★阿修羅♪ > 国家破産66 > 135.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://ameblo.jp/onigasima-kaminarisinno/entry-10315966126.html
「日本の国民負担率は低い」はトりックである!!!!
テーマ:◆書籍/記事紹介
ツカサ川又社長の経済本紹介
http://www.222.co.jp/2017/017.html
(9)「日本の国民負担率は低い」は本当か?
「国民負担率」と「国民所得」、そして「財政赤字」のそれぞれの推移を示したものである。「国民負担率」national contribution ratioとは、国税と地方税の租税負担に年金、健康保険といった社会保障負担を合わせて、国民所得のなかでのウエイトを見た数値である。これに国の借金である「財政赤字」financial deficit([図表9]が表しているのは潜在的国民負担率に占める財政赤字の割合)をプラスすると、現在、各方面で議論されている「潜在的国民負担率」latent national contribution ratioとなる。
なぜ、「潜在的国民負担率」が重要かと言えば、財政赤字を借金でまかなっている現状は、単に負担burdenを先送りしているにすぎないからである。つまり、単純な国民負担率より潜在的国民負担率を重視しなければ、われわれ国民がどんな形で国家を支えているのか、その本来の姿がわからなくなるのだ。
では、2005年の潜在的国民負担率はどうかと言うと、「国民負担率」35.9%に「財政赤字」8.9%をプラスした44.8%である。現在、政府は、この数字を50%以下に抑えるとの目標を掲げているので、政府の言う目標である「50%」の大台を超えない限りは心配はないように思える。
また、財務省の資料を基にして各国と比較すれば、米国(37.8%、2002年)、イギリス(49.3%、2002年)、ドイツ(58.4%、2002年)、フランス(68.2%、2002年)、スウェーデン(71.4%、2002年)なので、日本の44.8%(2005年)は米国に次いで低い水準にある。そこで増税の話が出るたびに政治家の口から「日本国民の税負担は各国に比べて低いから、まだまだ税負担を引き上げても国民生活は大丈夫」という議論が必ず出てくる。
しかし、この議論は実態に即しているだろうか?
じつは、この潜在的国民負担率には、見逃せない「落とし穴」unexpected pitfallsが隠されているのだ。
前記したように、国民負担率とは租税負担と社会保障負担のことで、サラリーマンの給与で言えば、天引きされる税負担となる。だが、サラリーマン家計が苦しいのは、これ以外に課税されている間接税や光熱費や住居費などの、どうしても出費を避けられないものが多すぎるからである。
つまり、第1の落とし穴は、国民負担率は、間接税indirect taxesまで入れた形で国民生活people's lifeの負担を見てはいないという点である。直接税負担にしても、3割を超えた国民負担率は減税tax reductionされても減るどころか、社会保障負担の増加で逆に増えているのだ。[図表9]にあるように、小渕政権が定率減税を実施した1999年に35.9%であった「国民負担率」は2000年36.7%、2001年37.3%、2002年36.2%と増えている。だから、こうした国民負担率として数字にならない税負担もあわせると、サラリーマン家計はいったいどれくらいの負担率を背負わされているのかわからないのである。とても50%であるとは思えない。
また、潜在的国民負担率を上げる要因に国家の借金(財政赤字)があるが、これは米国5.2%、イギリス1.7%、ドイツ4.7%、フランス4.5%に対して、スウェーデンはわずかに0.4%。日本は最も高く、8.9%となっている。これが第2の落とし穴であり、日本の国民が背負わされた財政赤字は比較にならないくらい高いのである。バブル最盛期の1990年にはゼロ負担になったが、バブル崩壊後の官僚の暴走で、財政赤字負担が急激に増えたからである。
そして第3の落とし穴は、1998年の出来事に起因する。この年、財政赤字負担が一気に17.1%と跳ね上がっている。それは1987年、特殊法人改革で民営化privatizeされた国鉄の債務や林野債務が一般会計general accountから処理することが決められたことで、これが一気に数字を跳ね上げたからだ。もし、国鉄・林野債務がなければ、財政赤字負担は10.2%であったのに、17.1%となったことで国民負担率36.3%と合わせて、この年、初めて潜在的国民負担率は50%を超えたのである。
つまり、国の借金だけではなく、特殊法人の民営化で発生した負債の処理も潜在的国民負担率を引き上げる要因であるということだ。これからは、さらに日本道路公団や郵政民営化による国民負担が待っていることになる。
その後、潜在的国民負担率は見かけ上50%を割っているが、これが国民生活の現状とは全くかけ離れているのは言うまでもない。
例えば、2004年のサラリーマン平均給与は438万8000円で年々給与減少が続いている。そして、この給与減で瀕死状態になっているのがサラリーマンの小遣いである。月額4万円程度で、昼食代はわずかに650円という統計がある。では、なぜ、小遣いにも事欠くほど給与が下がったかと言えば、残業代overtime payがつかなくなったとか、給与自体が下がったということばかりにあるわけではない。
ご承知のように、サラリーマンの給与は、日本独特の源泉徴収制system of withholding taxesである。所得税income taxや住民税inhabitant tax、様々な保険料premiumsなどは支給総額から天引きされ、その後に残ったのが、手取り額take-home payとなる。つまり、自営業者が年1度の確定申告による「請求書」形式であるのに対して、サラリーマンの税負担は「領収書」の形でやってくる。「すでにいただきました」ということだ。
以上