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(回答先: 「700ユーロ世代」 若者たちが激しく反発しているのは、こうした暴力的な雇用状態に対してだ 【Report】 投稿者 hou 日時 2009 年 12 月 12 日 05:20:08)
(韓国 「ハンギョレ21」誌 2008年12月19日740号)
http://h21.hani.co.kr/arti/world/world_general/23954.html
ギリシャ‘700ユーロ時代’の挫折
○国内GDP4lを堅持、欧州共同体の優等生(ギリシャ)は、労働者階級と若者の悲惨な犠牲の上にのみ、築かれている。
○国民5名中1名の貧困層、 平均失業率8.9l、 30歳以下の労働者43.6lの平均月給は600〜700ユーロだ。
○韓国88万ウオン世代も、日本の200万円以下世代も、ギリシャ労働者と一緒だ。世界中の労働者階級が、資本家どもの容赦のない攻撃に立ち向かわなければならない時が来ている。
○ギリシャの青年労働者、学生の戦いは、12月19日も尚、全国に拡大し、ヨーロッパへ拡大の様相を見せている。」 (訳者注)
‘88万ウォン世代’(韓国の経済学者、ウ・ソクホンが名付けた、88万ウオンの平均賃金しかない非正規職の若者を指すー訳者注)とおなじく、過労・低賃金・借金に追い立てられた若者達が、少年の血を契機に石飛礫(いしつぶて)を持った。
“一杯に、4ユーロ(約7200ウオン)もするコーヒーを飲むお客さん達で賑やかな大学街のカフェを見ていたら、ギリシャの若者達には、特別な心配はない様に見える。しかし現実は、正反対だ。ギリシャの若い世代は今、危機に落ち込んでいる。欧州連合(EU)平均の、2倍を越える青年の失業率。ギリシャの若者達は未来に対する不安に苦しめられている。”参加ジャーナル ‘700ユーロ世代。’ギリシャの若者達は、自らをこの様に呼ぶ。20台大半が無一文のところに、運よく仕事を手に入れたとしても、ひと月の平均賃金が、700ユーロ(現・交換率で、約126万ウオン)に達する事が出来ないと言うありさまだ。‘タナシス’と言うギリシャのネチズンは、自身のプログ(g700.blogspot.com)で‘700ユーロ世代’をこの様に定義した。“沈黙している多数の若者達。年は25歳から35歳まで。過労に駆り立てられ、低賃金に苦しめられ、借金にやつれ、不安定な日常にあえぐ人々。”ギリシャ公営放送<ERT>が去る5月末、放送した‘700ユーロ世代’関連放送の内容の一部を取り出してみよう。 “大学で言語学を専攻したチナ(32)は、4ヶ国語を流暢に駆使する。イタリアへ留学に出かけ学校を終えた後、安心な職場まで得たが、2004年アテネオリンピックの熱気の中で、故国に帰ってきたそうだ。問題は、それからだった。働き口を探すことは容易ではなかった。難しい中で秘書職に就職して貰っている月給は、770ユーロ。5歳になる娘を育て生活する事には、人生が重苦しいだけだ。 ・・経営学徒出身であるイオルダニス(31)は、大学卒業後7ヶ月ぶりに働き口を得た。営業職だった。仕事は辛かったし、月給は680ユーロに過ぎなかった。父母の家で世話になるのも済まなく、結局ギリシャを離れる事とした。オランダで働き口を探した、彼の初めての月給は1700ユーロであり、アムステルダム中心街のコーヒーの値段は、1,2ユーロだった。 ・・夫人と3歳、6歳の子女を持ったマノルリス(43)は、任用試験に合格しても、長い歳月正式教師の発令を受けることが出来なかった。時間制教師として働きながら、彼が受ける月給は340ユーロ、そのうえに、何月か、ごとに滞ることが常だ。夫人の給与と貸し出し、信用カード、そしてつつましく暮らす生き方で、それでも耐えている。子ども達が、病院でも行かなければならない状況になれば、それこそ致命的な打撃を受ける事となる。” 毎週60分間放送する<ERT>の看板時事プログラム、<国境なき報道>が追跡した探査報道の決定版だった。波長は大きかった。1996年初め、放送時からプログラムの取材・進行の責任を負ってきた著名な言論人、ステリオス・コロクルロが、釈然としない理由で放送社を去ることとなった。‘700ユーロ世代’関連放送を目前に、経営陣と摩擦を引き起こす有様に、契約期間延長時点が偶然にぴったし合った。放送社側は特別な理由なく、コロクルロとの契約延長を‘放棄’して、<国境なき報道>やはり6月に入って突然、看板を下した。‘700ユーロ世代’問題が、ギリシャ社会でねばり強い‘敏感性’を、端的にみせて呉れる事例だ。だから、彼らこそ、去る12月6日からギリシャ全域を覆っている怒った民心の‘背後’と見なすに値する。 過激示威と三発の銃弾 ギリシャで‘過激示威’は、決して珍しい事ではない。英国時事誌<エコノミースター>は、12月9日インターネット版で、“ギリシャ議会前には、一週間に、平均二つ程、順に各種示威が繰り広げられ、激しい示威はさまざまな暴力を同伴することもする。”とし、“1年にも何回毎に‘無政府主義者’を自認する若者達が、顔を隠したまま鉄パイプと火炎瓶を持って街に出て、示威鎮圧の警察と激烈な衝突を拡げる。”と伝えた。しかし、12月16日夜9時30分頃、ギリシャ首都アテネの真ん中で、15歳の‘無政府主義者’が、公権力の凶弾に命を失ったことは明らかに希な事だった。 事件が起きた場所は、所謂、‘無政府主義者’たちが、好んで訪れる地域であるアテネ中心街、エクサルチア地区だ。各層の示威が頻繁なこの場所では、事件当時にも激しい、若者達と鎮圧警察間の攻防が広げられていた。 事件直後、警察は、犠牲者一行が石と火炎瓶を投げて、‘防御’次元で虚空と地面に銃を撃ったと主張したが、現場目撃者達の証言は全く異なる。<カシメリニ>など現地言論と、外信などが報道した目撃者等の証言を基に事件を再構成して見よう。 息絶えた、アレクサンドロス・クリゴロポルロスは、命名の祝日(洗礼を受けた日)を記念する為に、友達とともにこの日の夜、遅くまで街を歩き回った。一行が事件現場に到着した時、一部示威隊が、何かを通り過ぎる警察巡察車に投げつけた。 巡察車は立ち止まり、車から降りた警官たちは、クリゴロプルロスと友達らに近付いて、罵詈雑言を浴びせて脅した。 オ怒ったクリコロプルロスは、からのプラスチック瓶を投げつけて、これに警察は銃撃で応酬した。皆で三発、中でも一発が少年の胸を貫通した。 病院へ運ばれた途中、少年は遂に息を引き取った。一部言論の大げさな振る舞いとは異なり、息を引き取ったクリゴロポルロスは、中産層の家庭出身で、示威に出た‘無政府主義者’ではなかった。 偶然な悲劇は、時として‘必然’に繋がる。そしてロプルロスの死が知られた直後から、ギリシャ全域が揺れ始めた。野火の様に、怒った民心は至る所で車両を燃やしたし、火炎瓶を飛ばしたし、商店のガラス窓を粉みじんにした。アテネを始めとする全国10余の都市で警察署と官公署が示威隊の攻撃を受ける事もした。クリゴロポルロスの葬礼式が開かれた12月9日には、高校生の数百名が、アテネ外郭周り地域で警察と衝突した。<ロイター通信>はこの日、“ギリシャ全域が、紛争地域を彷彿とするようになった。”と、伝えた。ギリシャ産業人連盟が集計した資料を見れば、示威事態5日目である12月10日現在まで、アテネでだけ、全部で565の店舗が破損され2億ユーロ相当の財産の被害が出た。 新民主党出身のコスタス・カラマンリス総理が、直接出て犠牲者家族達に謝罪した。パプルロス パプルロプルロス内務長官は、事態に対する責任を取って辞任した。しかし事態は手の付け様もなく、広がってばかり行く。<CNN>放送が運営する参加ジャーナリズムのサイト<アイリポート>で、一人のギリシャのネチズンは、このように書いた。“今回の示威事態は、ギリシャの若者達の憎悪と挫折の表現だ・・・これほど耐えてきたことが、かえって奇跡だ。” 5名中、1名が貧困層 去る2004年、執権した新民主党は、強力な緊縮政策で財政赤字を、欧州共同体がユーロ化採択地域に基準として提示した‘国内総生産(GDP)3l’の線で減らす事で専念した。欧州共同体は、当然にも賛辞を送ったが、ギリシャ市民達の不満は重なった。欧州共同体で、先頭圏である年平均4lの経済成長率を、維持してきたギリシャで、人口5名中1名に達する200万名ほどが貧困層だ。ギリシャ統計庁が公開した資料を見れば、30歳以下の労働者43.6lが平均月給600~700ユーロを受けている。経済協力開発機構(OECD)が、昨年発行した資料を見ると、2006年、ギリシャの平均失業率は8.9lだ。 それさえも“1988年以来最も良い記録”である事も、欧州共同体の平均である7.4lより1.5lポイントが高い。失業者の中で55lは長期失業状態であり、長期失業者の40lは29歳以下の青年だ。 殺人的な物価も桎梏だ。ギリシャの日刊<カシメリニ>は、去る5月17日分英文版の記事で、市民団体 消費者保護センター(KEPKA)が公開した資料によれば、“ギリシャの物価はドイツや、オランダに比べ66lも高く、目立っていた。”とし、“ギリシャ人たちは86まで、生活必需品に、ひと月平均215.70ユーロを消費する反面、同じ品目を買うのにドイツ人は、162.71ユーロ使うだけ”だと伝えた。新聞は、ギリシャ統計庁の資料内容によって“ギリシャ消費者は、1974年の民主化以後はじめて、食料品の費用を減らし始めた。”とし、昨年12月以後、持続的に貧困層の食料品支出が減少している”と伝えた。 こんな状況で、地球村次元の景気低迷が切迫して来たが、重ね重ねに積まれてきた疎外階層の憤怒が、“パニック”として流れるのは当然であるかも知れない。これ以上、忘れる事もない‘700ユーロ世代’は、止まるところなく、街に溢れ出て来た。<英国・BBC放送>は“示威隊の大部分は、この示威事態が生涯初めての街頭示威の経験”だとし、“まさに、どの誰も、示威事態に対処する新民主党政権の無気力な事に驚いていない。”と伝えた。示威隊の暴力性には同意しない彼らさえも、彼らの憤怒くらいは共感すると言う。 国民を保護しなければならない政府が責任を放棄した時、感じる背信感、それが,終わり知れない憤怒として爆発しているものだ。 現在では、今回の事態が政治的妥協点を探すのは難しいと見える。第一野党である社会党のゲオルゲ・パパンドレオス代表は、すでに、カラマンリス総理の辞任と早期総選挙を要求してのりだした状態だ。昨年夏、山火事事態を早期に鎮火出来なくて国家的災難に直面した新民主党政権は、18ヶ月余が流れた今まで、再建も、森林復旧もやり遂げることが出来ていない。腐敗して、無能であり、大衆の信頼を全く得ることが出来ない政府として、烙印を押される理由の中の一つだ。示威事態が起こった時点も良くない。ギリシャ正教会側と一連の国有地売却・対等交換取引を進める過程で、政府高位人士が連座した腐敗疑惑が相次いで噴出してきたわけに、ギリシャ議会が去る10月末、真相調査委員会を構成し聴聞会が真っ最中だ。国会全体議席300席の中で、151席をもつ新民主党は、もはや世論調査でも社会党に4〜5lも覆されている。 統治不可から、統制不可へ アテネの2,008年12月で、1968年5月のパリ(フランス・パリの‘学生5月革命’を指すー訳注)を思い浮かべるのは未だ早い。しかし、一つの枝は明らかに見える。 <BBC放送>は、12月11日インターネット版で、ギリシャ政論紙<カシメリニ>の社説の内容を引用し“少年の血が、複雑多端な抵抗と不満の勢力を、憤怒の、一つの隊伍に束ねてきた。”とし、“今までギリシャが、統治しにくい状況であったなら、今後は、統制自体が不可能な状態に至る事となること”と警告した。する事は、<ギリシャ人 チョルパ>の作家ニコス・カジャンチャキスは語った。“若者が抵抗しなければ、大体、世上がどんなに為ると言うのか”と。 (訳 柴野貞夫 2,008年12月19日)
四カ国語を駆使する者の月給、770ユーロ