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(回答先: 懲戒歴職員含め厚労省非常勤に=分限免職回避へ検討−長妻厚労相 投稿者 gikou89 日時 2009 年 11 月 14 日 01:37:36)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091113-00000022-scn-bus_all
格差は拡大していないとの主張もありますが、ここ数年で格差が拡大したとの前提に立てば、その原因として、小泉内閣による構造改革・規制緩和が槍玉に挙げられることが多いです。しかし、小泉政権であってもなくても、構造改革をしてもしなくても、過去10年程度の期間における格差拡大は止めようがありませんでした。なぜならば、別に真犯人がいるからです。
格差拡大の真犯人は「デフレ」です。
デフレとはインフレの反対語で、インフレのほうはイメージしやすいでしょう。インフレとは物価が上昇することで、言い換えれば、貨幣の価値が相対的に低下することを意味します。わかりやすくいいますと、1個100円のモノが、1年後に5倍の500円に値上がりするような超インフレが起きたとします。1年前に100円玉1枚で買えたのに、1年後に100円玉5枚必要です。ということはつまり、貨幣の価値が5分の1に低下している。というわけです。
デフレは、これとまったく正反対。デフレとは物価が下落すること。デフレとは貨幣の価値が相対的に上昇することを意味します。
資産1億円のお金持ちと、貯金が1円もない貧乏人がいたとします。年収は2人とも300万円程度で同じです。デフレは物価が下落するので、貧乏人にとってありがたいような気がしますが、実はまったく逆。既述のとおり、デフレは貨幣の価値が相対的に上昇しますので、お金持ちは何もしなくても、資産1億円の価値が上昇します。
まだわかりにくいと思いますので、極端な例を挙げましょう。一戸建ての家が8000万円、食費が年間200万円かかるとします。デフレで、1年後にすべての物価が半額になったとします。一戸建ての家が4千万円、食費が年間100万円になりました。資産1億円のお金持ちは、1年前には 一戸建ての家を買えば資産の大半が消えましたが、デフレで半額に値下がりしたので、セカンドハウスを買うこともできます。食費は資産1億円あれば今後50年間遊んで暮らせましたが、それもデフレで半額になりましたので、今後100年、つまり死ぬまで遊んで暮らせそうです。
一方の貧乏人にとっても、デフレが良いように思いますが、ここに金持ちとの決定的な差があります。デフレは企業の売上も、企業で働く人の給料をも同時に下げてしまう恐ろしい現象です。年収はお金持ちも貧乏人も等しく300万円から150万円へと半減しました。そうなると、年収300万円で食費200万円のカツカツの生活だったのが、年収150万円で食費100万円と、生活の苦しさは以前と何ら変わりません。一方のお金持ちは、死ぬまで遊んでくらせる目処が立ち、年収150万円の仕事なんてもう辞めてもいいくらいです。
これが、日本の格差拡大の真相です。格差といえば、正規雇用と非正規雇用の格差がよくいわれますが、最低賃金を引き上げることも、所得に対する累進課税を強めることも、貧乏な現役世代同士の潰し合いに過ぎず根本的な格差是正にはつながりません。日本における一番深刻な格差は、世代間格差です。もともと日本の個人金融資産は高齢者に偏在していましたので、90年代後半以降ほぼ恒常的に続いている深刻なデフレ期間中に、“持てる高齢者”と“持たざる若者(現役世代)”との世代間格差が大きく拡大してしまったのです。今年もデフレが深刻ですので、資産を持つ者は相対的にさらに裕福に、資産のない者は相対的にさらに貧乏になっています。
この先、日本の格差拡大を本当に食い止めたいのなら、本気で格差を是正したいのなら、いくら構造改革や市場原理を敵視しても何の役にも立たず、手当・給付金をばら撒いたところで根本的な解決にはつながらず、長年日本が悩まされ続けているデフレを克服しないことにはどうにもなりません。(執筆者:為替王 編集担当:サーチナ・メディア事業部)