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(回答先: 三井造船玉野事業所の下垣慶紀艦艇部長、「技術の維持を図るのに精いっぱいだった」 【朝雲新聞】 投稿者 hou 日時 2009 年 11 月 30 日 22:30:40)
いま現代戦略で、戦車の活躍できる戦場がいくつあるだろうか?
確かに技術は重要だが、ほかに活用できるように市場を整備しなおさなくては。
戦車の需要は、こんご 国単位でも世界単位でも減少が予想できる。
http://www.asagumo-news.com/news.html
技術が消える!
窮地に立つ防衛産業<3>
国産戦車も赤信号
激減した生産台数
技術の転用で生き残りへ
90式戦車回収車の製造で油圧系統を調整する技能工(6月23日、神奈川県の三菱重工業汎用機・特車事業本部で)
三菱重工業汎用機・特車事業本部(神奈川県相模原市)の敷地内に鎮座する「61式戦車」。「国内で実物の戦車を展示している工場はここだけでしょう。見学者が記念撮影していくこともあり、この工場のシンボルです」と広報担当者は誇らしげに説明する。 同事業本部の工場では、戦後初の国産戦車「61式戦車」、105ミリ砲とFCS(射撃統制装置)を搭載して先進国に肩を並べた「74式戦車」を生産するなど、戦後一貫して日本の防衛の一翼を担ってきた。 しかし、ここ数年同社の頭上に「正面装備削減」の暗雲が垂れ込めている。61式戦車は合計560両生産し、年平均で43両を納入。74式戦車は同873両、同55両を納入してきたが、90式戦車は平成22年度までの生産予定が計341両で、年平均わずか17両と、年間納入数は61式、74式両戦車を大きく下回っている。自走砲と戦車回収車、戦車などを合わせた戦闘車両の納入台数は昭和58年には116両あったが、平成19年にはわずか20両と激減した。
「最盛期には年間30両の90式戦車を作りましたが、今では半分以下」とため息交じりに話す技術者。工場内は、横倒しにした戦車の車体を前に溶接作業を行う数人の技能工が見えるだけで、広い工場内はあちこちに空きスペースが目立つ。22年度に最後の車両を引き渡すと、次の新戦車の生産が本格化するまでの間、生産ラインはほぼ休止状態となる。 戦闘車両製造のコスト管理に長年携わってきた特殊車両営業部の織田隆夫部長は、「90式戦車の生産開始時には民生品を利用した大規模なラインを設けたが、生産台数の減少で今はラインの能力を縮小している。戦車の製造ラインは新戦車が立ち上がるまでは操業量が大きく減少し、人はいるが仕事がない状態が続く」と生産現場の苦しい実情を語る。
ハイテク戦車の生産にかかわる技能工のスキル向上は重要な課題で、基本的な組み立て作業から、難易度の高い溶接や部品の感応調整への対応など、指導できる立場になるには20年以上かかる。しかし、生産が途絶えた場合、新人が配属されないだけでなく、高度な技術を身に付けた熟練工がほかの民生部門に転用され、戦闘車両製造の基盤維持がおぼつかなくなるという。 例えば、約1000点の部品から構成される砲弾の自動装填装置では、数ミクロン単位で調整を繰り返し、高速度で正確な動作を可能とする技術が求められる。
最終動作確認では、部品同士の隙間や抵抗、作動音などを経験によって判断する「匠の技」が不可欠だ。また、走行間精密射撃では、機械や電気、制御などの一般工学に加えて、画像処理やソフトウエア技術を踏まえて戦車の特性を把握した専門的な設計技術が求められ、「高度な機器や装置の製造には、10年以上の専門経験が不可欠」と技術担当者は指摘する。 受注減少は設計者や技術者の散逸に直結している。このままではこれまで培った技術が消滅するため、同社では目下、蓄積した防衛装備品の技術をなんとか民生分野で役立てようと懸命だ。 戦車の複合装甲の仕組みと資材を利用して、音速の何倍もの速度で宇宙を飛び交う「スペースデブリ(宇宙ごみ)」から宇宙ステーションを守る「装甲板」の研究開発もその一つで、砲弾をはるかに超えるスピードで金属球を装甲板に当てる装置を使って、データの収集や実証試験を繰り返し、実用化に向けて研究を進めている。
「空気を切り裂いて飛んでくる砲弾と宇宙空間を飛び交うデブリが装甲板に与える高速衝撃現象は類似している。これまでの技術の蓄積と経験が宇宙開発の分野でも役に立っている」と担当者。 民生品への転用で将来への展望を開こうとする一方で、下請け企業では新規開発や新たな設備投資を行う体力はすでになく、事業撤退や倒産、廃業が相次いでいる。2004年6月には板金部品の製作所が倒産、同年12月にはアルミ鋳物を手がける企業が撤退、翌年8月にはリンクピン材料を納めていた企業が自主廃業した。
「少ロットで採算割れになった」「不採算なので受注を辞退したい」と苦境を訴えて撤退した企業もすでに10社以上あるという。 受注減少によって技術基盤が喪失した場合、当然国産戦車は作れなくなるが、外国製の輸入には問題も多い。同事業本部の幹部は「日本の国土や国情に応じた戦車は諸外国にはない。緊急時における増産能力の欠如も招く。たとえ外国から購入する場合でも、研究開発を続けて技術基盤を維持しているかどうかが交渉力を大きく左右する」と指摘、国産戦車の研究・開発の断念はバーゲニングパワーの喪失や独立国としての防衛力、抑止力の基盤を揺るがす事態に発展する、と懸念している。(続く)