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(回答先: バフェット楽観「株式市場は底打った」、「パニックは“友”」 投稿者 gikou89 日時 2009 年 11 月 17 日 01:26:31)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=aAFduREjsYvo
11月9日(ブルームバーグ):これは多分、千載一遇のチャンスだ。
著名投資家ジム・ロジャーズ氏は、金相場がオンス当たり2000ドル以上と倍に値上がりすると予想する。米ニューヨーク大学スターン経営大学院のヌリエル・ルービニ教授は、この予想を「全くナンセンス」だと切り捨てた。両者のように市場の有名人が論戦を展開することで、極めて重要な議論に脚光が当たっている。つまり、インフレとデフレ、どちらのリスクがより大きいかという問題だ。
インフレはしかし、多くの人が懸念しているほどではない。こう言うと、ナショナル・インフレーション・アソシエーション(NIA)から非難を受けるだろうが、それは甘んじて受ける。米国民をハイパーインフレに備えさせることを目指す団体のNIAは先週、金をそれほどの高値に押し上げるようなインフレは存在しないと主張したルービニ教授をたしなめ、同教授について「インフレとデフレを理解していない」と指摘した。
では昨今、誰が真に理解しているというのだろう。経済や市場を従来型のレンズを通して眺めても、ほとんど理屈は通らない。2年前には岩のように頑強に思えた概念の多くが、今は揺らいでいる。
ジョン・リード氏の意見を聞いてみよう。同氏は、米シティコープの会長兼最高経営責任者(CEO)だった当時、シティコープとトラベラーズ・グループを合併し、シティグループ誕生を指揮した。リード氏は先週、その合併は「誤り」だったとの見解を示すとともに、シティグループほどの規模を持つ大手行は分割すべきだと語った。シティは450億ドル(約4兆600億円)の公的資金注入を受けている。銀行業務と証券業務の明確な分離を定めたグラス・スティーガル法を1999年に廃止したことは結局、とんでもないアイデアであったということだ。
良かれと思ったことが裏目に出て、その反対も起こる。こうした方向感覚を失うような状況の中では、政策当局が多岐にわたる新たな課題に対し、古いアイデアや関係を適用することがリスクだ。景気刺激策によって経済はやっと安定してきたばかりなのに、時期尚早に「出口戦略」に走ることになれば、そうした失敗の一例となるだろう。
インフレリスク
米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行、イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利をゼロ付近にとどめ、欧州中央銀行(ECB)も大差ない状況を考えれば、インフレリスクを排除するのは愚かとしか言いようがない。世界の中央銀行は、今回の金融危機の克服に向けて打ち出した緊急措置の解消に動き出しつつあるが、それは適切なことだ。
危険なのは、政策当局が出口戦略を推し進めるあまり、行き過ぎてしまうことだ。簡単に言えば、それこそがルービニ教授の言わんとするところで、その見解に抵抗するのは難しい。確かにインフレは封じ込められるだろうが、短期的にはデフレ圧力が生じるだろう。
私にとっては、ルービニ教授の懸念はロジャーズ氏の金の強気見通しよりも説得力がある。同時に、新興市場株の上昇相場にはバブルが広がっているとのロジャーズ氏の見方にも賛同する。
1オンス=2000ドル
2010年が近づくにつれ、金相場は上昇が続くとの予想が広がりつつある。インドが最近67億ドル相当の金を購入したことで、上昇基調に注目が集まっている。だが、流動性のわなにはまっている世界では、物価上昇圧力は通常のリスクではない。
インフレが加速していないというわけではない。新興市場では特にそうだ。米金融当局の超低金利政策が結果的に、中国とインドネシア、タイでインフレ加速を引き起こす可能性は高い。米国ではマネタリーベースが過去1年間、急激に増加しているが、奇妙なことにその流動性拡大の恩恵を受けているのは主に新興市場株だ。
同時に、借金漬けの米国の一般世帯では、失業率が10%超えとなった現在、一段の支出切り詰めが予想される。先週末発表された10月の米失業率は26年ぶり高水準となり、個人消費にとって大きなマイナス材料だ。
大き過ぎてつぶせない
加えて、米政府は「大き過ぎてつぶせない」という教義にのめり込んでいる。米住宅金融のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)は、今度は150億ドルの追加公的資金の注入を求めている。シティグループや保険会社アメリカン・インーナショナル・グループ(AIG)、金融大手ゴールドマン・サックス・グループの幹部は皆、米政府がそうした金融機関をリーマン・ブラザーズ・ホールディングスと同じ道はたどらせないことを承知している。
そうした前提が、金融機関に無謀な経営戦略を促しており、今後の商業用不動産や他のセクターの不均衡解消プロセスを遅らせることにつながるとみられる。こうした動きは、多くの人が認める以上に、日本がこの20年間に経験したことが米国にも関係していることを示唆している。日本は依然として、デフレに取り組んでいる。
日米間の主要な相違点は、金融面での痛みの中心の違いだ。日本では、企業部門の不良債権が中心だったが、米国では一般世帯がその中心だ。
米国は住宅取得促進策を延長・拡大することで、新たな不良債権危機の種をまく恐れがある。景気低迷の中で、住宅を賃貸していた方が幸せな人たちに購入を促す政策がどれほど良いかという話は、私の理解を超えている。痛みを和らげる、余りにも日本的な話だ。
日本の教訓
ウォール街が、日本の経験から学び損ねていることがまだある。それは「申し訳ありませんでした(I’m sorry)」という言葉が持つ力だ。リード氏がブルームバーグ・ニュースのボブ・イブリー記者に対し、まさにこの言葉を使ったことは大変な驚きだった。バンカーとは決して自らの非を認めないものだからだ。自らを省みることはせず、その強欲さが果たした役割についても知ろうとはしていない。ボーナスで肥え太ったバンカーたちが、再び自分たちに報奨を与えつつある。これ以上にドラマチックな話はない。
バンカーたちは、市場が再び低迷すれば、その戦略を後悔するだろう。金融当局者たちは行き過ぎることなく、時期尚早でもなく、そして世界をデフレに陥らせることもなく、資産価格から一部のフロス(小さな泡)を取り去るという芸当を求められている。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)