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http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-11-21/2009112102_01_1.html
これはあまりに乱暴すぎる
行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)の「事業仕分け」の前半作業が終了しました。
これまでに約240事業を判定していますが、削るべき事業を対象外にしたり、現場の意見を反映しない乱暴な議論が目立つなど、問題が浮き彫りになっています。
目に余る強引さ
暮らしの予算を充実させるには5兆円規模の軍事費の大幅削減を避けて通れません。それができるかどうかは、本気で暮らしの予算を拡充しようとしているかどうかの試金石です。
ところが軍事費で「仕分け」の対象にしているのは、広報や自衛隊員の募集事業など枝葉です。ヘリ空母やミサイル防衛など主要な予算は対象にもしていません。米軍への「思いやり予算」でも、「仕分け」の対象としているのは、自公政権下でも財務省が主張していた基地労働者の賃金だけです。
年間320億円もの国民の血税を政党が分け取りする政党助成金を除外していることも、まったく納得できません。鳩山首相は所信表明演説で「政治の信頼を取り戻す」ことを強調しました。無駄をなくすと言いながら、自分たちが分け取りしている政党助成金は温存するというのでは、信頼どころか不信を広げるだけです。
強引なやり方も目に余ります。
診療報酬の議論で財務省は借入金の返済など経営経費を考慮に入れない年収だけを比較し、開業医の「高収入」を問題にしました。財務省は「勤務時間は病院のほうが長い」とも指摘しました。しかし日本医師会の調査では40歳代以上では開業医の勤務時間の方が長くなっています。事実に反する議論まで持ち出して財務省が求めたのは開業医の診療報酬引き下げです。結論も「開業医・勤務医の(診療報酬の)平準化」となりました。これは、民主党が掲げた「診療報酬を増額する」というマニフェストにさえ反します。
薬価見直しについては漢方薬、湿布など「市販品類似薬」を保険外にすることも検討対象に含めました。そんなことをすれば医療現場で欠かせない薬を使えなくなるとともに、低所得者はますます医薬品を利用しにくくなります。
入院時の食費を患者負担増の方向で見直し、パートの均衡待遇助成金も見直し、子どもの読書推進の事業は廃止など、生活関連の予算を無造作にカットしています。科学・スポーツなど採算や効率では評価できない事業も、「赤字だ」「民業圧迫だ」と切り捨てる議論は、あまりにも乱暴です。
鳩山内閣には、暮らしを犠牲にして大企業とアメリカに奉仕する自公政治の根本を切り替える視点が見られません。その矛盾が「事業仕分け」にも表れています。
世論で打ち破ろう
もともと「事業仕分け」を推進したのは小泉内閣です。事業ごとに採算・効率を取り上げ、公的な事業を減らして民営化を進めるテコにする狙いがありました。
それを引き継いだ鳩山内閣の「事業仕分け」にも、「仕分け人」として、経済財政諮問会議や規制改革会議の関係者ら小泉「改革」の推進者が名を連ねています。
「構造改革」路線に対する国民の厳しい審判を押し戻そうとする抵抗の動きが起きています。国民の世論と運動で打ち破っていこうではありませんか。