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裏の理由を考えたくなるサウジのWTI利用中止(KlugView)
2009/10/30 (金) 12:47
10月28日、エネルギー相場の査定を手掛ける英アーガス・メディアは、サウジアラビア国営のサウジアラムコが、米国向けの原油販売価格を決める基準として米国産標準油種(WTI)を使うのを止め、来年1月からアーガス社の指標に切り替えると発表しました。
WTIとは、「West Texas Intermediate(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)」の略で、アメリカ・テキサス州西部とニューメキシコ州南東部で産出される低硫黄の軽質原油のことを指します。WTIは、硫黄分が少ないため、ガソリンや灯油などを多く取り出せる高品質な原油とされています。
WTIの原油先物は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されており、取引量が多いことから、北米原油価格の指標的な役割を果たしています。日本の報道で、単に「原油価格」と報じられる場合、ほとんどがWTIの原油先物価格を意味します。
報道によると、サウジアラムコが、WTIの利用を止める理由として、投機資金の影響でWTI原油価格が乱高下することが指摘されています。また、WTI原油の受け渡し場所であるオクラホマ州クシン周辺では、貯蔵能力の不足が表面化しており、技術的に受け渡しが難しくなり、価格が不安定になりやすくなったとの指摘もあります。
サウジアラムコがWTIの利用を止める理由は、おそらく各種報道の通りなのかもしれません。しかし、気になるのは、これまで対米追従姿勢を一貫として取り続けていたサウジアラビアが、彼等にとって非常に重要な原油販売価格について、米国ではない、英国の一企業の指標に切り替えた点です。
ドルが基軸通貨として流通している理由の一つとして、原油決済にドルが使われていることがあげられます。原油は、どこの国でも必要な物資のため、日本のような非産油国は、海外から原油を購入することが必然となります。
言い換えれば、原油決済にドルが使われている以上、非産油国は、自国通貨をドルに換える必要があります。原油を切らすことはできませんから、すぐにドルを必要としなくても、ある程度のドルを外貨準備として保有することも必要になります。
ところが、ドルでなくても原油を購入することができるのであれば、無理にドルに固執する必要もありません。この動きが強まれば、基軸通貨としてのドルの地位も低下することになります。
英インディペンデント紙は、10月6日、アラブと中国銀行筋の話として、中東の湾岸諸国が、日本、中国、ロシアなどと、原油取引をドル建てから、通貨バスケット建てに移行する秘密交渉を続けていると報じ、市場で大きく話題になりました。
報道後、サウジアラビアやクウェートが、報道を否定しましたが、中東の産油国は、自国通貨をドルとペッグ(固定)しているだけに、ドル安による原油収入の目減りに不満を持っているのは間違いないでしょう。
こうしたことを考えると、サウジアラビアのWTI離れは、価格が不安定だから、という理由だけではないように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
WTIとは何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
「West Texas Intermediate」の略で、アメリカ・テキサス州西部と
ニューメキシコ州南東部で産出される低硫黄の軽質原油のこと
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/10/30/007207.php