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第3536回
グローバル化と言っても、ピンと来ない人がたくさんいます。
地方に行くと商売が成り立たなくなって、
シャッターをおろしている店がふえる一方ですが、
それでも住みなれたところにしがみついている人がたくさんいます。
私はそういう人を植物にたとえていますが、
もちろん、日本人の全部が全部、
植物のように自分の足を持たない人間だというわけではありません。
世の中を見ていると、
農耕時代には60年に一ぺんくらいの間隔で世の中が変わりましたが、
工業化がすすむと30年に短縮されるようになりました。
現に戦後の日本の高度成長時代は30年で
日本をアメリカに次ぐ経済大国にまで押し上げました。
ところが、成長社会が成熟社会に変わると、
産業界の寿命は更に短命になって、
30年が10年になってしまいました。
どこかの会社がグングン成長して人々の注目を浴びるようになっても
全盛期は10年くらいしか持たないようになってしまったのです。
ですから私も一くぎりを10年に切って、
10年間にどんな変化が起るか考えるようになりました。
グローバル化が進むと、日本はどうなるのか、
どんな事業が大きくなるのか、
誰がそういう意味で一番世間の注目を浴びるようになるか、
そういう角度から世間の動きを観察するのです。
その結果、10年前に私が考えたことは、
国によって産業界にも物価にも大きな格差があるので、
この格差を一番うまく利用した人が
富を築くに違いないということでした。
その角度から見て、私はユニクロの柳井正さんと、
100円ショップの創業者である大創の矢野博丈さんが
その位置に立っているのを見て、
お2人と親しくつきあうようになりました。
いずれも日本と中国の物価や人件費の段差に目をつけて
それをうまく利用する事業を起して、
片一方は日本一の大富豪に、
もう一方は1品100円均一のチェーン店で
年商3千3百億円の大商いをするようになったのです。
そうした変化に目をつけて、それを企業化するかどうかで、
時代の最先端を行く業績をあげることができたのです。