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(回答先: 【一筆多論】井伊重之 3月雇用危機に備えよ 投稿者 gikou89 日時 2009 年 11 月 02 日 01:57:24)
http://president.jp.reuters.com/article/2009/10/30/5686B106-C507-11DE-A8E9-35223F99CD51.php
「オバマ政権になって、昨年よりも多くの企業が新たに立ちあげられています」不況下に多くの新会社がスタートしているという事実に、一瞬耳を疑った。
文=堀田佳男
「オバマ政権になって、昨年よりも多くの企業が新たに立ちあげられています」
アメリカ取材中に聴いた「ニュース」だった。不況下に多くの新会社がスタートしているという事実に、一瞬耳を疑った。
景気はゆるやかな回復基調にあるとはいえ、起業数が増えているとの話はほとんど聞かない。アメリカの失業率は10%に手がとどく高率で、工場稼働率はいまだに7割程度でしかない。
調べてみると全米レベルの話ではなく、地域限定で活況を呈している州があった。カリフォルニア州である。09年1四半期の起業数は476社、2四半期になると53%も伸びて729社が新たな企業としてスタートしていた。08年比でも3割以上もアップしている。
ワシントンにある全米ベンチャー・キャピタル協会のマイク・ヒーセン会長は、その背景として投資家が新しい企業に投資する動きは不況に大きく左右されないと語る。
「ベンチャー・キャピタル(以下VC)はつねにアメリカ産業界に新しい空間を作り出してきたという自負があります。不況で投資の総額は減っていますが、起業家を育てていこうという動きは止まりません。マイクロソフトやグーグル、インテル、eBayなどはすべてVCの資金で育ったのです」
しかもIT業界が集まるシリコンバレー周辺だけではない。同州南部のロサンゼルス周辺やサンディエゴ周辺でも前年比で起業数はのびている。特にバイオメディカル、ソフトウェア、クリーンエネルギーの3分野の伸びが目立つ。
どれほどの資金がVCから流れているのだろうか。サンディエゴ周辺だけでも、1四半期に9060万ドルの資金が新しい企業に流れ込んでいた。それが2四半期になると90%増の1億7200万ドルにアップしている。
今年創業された企業の中には10億円以上もの投資を受けたところもある。サンフランシスコに本社を置くバイオテク企業の「スパインガード」社は、背骨の手術に使用する医療機器の特許をもつ企業で、4月に1100万ドルの資金が集まり、9月にはさらに400万ドルが追加投資された。
VCは近年の不況でも、資金の枯渇というより有望な投資先の減少に直面していた。絶えず投資先を物色しているのが実情で、「スパインガード」のようなバイオテク分野で、かつ多大な需要が望める企業には多額の資金が集まる。
オバマ政権の誕生がVCの勢いを強める直接の理由になったわけではないが、カリフォルニア州のようなリベラルな土地では、共和党のブッシュ政権とは確実に違う風が吹き始めている。前出のヒーセン会長が説明する。
「オバマ大統領はテクノロジーの重要性とさらなる改革がアメリカを前へ進ませる原動力になると述べています。クリーンエネルギー分野での新種バッテリーや電力分野のスマートメーター、バイオテクノロジー分野でのさまざまな改革など、大統領は新しいテクノロジーとイノベーションに対して多大な敬意を払っています。GMやフォードが過去何十年もかかってできなかったことでも、新しい企業ならできると信じているのです」
こうした起業家精神の高まりがアメリカ文化の貴重な一面であると語るのは、24歳にして20社以上を立ち上げ、すでにミリオネア―の仲間入りをしたキャメロン・ジョンソン氏だ。
「アメリカでは失業した時に、起業家として新しい会社を立ち上げる人が大勢います。さらにそうした人を育む文化があります。多くの起業家は失敗の経験者ですから、失敗を成功に活かすという前向きな考え方が広く流布しています。同時にリスクをとることも重要です」
VC業界を見回すと、多くの外国人がアメリカに来てベンチャー事業を起こし、VCからの投資を受けている。インド人や中国人など、アメリカに渡って事業をやること自体、すでに「リスク・テイカー」とさえいえる。さらに最近の傾向として、ある程度の成功を収めた人が本国に戻って起業家として成功する例が目立ってきている。
けれども起業家にとってすべてがバラ色であるわけではない。
金融危機の余波で、政府の支援なしでは生存が難しい金融機関に対しての規制が強化される動きがあり、起業家に投資するVCにも影響が出そうな雲行きである。オバマ政権と議会は歩調を合わせ、再び金融危機を起こさせないために多岐に渡る規制を行うつもりだ。
政府の規制と民間企業の活動とは絶えず表裏一体をなす。規制をかければビジネスの自由闊達さが失われて収益が減り、結果として法人税の税収も減る。逆に規制緩和をすると、税収は伸びる一方で、一部企業による暴走が問題になる傾向がある。
政府の規制は金融機関の暴走を食い止めるためにも、金融バブルの再来を防ぐ意味でも必要であるが、過度な規制はビジネス界全体に暗雲を垂れこめさせることになりかねない。特にVC分野に政府が入り込むと、技術に特化した企業への投資が滞る可能性がある。むしろオバマ大統領には、起業家がのびのびと新しいビジネスや商品を開発できる環境を整えてほしい。その意味でも規制は慎重でなくてはいけない。
最後にヒーセン会長が起業家を代表して述べる。
「オバマ政権になってから、代替エネルギーやライフサイエンスの分野で次なるグーグルやeBayのような新進企業が誕生するかもしれないのです。ですから規制はほどほどにして、起業家たちが十分な資金を受けられるビジネス環境を維持してほしいと切に望みます」。