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(回答先: まず財源ありきという議論はだめ=経済対策で亀井金融担当相 投稿者 gikou89 日時 2009 年 12 月 04 日 14:40:36)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091127/197836/
足元の為替市場で、ドルがほぼ全面安の展開になっています。対円でも、ドルは一時84円台に下落しており(11月27日現在)、当面、ドルが下落傾向をたどるとの見方が有力です。それに伴い、市場関係者の間でドル暴落の懸念が再燃しており、一部には、「中期的に、これから“泥沼のドル安”が始まる」との指摘も出ています。現在、ドルは基軸通貨であることを考えると、その価値がさらに下落が続くようだと、わが国をはじめ世界経済に与えるマイナスの影響は大きいと考えられます。
最近のドル安の理由を考えるとき、二つの要因を頭に入れておくと分かり易いと思います。一つは金利です。為替市場の資金の動きは、基本的に、「金利の引く通貨から、高い通貨へ流れる」と思ってください。今、米国の短期金利(フェデラル・ファンド・レート=FFレート)は0.25%と、かなり低い水準にまで下がっています。米国の景気の後退が続いていたため、金利を下げて景気を刺激する政策が取られているからです。
しかも、最近、米国の中央銀行であるFRBは、当面、超低金利政策を維持する方針を公表しています。景気の回復が遅れているため、超低金利を続けざるを得ないというのが本音です。米国の金利がこれだけ低下すると、投資資金は、米国から、ブラジルやオーストラリアなどの金利の高い国へ逃げることになります。そうすると、ドルを売って、ブラジル・レアルやオーストラリア・ドルを買うことになるため、どうしてもドルが下落することになります。
もう一つの要因は、米国に対する信認です。米国は、今でも世界最大の経済大国です。しかし、以前のように、世界経済の中で絶対の信認を保っているわけではありません。むしろ、リーマンショック以降、米国経済のパワーの低下が鮮明化しています。米国のオバマ政権は、景気を回復させるために大規模な経済対策を打ってきました。
問題は、その対策の原資=お金です。米国の財政状況は最近急速に悪化していますから、景気対策のための多額のお金は、わが国と同じように国債を発行して調達しています。その国債の一部を、現在、中央銀行であるFRBが買い上げています。それを突き詰めて考えると、FRBがお金を発行して国債を買っていることになります。単純化していうと、輪転機を回してドル紙幣を刷って、それで国債などの金融資産を買っているということになります。
FRBが一生懸命ドルをプリントして、それを市中に供給しているわけですから、沢山のドル紙幣が市中で流通するはずです。そうして流通するドル紙幣の量が膨張すると、ドルの価値が下落するのは当然の結果といえるかもしれません。今回の、ドル急落のきっかけには、ある経済専門家が、そうしたドル膨張に対して警鐘を鳴らしたことがありました。それが、為替市場でのドル暴落説を再燃させることになったのです。
ドル安は、世界経済にとても大きな影響を及ぼすになります。ドルが安くなると、米国の輸出産業にはプラスに働きますが、わが国の輸出産業は大きな痛手を受けることになるはずです。代表的な輸出企業であるトヨタ自動車では、円が対ドルで1円の円高に動くと、それによって数百億円の利益が吹き飛んでしまうといわれています。それは、わが国だけではなく、中国や他のアジア諸国にも、輸出減少となって深刻な打撃になることが予想されます。
また、基軸通貨であるドルの価値が下落すると、金融市場にも大きな混乱が生じる可能性があります。これから、ドルが大きく落ち込むとの予想が定着すると、世界の投資家は、ドル建ての金融資産を持ちたがらなくなるでしょう。それが、いわゆる“ドル資産離れ”という現象です。それが、一段と鮮明化すると、中期的に、米国の株式市場が調整局面を迎える可能性が高まります。
米国の株式市場が急落すると、その波は、世界の主要株式市場に波及することは免れません。そうなると、新興国の株式市場も不安定な展開になるでしょう。株価の下落は人々の心理状況を悪化させ、実体経済にもマイナスの影響が及ぶはずです。ですから、“泥沼のドル安”は、何とかして避けなければならないのですが、仮に、そうした状況がやって来ると、景気の先行きに一段と不透明感が出て、株式や為替の市場は大きく振れることになると予想されます。その覚悟はしておいたほうがよいでしょう。