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【経済コラム】日米「冷戦」など信じてはいけない−W・ペセック 11月16日
(ブルームバーグ):
次の冷戦について聞いたことがあるだろうか。
関係するのはロシアでも中国でも、それに共産圏でもなく、日本だ。日本の新政権は米国から離れつつあり、自分たちの政策で何ができるかを米政府当局に伝えている。最近の報道からは、少なくともそんな印象を受ける。
しかし、これを信じてはいけない。鳩山由紀夫首相率いる民主党が米国を軽視しているとの見方は非現実的であるばかりか、間違っている。経済・安全保障面で重要なこの関係の動向に気をもんでいる人たちは、鳩山首相がどれほどオバマ大統領を必要としているかを考えていない。その逆も同じだ。
日米の力学は確かに変化しているが、対立よりも進化という面が強くなっている。このテーマは日米にとどまらない。米国の問題が深刻化するなかで、中国と勢いを増している地域の台頭にも関係している。
オバマ大統領は、ブッシュ政権で8年間にわたって忘れられてきた影響力を再構築したい考えだ。大統領は東京、シンガポール、上海、北京、ソウルの訪問で、米国が参加しない形で関係を築いてきた地域との関係拡大を表明している。
一方、アジアの多くの国は、来年にも日本経済を上回ると見込まれる中国の対抗勢力として、米国の強い関与をなお求めている。説教を聞かされるのはまっぴらだろうが。
シンガポールのリー・クアンユー顧問相(元首相)は先月ワシントンで、「中国の規模を考えると、日本とインドを含めたアジアの他の国が約20−30年後に影響力・生産量ともに同国に匹敵するのは不可能だ」とし、「だから、米国にうまくバランスを取ってもらう必要がある」と述べた。
注目集める中国
こうした発言はアジア諸国の多くの立場を象徴している。中国は世界の投資の多くを引き付けるだけでなく、注目も集めている。
ブッシュ大統領の在任中は中国にとっては良い時期だった。中国は積極的な一次産品の購入を進め、貿易協定や金融支援の実施で途上国から高い評価を得ることが可能だった。この時期、日本もアジアへの影響力が低下した。
私が最近シンガポールの経営大学院で司会を務めたパネルディスカッションでは、日本にはほとんど関心が払われなかった。日本に言及すると、聴衆は明らかに無関心な様子だった。携帯端末を取り出し、トイレに行くきっかけになったようだ。これはアジア地域では一般的な傾向になっている
日本の新政権が、日本経済に対して投資家の関心度がどのくらい低下しているかを把握しているかは分からない。しかし、アジア重視の傾向が強まっているのは追い風だろう。中国が今や日本にとって最大の貿易相手国であることを考えれば、それは論理的で健全な変化だ。
日本のシフト
日本の立場の変化は驚くべきことではなく、米国にとって必ずしも悪い前兆ではない。日本は安定した民主主義国家で、経済規模は世界2位だ。米国とより対等な関係を求めるのは当然ではないか。政権を奪われた自民党の失敗は、日本を米政府に対して従属的な立場にしたことだ。
自民党は靖国神社参拝や米国との緊密な関係構築によって力を誇示できると考えた。一方、鳩山首相は真に世界的な影響力や欧米諸国からの自立という問題に比べると、空疎なジェスチャーには関心がない。
選挙期間中の鳩山首相の主張は国内の期待を高めた。米国と日本が半世紀にわたる完全保障面での同盟を見直すなか、沖縄で先週、米軍基地をめぐって2万人以上が抗議行動に参加したことで十分に分かる。
これは、米国との同盟関係を鳩山政権が台無しにするということを意味するものではない。北朝鮮の核問題や中国の軍事的野心、米消費者の継続的な重要性でアジアを特徴付けるのは大きな間違いだろう。鳩山首相とオバマ大統領が地球温暖化対策に取り組む方針もすでに明らかになっている。
日米関係は今後変わる。また、そうなるべきだ。両国の隔たりが悪化することへの懸念は、目の前の現実には全くそぐわない。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920021&sid=a0_XBxu7u8pk