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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1879
新しい店のオープンに行列を作るのは、日本人の専売特許かと思いきや、さにあらず。ここパリでもそんな光景が見られる。
入店30分待ちのユニクロ パリ オペラ店
長蛇の列ができたオープン当日の様子。建物は1866年のクラシックな建造物
10月1日、ニューヨーク、ロンドンに続く海外で3番目の旗艦店としてオープンした「ユニクロ パリ オペラ店」の周囲には長蛇の列。
午後4時の時点で、入店の待ち時間は30分ほど。それでも人々は不服な様子もなく、辛抱強く列の進むのを待っている。文字通り、老若男女、様々な顔ぶれが並んでいる。
これに先立って、3日前に行われたプレス発表にもまた、たくさんのメディアが詰めかけていた。AFPをはじめとするフランスのジャーナリストはもとより、日本のテレビ局の姿もある。
会場は新店舗の中。まだ完全に工事の終わらない状態ではあるが、1階、2階部分はすでにほぼ完成して、美しく陳列もされている。これに地下1階もあるから、3層合わせて650坪という実に広々とした売り場面積を誇っている。
【日本の良さを世界中に発信したい】
ガラスを多用した店内の様子
天窓から光が入るガラスを多用した空間、林立した回転するマネキン、53台のモニターに映し出される映像、まるで株式市場のそれを思わせるような電光掲示板・・・。
現代の日本を代表するデザイナーである佐藤可士和、片山正通両氏が手がけた空間の最新の形がここにある。
「可士和さんとの仕事をするようになって、“コンテンポラリークールジャパン”というものをニューヨーク、ロンドン、パリに持ち込もうということになりました。東京の面白さ、新しさを海外に向けて、しかもユニクロというブランドにのせて発信しようと」
こう話すのは、グローバルコミュニケーション部の諏訪賢介部長。
そう聞いて、最近パリの映画館にかかっていたウディ・アレンの最新作「Whatever works」を思い出した。物語の舞台はニューヨーク。そのロケ地の1つとして、巨匠は「ユニクロ」を選んでいた。確かあれは主人公の女性が何気なく買い物をしているシーンだったと思う。
そしてここパリ。アートの街を自負するだけに、様々なデザイン空間が存在してはいても、このようにクリーンでITの匂いのする近未来的な空間は、これまでにはまず見られなかった。だから、新店舗の箱そのものが、この地の人々に新鮮な印象をもって迎えられるのは確かだろう。
【新コレクション「+J」を日本に先駆けて発表】
ジル・サンダー氏と生み出したコレクション「+J」
さて、これだけの売り場面積であるから、商品の方も「ユニクロ」の旬のバリエーションがすべて揃うということになるが、中でもオープンの目玉は、世界的ファッションデザイナー、ジル・サンダー氏との取り組みによって新しく誕生したコレクション「+J」が、本国日本に先駆けて発表されるということ。
そして、定番商品のカシミヤのセーターが、通常価格69.90ユーロのところ39.90ユーロ(ウイメンズ。メンズは79.90ユーロのところ49.90ユーロ)というオープン特別価格になるうえに、「パリ オペラ店」だけの限定販売となる9.90ユーロのジーンズ(メンズ10色、ウイメンズ12色)という超目玉も投入される。
「質の良いものを、あらゆる人々に買ってもらいたいということで、オープン価格をそのように設定していますが、我々のプライス自体は非常に競争力があるので、通常プライスでも十分やっていけると思います」とは、柳井正社長のコメント。
確かに、これには私も納得がいく。というのも、「ユニクロ」よりも一足先にパリに定着した「MUJI」では、ものによっては日本の販売価格の2倍から3倍のプライスがついていたりするので、我々日本人としてはいったん出した手をひっこめてしまうような割高感がある。
【「日本流のサービスを徹底します」】
にこやかに記者団のインタビューに応じる、柳井正社長
しかしそれでも、品質が良く使い勝手がよく、いかにも現代の生活にマッチするようなシンプルなデザインはこちらでも人気で、どちらかというと裕福な層に受け入れられているから、「MUJI」はなかなかしゃれたブランドという位置に定着した。
その感覚で「ユニクロ」のパリ値段を見た時、仮に1ユーロが100円と仮定すれば、日本とパリが同価格ということになるのだから、十分にお勉強をした値づけ、と言えるのではないだろうか。
つまり、これは「輸入ブランド」だから高くつくという概念を持ち込んではいない値段。「グローバルブランド」を標榜するがゆえの見識だろうと思う。
また、記者と社長の質疑応答のなかで、もう1つ私がうなずいたのは、「日本流の商売をします。店長以下、社員の教育、店頭でのサービスも、できるだけ日本流でやりたい」という一言。
ずっと暮らしていると、それが当たり前になってしまうが、日本のお店での対応というのは、よその国と比べれば超一流の域にある。「お客様は神様だ」と、ここパリで真顔で口にしたら、「こいつはちょっと頭がおかしい」くらいのことを言われかねないくらい、日本とパリの接客の態度は天と地ほどにも違う。
【日本では信じられない店員の接客態度】
繊維の専門家向けの新聞記者、クリスティーヌ・ガリモンさんは、 質の良さに着目
客の目の前をズカズカと横切る、呼んでも聞こえないふりを装う、店員同士の終わらないおしゃべり、レジや包装の手際の悪さ・・・。細かいことを挙げたらきりがないくらい、とにかくこちらの接客の水準は一般的に低い。
そのあたりのことを十分に理解したうえで、社長は「日本流」を強調したのだろうと思うが、もしそれが徹底できたら、他店との明らかな差別化を図ることになり、サービスそのものがブランドイメージに一役買うことは明らか。一顧客としても、ぜひそう願いたいと思う。
さて、できたてほやほやのお店を見せてもらう間に、フランスのジャーナリストたちと言葉を交わした。
「ファッション・デイリー・ニュース」という繊維や服飾業界の専門家向けの新聞の記者であるクリスティーヌ・ガリモンさんは、既に「ユニクロ」のジーンズの愛用者。
「(パリ新市街の)デファンスにある『ユニクロ』で買って、何度も洗濯をしているけれども、びくともしない」と、その質の良さを挙げたうえで、「買いやすい値段設定にしているから、きっと成功すると思うわ」と、楽観的な感想。
【パリのファッションジャーナリストは少々興奮気味】
若い世代向けのファッション誌の記者、デボラ・マレさんは既に「ユニクロ」のファン
そして、若い世代向けのファッション誌の記者というデボラ・マレさんは、「これはパラダイスね」と、ちょっと興奮ぎみに語ってくれた。
「友達が日本から買ってきてくれたりして、このブランドはよく知っているわ。パリにもデファンスの小さな店でコレクションの一部があるけれど、ここなら全部が見られる」
「木曜日(1日)の昼休みには必ず来るつもりよ。もう自分の欲しいものも決めてあるし、カシミヤのセーターは家族の人数分を買うわ」と、内覧会で既に買い物の下見をするほどに、このブランドのファンなのだった。
さて、そのオープン当日。店の外にはもちろんのこと、各階のレジの前にも長い列ができるほどの盛況の中で、あのデボラさんが、昼休みの間に首尾よくお目当ての買い物ができたかどうか・・・。
ちなみに、私も密かに目をつけていた「+J」のダウンジャケットは、午後4時半の時点で、跡形もなかった。