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誰も語らない成長戦略の本質(KlugView)
2009/12/17 (木) 17:06
12月16日、政府の成長戦略策定検討チームは、小泉政権で経済財政相を務めた竹中平蔵氏を招き、成長戦略の策定に向けたヒアリングを実施しました。竹中氏は、規制緩和や郵政民営化といった「小さな政府路線」を主張する人物だけに、ヒアリングにおいて大きな対立が出るだろう、とマスコミは期待していたようです。
マスコミ報道によると、竹中氏は
・経済成長の基礎は供給側だと考える
・国家戦略室による経済と財政の一体運営の姿がなかなか見えてこない
・規制緩和、競争政策、民営化が大変重要なポイントだが、郵政は逆の方向に行き、再国有化されたのと同じで大変残念だ
と、いつものように持論を展開しました。
一方、ヒアリングに同席した菅副総理は、「小泉・竹中路線で企業は活性化したが、リストラで失業者が増え、成長につながらなかったのではないか」と反論し、「まず需要を作ることが先決ではないか」と発言しています。また菅副総理は、
・公共事業で経済を成長させるのを第1の道
・改革を進める小泉・竹中路線を第2の道
・雇用が需要を生む政策が第3の道
として、現政権は第3の道を選択しているので雇用政策を常に打ち出している、と述べています。
マスコミ報道では二人の議論を、供給側の竹中氏と需要側の菅副総理、と整理しています。二人が使った言葉をそのまま使っただけですので、一見分かりやすい整理のように思えますが、本質を外した整理のような気がします。
議論のテーマが成長戦略であるならば、議論において想定する時間軸は、1カ月後とか半年後といった短期的なものではなく、短くても3年後から10年後くらいが前提となります。短期的な景気悪化は、常に需要不足となるので、政府がこれに対応するのであれば、財政政策を利用したり、金融政策で金融面を調整することになります。
ところが、中長期にわたって需要が不足しているとすれば、それは供給側が需要に対応できていないと考えることもできます。供給が足りない部分は需要過多になる一方で、供給が大量にあるところは需要不足になりますが、需要不足の部分が、いつまでも経済全体に大きく占めていては、需要不足が慢性化します。
こうした状況にもかかわらず、需要不足を短期的な景気悪化と判断し、常に財政政策や金融政策で対応していては、いつまでたっても供給側の変化が生じず、需要不足は止まりません。これまでの日本経済の推移を考えれば、現在の需要不足が短期的なものではなく、中長期的なものである可能性が高く、供給側の変化が求められているといえます。
残念ながら、供給側の変化は、短期的には難しく、時間をかける必要があります。成長戦略は、需要側の変化を見据えながら、供給側をどのように変えていくかを決めていくものといえます。言い換えれば、中長期での景気を語る際には、需要と供給の両面を考えるといえます。
竹中氏と菅副総理が、成長戦略の時間軸を中長期であることを理解した上で議論したのであれば、じつは二人とも同じ目的を別の観点で語っているのであり、対立しているのではなく、必要である二つのテーマを別々に語っただけといえます。よって、マスコミの整理は、本質を無視した内容といえます。
悲劇的なのは、成長戦略を考えるのに際し、現在の需要不足を短期的な景気悪化の一種と考えている場合です。この場合、マスコミの整理は的を得ているわけですが、成長戦略の是非を語っているマスコミも成長戦略の本質を理解していないことになります。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
菅副総理が提唱した第3の道とは?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
雇用が需要を生む政策
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/12/17/007723.php