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世界的規模の株安はドバイが引き金となった。
予想された通りである。あの砂漠の「楽園」は海を埋め立てて巨大なリゾート開発。世界最高級七つ星ホテル。豪邸が林立し、世界の巨富が集中し、享楽の中心地にして、奢侈品も流れ込み、もちろんマフィアも高級売春婦のなだれ込み、インド、パキスタン、フィリピンから労働者が押し寄せた。
林立する摩天楼は中東産油国の巨額の資金を当て込んで、欧米、そして日本、韓国のデベロッパーが受注し、覇を競い、そして破局を迎えた。
邦銀の債権は1000億円程度、ゼネコンの未回収資金は数百億円と見積もられる。
ドバイ・ショックによる世界同時株安は、香港が最悪の影響をうけて株価下落、日本も例に漏れず、くわえて鳩山政権の経済無策は次の暴落(おそらく日経平均は8500円あたりまで一度下落するだろう)を呼び込みそうである。不気味な円高、前にも報じたように、来年後半に一ドル=70円に向かうとチャートが示唆している。
さて筆者はあることを思いだした。
四半世紀前、いやひょっとしたら30年以上前かも知れない。台湾の友人だった特許弁理士Aさんと、日曜日だったので、日月譚へ登って湖畔の宿にとまった。台中の顧客Bさんが一緒だった。Bさんは、事業があたり、多少は裕福、付近の茶畑農家を案内してくれた。
台湾名物ウーロン茶の最高級品を、その生産農家の茶室で振る舞ってくれるというのである。
そのウーロン茶は農林大臣賞を受けたかのシロモノで、100グラム二万円。一口飲んで酔った気分になる。ほんのりとした味ではなく、口の中でぼわって独特の香りが拡がり、うっとりとなる。Aさんなど、酒に酔ったように酩酊している。
そういう贅沢を楽しめるようになった余裕のBさんは得意顔だった。
▲投機がピークを打って衰滅に向かうとき
二年前に雲南省名物のプアール茶が中国で一大ブームを引き起こした。それまでにもプアール茶の最高級品は100グラム=百万円という、とてつもないシロモノがあり、それは江沢民に献上された。
皇帝に献上する伝統があればこそ、こうした豪勢豪華なものを造る。庶民とは無縁の世界が拡がる。
プアール茶ブームはお茶をたしなむのではなく、中国でははじめから投機だった。
付近の茶畑が猛烈な投機資金で買い占められ、プアール茶の価格は天井知らずの高値を連日更新し、そしてある日、破局を迎えて多くの茶畑は無惨にも潰えた。
オランダのチューリップ投機を彷彿させる出来事だった。
ドバイの不動産ブームと暴落は、おなじ投機のパターンである。
そして同様な投機行為を国をあげて展開しているところがある。
この国では権力者と悪徳デベロッパーが組んで土地を取得し(住民は軍隊を使って立ち退かせる)、高層ビルは手抜き工事、棟上げ前に宣伝し投機家に売り払い、その箱ものは結局のところ投機目的だから実際の住民がいないまま、コンクリートが腐植し、或いは倒壊し、いずれ廃屋となる。
この国は銀行に命じてGDPの25%前後ものカネを市中にばらまき、株と不動産と、プアール茶と怪しげなアートと骨董品のブームが現れ、これらの価格は天文学的に高騰し、それが世界不況のなかで回復エンジンの役割をはたしていると豪語している。
次にくるのは?