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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu204.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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日本の雪だるま式に膨れ上がる対外資産、日本が実際には使うことの
できない対外債権こそが、デフレの根本的原因であると位置づけている。
2009年11月21日 土曜日
◆日銀・白川総裁、政府のデフレ状態宣言に「認識に差異はない」との見解示す 11月21日 フジテレビ
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20091121/20091121-00000983-fnn-bus_all.html
日本銀行の白川総裁は政府が経済の現状について、物価が持続的に下落する「デフレ状態」と認定したことに対して、「認識に差異はない」との見解を示した。
金融政策決定会合後の会見で、日本銀行・白川方明総裁は「持続的な物価下落としてデフレを定義した場合、(政府の)判断と同じであると」と述べたうえで、持続的な物価下落の原因は「需要の弱さ」にあるとして、金融政策だけでは物価は上がらず限界があるとの認識を示した。
日銀は今後も緩和的な金融政策を継続するとして、政策金利は現行の0.1%を維持した。
◆円デフレ―日本が陥った政策の罠 ターガート,R.マーフィー・三国陽夫:著
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4492393978.html
使うことのできない対外債確
大量のドルの堆積を保有することがデフレ的であるという考え方は、直観的には抵抗があろう。通貨量が多いのになぜ通貨収縮的なのだろうか。確かに日本は過去一〇年の間、一九三〇年代以来どこの国でもみられなかった著しいデフレ圧力を最初に経験している。これはこの期間の卸売物価の推移が証明するところだ。
本書は、日本の雪だるま式に膨れ上がる対外資産、日本が実際には使うことのできない対外債権こそが、デフレの根本的原因であると位置づけている。日本は対外債権を輸入財貨・サービスまたは円に十分に交換できない。対外債権残高は日本に必要な輸入額をはるかに上回っている。また、もし円に交換されれば円は強くなり、ほとんどとまでは言わないにしても輸出に依存する多くの日本企業は、破滅への道をたどることとなろう。
対外債権残高が日本に課しているディレンマとデフレ的である理由を理解するには、統計やグラフなどで示される単純化された世界から、これらの統計が反映している生産、販売、キャッシュ・フローなどの現実に目を転じることが有益だろう。ソニーのような日本の製造企業が海外に製品を販売したとき、企業はドルを受け取る。ソニーはこのドルで、以下の四つのことのうちの一つができる。
@ドルを海外で外国人が保有している円に直ちに替える」
A日本以外で生産され、しかも生産がドル資金で行われている(すなわち、必要な労働と部材供給などはドル建てで支払われている)資本財または他の製品を輸入するためにドルを使用する
B海外投資のためにドルを保留する
C日本の銀行にドルを売って円に替え、受け取った円を国内での賃金や部材供給者への支払いに充てる
最初の二つの選択肢は、金融的な問題を生みださない。しかし、日本の製造業者は、ほとんどこうした選択をしない。もし最初の二つの選択肢がとられていたなら、今日ほどにまで経常黒字が累積されることはなかっただろう。輸入が急激に増加するか、円が天井を突き破って上昇し、日本の輸出ドライブにブレーキがかかっていただろう。
第三の選択肢であるドルの保留を実現するためには、日本国内での賃金支払いのために、企業は銀行から円資金を借りなければならない。一九八○年代においては、多くの日本企業がそうした行動を実際に取りはじめた。しかし、大部分のケースでは、企業は稼得したドルを日本の銀行に売却して円に替えた。
しかし、ソニーがドルを円に替える取引をした日本の銀行も、ソニー同様に国内でこのドルを使うことはできない。銀行は通常はドルではなく、円で顧客に貸し出さなければならない(もちろん、銀行が外国の財貨を輸入する日本の企業に対して、円をドルに交換するか、ドルのまま貸し付けることは可能である。
しかし、日本は貿易黒字を続けているため、輸入のために必要な以上にドルを稼得しており、しかも年々、稼得額は増大している)。したがって、銀行は入手したドルのほとんどを日本銀行に売却する。そして日本銀行はこのドルを外為特別会計に転売する。
外貨準備額は、輸入資金を賄うために必要である。ドルの稼得額がその必要額を上回るまでは、日本銀行は銀行のドル保有額を引き取り、円の信用創造によって通貨を供給することができた。円の信用創造は、ある意味では、第一に輸出を行う日本の企業に円を支払うためだった。しかし、経済活動が日銀券の追加発行を必要とする以上にドルの保有額が増大していくと、なんらかの対処策を採らなければならなくなった。
ドル滞積を円負債によって賄う
一つの選択肢は、ドルを売って円を買うことである。しかし、日本の外で流通している円資金はあまりに少ない。もし日本の銀行がドルの大量売却を始めたなら、円は強くなり、日本製品が外国市場で割高となるため輸出業者の競争力に打撃を与える。代替策として日本の公的.民間機関は、ドル資産を海外に保有した。
その多くはアメリカ政府や政府機関の債券保有の形をとった。ニューヨーク連邦準備銀行が海外の中央銀行のために保管している七〇〇〇億ドル以上の債券の主要な持ち主は、日本銀行も含めた日本の政府部門となっている。他の部分は融資、債券または株式投資の形をとり、海外諸国の経済活動を賄った。こうした経済活動のなにがしかは、日本の輸出に対する需要を増加させる結果となった。しかし、一九七〇年代初めには、日本のドル保有額は輸出以上の増大を続けていた。
一九七三年のOPECによる原油価格引き上げのあとでは、原油代金の支払いが巨額にのぼったため、日本は稼得したドルすべてを有益に使うことができた。しかし、一九七〇年代央に始まり、とりわけ一九八○年以降は、日本が蓄積したドルは輸出をすらはるかに上回って増加した。これは対外資産(すべての融資残高、債券、株式、企業や工場など海外に所有する資産一残高に対する年問の輸出額の割合をみれば一目瞭然である。輸出額は対外資産の二割程度にすぎない。
輸出超過によって稼得されるドルは、生産が国内消費を上回っていることから生じている。これは日本国内の必要を充足する以上に大きい生産能力から派生したものだ。実際、日本の生産能力は国内で必要水準を超えているだけでなく、一九八○年代初めからは日本が輸出できる水準すら超えてきていた。これだけ大規模な過剰設備は、それ自体が本質的にデフレ的である。デフレーションに立ち向かうために政策当局者は、二つの方法で、生産に関係しない円負債の創造に頼った。資産バブルの創造と、不毛な公共事業支出である。
こうした施策は、経常収支の黒字を維持するために必要だった。黒字の継続には、生産が消費を超え、貯蓄が投資を超える必要があるからだ。黒字の継続を確実なものとするために、日本はドルによる受け取りを甘受しなければならなかった。しかし、黒字を創り出すための過剰生産も賃金や部材も、すべては円貨で支払わなければならなかった。経常黒字をもたらす原因となる国内貯蓄が投資を上回る部分は、国内勘定での取引であるから円建てでなければならない。政策当局者は日本のドルの累積を円負債によって賄うことを余儀なくされた。
輸出超過に相当する国内総生産の部分は、国内での消費に充てることはできない。しかし、輸出超過分を生産するために、その分の賃金は支払われていった。日本の黒字の蓄積が続くかぎり、日本が黒字をドルで保有しつづけるかぎり、日本の経済活動に要したコストは「総販売代金から輸出代金を差し引いた額」から支払われなければならない。それゆえ、生産に従事して支払いを受けたものは、収入のすべてを費消することはできない。その分だけ所得を減少させる方法を見いだし、減少額で消費を上回る生産を支援しなければならない。
日本の支配者である官僚たちは、このディレンマに第一次世界大戦の時に初めて遭遇した。その時以来、財貨・サービスの生産に実際に携わる人たちの所得を故意に減少させることによって対処する方法を、官僚たちは学びとっている。第一に、高い地価は高い家賃や天文学的な価格での土地の販売によって、日本の勤労生産者から所得を移転させることに役だった。
一九八O年代の土地バブルは、生産者から所得を移転させ、現実の経済活動に関係のない預金を生みだすことに、とてつもない成功をおさめた。しかし、バブルの崩壊が生じたために、逆進的な消費税の引き上げと所得税の累進性の緩和とキャピタル・ゲイン課税の引き下げとで、勤労者から消費性向の低い富裕層へ所得を移転せざるをえなくなった。
第二に、不毛な公共事業の浪費もまた、実際の富の生産者が入手できるはずの所得を減少させ、預金するだけで支出しない人たちに所得を手渡した。そして官僚たちの精一杯の努力にもかかわらず地価が下落すると、経常黒字のぺースを維持するために財政支出をさらに増大させなければならなかった。
貨幣機能を除去された円預金
蓄積されたドルの退蔵から生ずるいろいろな問題点は、会計面から光を当てることによっても理解することができる。日本が保有するドルは、会計上の定義により資産である。これらの資産は、それに対応する負債を必要とする。日本のデフレ現象のディレンマ物語が展開されるのは、金融当局者がドル保有のための負債を創造する方法を見つけだし、実行していく過程にある。
日本の場合、これらの負債は圧倒的に円預金の形をとる。円預金が融資や株式投資を通じて日本経済の内部で機能を果たすように創造されるのではなく、少なくとも日本に関するかぎり使用されることのできないドルの蓄積を支えるために用いられる。すなわち、国内金融システムからその分だけが貨幣としての機能が除去されていることになる。
預金の形をとった貨幣は、輸入代金の支払いには使われていない。国内財貨・サービスヘの支出にも費消されない。工場や設備への投資にも用いられていない。単に遊休状態にあるドル資産を支えているだけである。遊休ドルにより生ずる貨幣機能の喪失は、通貨供給量(M2十CD)のうち経常黒字の蓄積額に相当する残高と定義することができる。金融システムから多くの貨幣の漏出が生じていれば、価格の下落を意味するデフレが生じ、同時に経済の鈍化が起きる。
日本が直面するディレンマを別の形で表現してみよう。労働者や供給者の中で輸出超過分に相当するドルを稼得したものは、その対価を円で支払われる。しかし、国内の他の労働者や供給者に提供される財貨・サービスは、彼らは最終的には生産していない。彼らは外国人のために生産している。
もし外国人が日本人によって購買される財貨を生産しているのであれば、そこには問題は生じない。しかし、現実は日本人が購入する財貨・サービスを外国人は生産していない。それゆえ、日本は絶えることのない貿易黒字の累積を保有することになる。そして、輸出のために一方的に財貨を生産する人々への支払いに用いられる預金は、日本経済からの貨幣機能の流出となる。(P40〜P46)
(私のコメント)
日本で起きているデフレの原因は消費が低迷しているからですが、なぜ消費が低迷するかの因果関係を説明している記事が少ない。根本的な原因を追究していくと輸出産業が売った商品のお金をそのまま海外(アメリカ)にプールしてしまって日本に返ってこないからだ。輸出企業がドルを売って円を買えば円が上がってしまってしまうから日本に金は返ってこない。
それだけ日本に流通するマネーが減るからデフレが起きる。逆にアメリカでは日本のマネーが滞留して再投資されるから金回りが良くなって好景気が続いてきた。アメリカは経常赤字が続き日本は経常黒字が続いてきた。日本は国内で必要とされる物を生産するほかに輸出用の物を別に生産してきた。しかも最近ではどちらも過剰な設備を抱えている事がデフレをさらに悪化させている。
日銀では需要が少ないから物価の値下がりが起きていると当たり前の事を行っていますが、消費がなんで落ち込むかの原因が分かっているのだろうか? それは労働者の可処分所得が落ちてしまっているからですが、輸出企業が稼いだマネーが日本に還流して来ないから金詰りが起きている。それをカバーする為に日本政府は借金して公共工事などでマネーをばら撒いていますが、それでもまだ足りない。
日本の円が1ドル=365円で固定されていた頃は輸出すれば輸出しただけ円は還流してきた。ところが為替が変動相場制になってから輸出企業は円高になるのを避けるためにアメリカに滞留させたままにするようになった。国内用に作られる物は労働者は働いただけ売上げとして戻ってきますが、輸出用に作られる物は海外に売ったきり労働者には戻ってこない。
だから輸出に励めば励むほど代金は海外にプールされて国内は金詰りになる。石油ショックなどがあって石油は高騰してドルの使い道があればいいのですが、石油価格は長い間低迷していた。70年代のオイルショックや2007年の石油の高騰はドルの使い道が出来て円安傾向になり日本経済はかえって復活して強さを増した。
バブルの崩壊もデフレの大きな要因ですが、1500兆円の金融資産が国内の株や不動産に再投資されていれば金詰りも収まるのですが、1500兆円の金融資産の多くが海外に投資されているのも金詰りの原因だろう。現在では株は利回りで買えるほどだし不動産も利回り採算で買っても預金利回りよりはるかにいいのですが買われる事は無いようだ。
税制でも以前は所得の再分配システムが働いてマネーは回っていたのですが、最近では累進税率が緩和されて高所得者にマネーが滞留するようになったのもデフレの原因だろう。このように日本のデフレには様々な要因が重なっているのですが、長期間続いた経常黒字がデフレの主な要因になっているのだろう。
もし為替が固定化されていれば日本経済が一人勝ちになって日本中にカネがあふれていたかもしれない。株や土地も上がりっぱなしになってバブルの崩壊は起きなかったかもしれない。だから為替の変動相場制に合った経済に切り替えていれば良かったのでしょうが、日本政府は輸出産業にばかり優遇してきた。
日本は資源も食糧も自給できないから輸出産業を強化しなければいけない理由もあるのですが、ドルをいくら貯めこんでも使い道がない。出来る事は新興国に投資をして金融収益を稼ぐ事ぐらいですが、日本は金融産業には不向きなようだ。だから1500兆円ある金融資産も国債を買うぐらいしか能が無く、積極的な新規産業に投資するようなベンチャーキャピタルが出来ない。
日本の人材教育方法も優れたサラリーマンを作るような教育に特化してきた。日本人でもゴールドマンサックスやモルガンスタンレーで働いているような人もいるし、ファンドを立ち上げて運用している人もいますが少数であり、金融立国にはかなり時間がかかるだろう。むしろ物作りに特化して行ったほうがいいのかもしれない。
ターガート・マーフィー氏はハーバードを出てゴールドマンサックスなどを経た筑波大の教授ですが、円デフレの状況を詳しく解説している。素人にはドルを大量に抱え込む事がどうしてデフレの原因となるかがわからないだろうが、使うことが出来ないドルが増えれば増えるほどデフレになるのは当然だ。どうせなら中国みたいに輪転機を回してドルを買いまくればいいのでしょうが日銀にはそれだけの事をする蛮勇が無い。
本来ならば円も国際通貨として基軸通貨化を目指すべきなのでしょうが、日本政府にはそれだけの覚悟が無い。円が国際通貨として流通していれば輸出企業のドル売り円買いも吸収できるのでしょうが、円の流通量が少ないから少しの買いで円は急騰してしまう。中国は着々と人民元をばら撒いて国際通貨としようとしている。
日本が官民が持っている数百兆円のドル資産はドルが暴落すれば大損害を被る。だからユーロなどに分散しておくべきなのでしょうが、日本人には金融的なセンスが無い。だから金融立国もとてもハゲタカにはかなわないから無理だろう。問題なのは政府や日銀にも金融的なセンスが無く、デフレに対する適切な対応が取れないことだ。物価の値下がりが「需要の弱さ」で片付ける事が問題なのだ。
金融的なセンスがあればリフレ政策にも取り組むべきなのでしょうが、日銀はリフレに取り組む姿勢が見えない。本来ならば海外に固定されたままのドル資産の分を政府日銀が国内で使うべきなのでしょうが、日本も輪転機を回して財政出動すべきなのだ。それをしないからますます円が高くなりデフレも酷くなる。日銀が株を買うのも輪転機を回すのと同じであり、政府が国債を発行するのも同じ事だ。
問題は政府が財政でどうやって使うかですが、100万円の定額給付金を国民にばら撒けば一番手っ取り早い政策だ。そうなれば円が売られて安くなって輸出産業が生き返る。しかしそのような事は政府では出来ないだろう。民主党幹部も金融が分かっていないからムダ撲滅ばかりやって大胆な財政出動が欠落している。アメリカや中国が輪転機を回しているのだから日本も輪転機を回すべきなのだ。