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日本は「世界最大の債権国」。本当?
財務省がまとめた「対外貸借報告書」によると、日本は15年連続で「世界最大の債権国」となっています。以下の表がその概要ですが、確かに日本は資産の方が負債よりも180兆円も多いですね。なんだか日本という国がすごくお金持ちに見える結果ですが、本当に日本人はお金持ちなのでしょうか?
外貨準備高は大部分がアメリカの国債だ
まずこの「対外貸借報告書」における、債権国の意味を確認しましょう。日本が世界最大の債権国という結果になったのは、日本の対外純資産が世界で一番多いからです。では対外純資産とは何かと言いますと、日本人(政府も含む)が海外に持っている株や不動産などの合計(対外資産)から、外国人が日本に持っている株や不動産の合計(対外負債)を引いた額のことです。
つまり一言で言えば、日本人が海外に持っている株や不動産の金額の方が、外国人が日本に持っている株や不動産の金額より遥かに多いよ、という結果なのです。そして平成17年末現在の日本の対外純資産は約180兆円にもなっていて、国別ランキングでは、日本が15年連続で世界第一位になっています。しかしこれは、本当に良いことでしょうか?
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/CU20060528A/index2.htm
外国の株や不動産を買っているということは…?
ちょっと株の例で考えてみましょう。日本人が海外の株を多く買い、そして外国人が日本の株をそれほど買っていないということは、それだけ日本の株に魅力がないということにもなりませんか?
お金のあるないの問題ではなく、日本人がお金を持っていても、それを日本株ではなく外国の株に投資している金額が多いということになるのです。そして逆に、外国人投資家が日本の株に投資している金額はそれほどでもないという意味にもとれるのです。
海外では絶対売れない日本の国債
さて、この「対外貸借報告書」に入っている資産や負債の中には、当然ながら国債などの債券も入っています。しかし国債だけに関して見ると、日本人が海外の国債を買うことはあっても、外国人が日本国債を買ったりすることはまずありません。なぜでしょうか?
金融に詳しい人はもうお分かりでしょうが、日本は超低金利時代にあり、国債の金利も1%程度と極めて低くなっています。そんな債券を外国人が買いたがるでしょうか?
安い日本国債の金利と比べて、多くの外国の国債は金利が5%前後と高くなっています。だから日本人投資家の中には、為替リスクを負ってまで外国の国債を買う人も多いのです。しかし、この反対を行う人がいるでしょうか?
自国の国債が年5%の金利がつくのに、為替リスクを負ってまで1%の日本国債を買う人などいません。いるとしたら、円高による為替差益を期待して買う「冒険家」の投資家くらいでしょう。
アメリカ財務省のデータによれば、日本人による米国債買いは、ある月では約3兆円にも達していたということです。それだけ日本人がアメリカの国債を買っているのですが、逆はそれほど多くありません。
下の表は、日本国債の保有者別内訳表です。こちらを見ると、日本国債の中で外国人が保有しているのは3.2%だけです。これは先進国の中ではかなり少ない数字で、例えばアメリカ国債は33.9%、ドイツ国債は40.4%が外国人によって保有されています。
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税金対策で買われる海外の不動産
今回の報告書からすると、日本人が海外の不動産を買っている額も相当なものになります。しかしその多くが、税金対策のために購入されたものでもあるでしょう。
80年代後半に円が強くなって以来、日本人の間に海外不動産を買う動きが活発化してきました。海外の不動産は減価償却費を多目に計上できるなど、税制面でのメリットが多いからです。
減価償却費の違いがなくても、そもそも所得税や法人税が違うのです。日本の税金は主要国の中ではかなり高い水準にあり、その税金を嫌って海外へ資金を動かすケースが多いでしょう。「対外貸借報告書」で日本の対外純資産が多いのは、日本の税金が高いというのも原因に入っていることでしょう。
対外純資産ランキング。本当は何のランキング?
今回まで15年連続で日本が1位になった対外純資産のランキングですが、ずっと2位にいるのがスイスです(上の表参照)。そしてスイスでは、金利が1%程度しかありません。これは主要国では、ゼロ金利の日本に次いで低い数字です。
主要国では一番金利の低い日本が対外純資産ランキングの1位であり、そして次に金利の低いスイスが2位。これは、対外純資産ランキングというものが、実は低金利のランキングであったことを示しています。
もちろん金利だけの問題ではないので、対外純資産ランキング=低金利ランキング、と単純に決め付けるのは乱暴でしょう。しかし資金というものは、金利の低い国から金利の高い国へ流れるのが普通です。
15年連続で日本が1位になっているのも、日本がその間ずっと超低金利を維持してきたことが大きな理由でしょう。そういう意味では、対外純資産ランキングというものも、それほど誇ることではないかもしれません。