確化を打ち出した。広い意味での「時間軸」強化だと市場では受け止めらた。これをさらに強化して金融緩和効果の浸透を図ることも選択肢。「物価安定の理解」の数値自体を引き上げることで、中長期的な緩和姿勢を強めれば、デフレや円高の歯止めにも有効。通常、年1回4月の展望リポート公表時に見直すが、従来の0─2%となっている部分に「ゼロ%以下のマイナスの値は許容しない」と打ち出したことで、「ゼロ」についての扱いが難しくなりそうだ。1─3%程度に引き上げれば、緩和姿勢の浸透に効果は大きいとの提言もある。
・円高が予想以上に急進展した場合には、介入に消極的な藤井裕久財務相も介入実施を決断すると思われる。その場合、ドル買い/円売り介入の原資調達のため発行されるFBを日銀が引き受け、市中に売却することなく保有する「非不胎化介入」も、取りうる対応策の1つとして上がっている。
また、一部には外債購入も選択肢に上がるが、現行法上では政府(財務相)の判断で対応することになるため、日銀が独自に判断して購入することはできない。
・円高が急激だったり、デフレがスパイラル的に進みそうになったり、海外で想定外の金融不安が発生して株価が大幅下落するようなケースでは、長期国債買い入れオペの増額が選択肢になる。現行の月1.8兆円から2.6─3.0兆円へと拡大した場合、保有国債の償還を前提としても、なお11年度中に長期国債保有残高が「日銀券ルール」の上限に到達し、余裕枠が消滅する可能性が高い。その場合は、新たな歯止めを設定するとみられる。そうしたケースでは、政府の財政健全化に向けたプランやルールの設定が不可欠とみられる。
このほか、かつての銀行保有株の買い取りのように、リスク資産を買い取る選択肢も残されている。ただ、個別の株や不動産などを買い取るには、信用度合いをチェックするための仕組みが必要で、新たなコストをかけてまで日銀がリスク資産を買い取る必要があるのかどうかが議論のポイントになりそうだ。どうしてもリスク資産を買い取る必要性が浮上した場合には、株のインデックスやRIET(不動産投信)などが対象に浮上する可能性が残されていると、一部の日銀ウォッチャーはみている。
円高やデフレへの対応は本来、政府の役割が大きい。だが、財政政策の発動には、予算編成と国会での法案成立が必要で、緊急時の対応としては機動性に欠ける上、鳩山由紀夫政権では、2009年度第2次補正予算編成でも、取りまとめに時間がかかった経緯がある。日本経済が踊り場にとどまるのか二番底に陥るのか、危機的な局面では、機動性の高い金融政策への期待が、今以上に高まる可能性が高い。政策の即効性と将来のリスクをにらんだ日銀の判断は、いよいよ重要性を高めつつある。