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BNPパリバに4回目の行政処分 不正行為をやりたい放題の外資系の横暴(上)
[東京レポート] 2009年10月28日 12:12 更新
外資系金融機関の不正が、また繰り返された。金融庁は10月23日、仏金融大手BNPパリバ証券の東京支店に対し、11月2日から16日までの間、株取引をほぼすべて禁じる業務停止命令を出した。パリバに対する処分は2000年以降、今回で4回目。本国フランスでは同じような不正はしないだろう。日本だから好き勝手がやれるのだ。
<ソフトバンク株の不正取引>
今回の処分は、証券取引等監視委員会の勧告を受けた措置。パリバがソフトバンク株を巡って不正な取引をしていたうえ、不動産会社・アーバンコーポレイション(広島市)の社債発行にからむ案件でも、金融庁に事実と違う報告をしていたと認定した。
スクープしたasahi.com(10月17日付)によると、ソフトバンク株の不正取引は08年11月5日。取引終了15分前から20回に分けて、高い値段を指定して合計1,000万株(約125億円分)の買い注文を出していた。さらに取引終了2分前からは、追加で350万株(約40億分)の買いを注文。他の投資家からの売りを吸収し、大量の買い注文を残ったままにした。その結果、値段がつかない「ストップ高買い気配」にしていた。
監視委は、この行為が金融商品取引法が禁じる「作為的な相場形成」(売り買いの実勢とかけ離れた値動きをわざとつくり出す行為)にあたると判断したという。
金融庁の処分を受け、パリバは、日本代表を務めた安田雄典氏(62)の辞任を発表した。
<投資銀行で後発の焦り>
BNPパリバは、2000年にパリ国立銀行とパリバが合併して誕生。85カ国の拠点に16万人の従業員を擁する巨大金融グールプで、日本での証券事業を担うBNPパリバ証券は、香港に本店を置く。日本の従業員は600人で、日本の代表を長年務めてきたのが安田氏だ。
安田雄典氏は70年東大経済学部を卒業後、ハーバード大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。日本航空を経て、85年にコンパニー・フィナンシェール・ド・パリバ駐日事務所上席代表に就任した。89年、パリバ証券(現・BNPパリバ証券)東京支店長となり、20年にわたり日本代表を務めた。
パリバが不正取引を繰り返すのは、米系大手に企業買収などの投資銀行業務で後れを取っていたことが背景にある。日本の証券会社が株式取引の委託手数料を収入源としているのに対し、投資銀行はM&A(合併・買収)のアドバイスなどが収益源。日本では90年代後半からゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが、最新の金融技術を駆使して日本市場を席巻。2000年から国内外の金融機関が投資銀行業務に参入した。
投資銀行業務で、ゴールドマンとモルガンに水をあけられた焦りから、リーマン・ブラザーズの日本法人代表の桂木明夫氏は、ライブドアに乗っ取り資金を出して荒稼ぎするようなやり方をした。
パリバの日本代表・安田氏も、投資銀行業務で後発だという同じ焦りに突き動かされていたことは想像に難くない。アーバンコーポレイション事件の際、この問題を検証した弁護士らで構成する外部の調査委員会は、「パリ本部からの業績改善の圧力が動機」と指摘した。業績連動の報酬制度もあり、結果を残すには、「向こう傷を恐れるな」というわけだ。
http://www.data-max.co.jp/2009/10/bnp.html
BNPパリバに4回目の行政処分 不正行為をやりたい放題の外資系の横暴(下)
[東京レポート] 2009年10月29日 08:00 更新
<不正取引の常連>
BNPパリバ証券の1回目の行政処分は2000年6月。ほとんど価値のない有価証券を持っていた複数の法人客に対し、損失を先送りできることを約束して取引を勧誘した。3日間の株取引の業務停止命令。
2回目は02年12月。三菱電機株のEB債(デリバティブ商品、発行額13億8,263万円)の償還条件決定日である01年5月17日に、株価が現金償還に変わる価格(719円以上)を付けないよう、大引け直前に718円の指し値で90万株の売り注文を出した。その結果、株価は718円で終えた。1年半後、EB債の償還に絡む作為的相場形成についての法令違反で、株式売買の10営業日の業務停止命令を受けた。
3回目は08年11月。不動産会社アーバンコーポレイションの資金調達を引き受けた際に、重要な契約情報を公表しないようにアーバンに働きかけたのは投資家への裏切りで、経営管理体制に「重大な欠陥」があるとして業務改善命令を出した。
<インサイダー取引疑惑は封印>
しかし、市場関係者からは情報隠しだけを業務改善命令の理由としたことに、大甘の処分として非難の声が起こった。パリバの不法行為の核心は、インサイダー取引疑惑にあるとみなされていたからだ。
金融機関からの新規借り入れや借り換えが困難になったアーバンは08年6月、パリバを引受先に総額300億円のCB(転換社債)を発行する計画を発表。しかし、実際にアーバンが調達した資金は300億円ではなかった。
アーバン株が下がると、調達額が減るスワップ契約を締結していた。だが、これは公表しなかった。スワップ契約にもとづき、300億円はすぐにパリバに払い戻され、パリバはCBを株式に転換したうえで、株価変動に応じて分割払いされる仕組み。パリバは支払額を減らすためにアーバン株を空売し、結果、アーバン株が下落。アーバンは約91億円しか調達できず、資金繰りに行き詰まって8月13日に民事再生法を申請する要因となった。
このスワップ契約の存在は、8月の破綻時にアーバンが初めて公表した。アーバンが300億円を調達済みと考えていた投資家を欺く行為として批判が集まった。しかも、パリバが同社しか知り得ないスワップ取引の存在を知りながらアーバン株を取引していたことは、インサイダー取引ではないかとの疑惑を招いたのだ。パリバはスワップ組み合わせ取引で11億7976万円の収益をあげていた。300億円の見せ金で11億円を稼ぐ「錬金術」だ。
非難の高まりを受け、09年3月、証券等取引等監視委員会が検査に着手。金融庁から報告命令を受けた際、自社に都合のいいように、事実と異なる報告をしていたことが判明し、ソフトバンク株の不正取引と合わせて今回の行政処分となった。
パリバを巡る問題が昨夏に表面化してから、今回の処分まで1年以上かかっている。しかも、事件の核心であるインサイダー取引疑惑は不問に付した。
金融庁は外銀に甘い。だから、外銀に好き放題にやられてしまう。
http://www.data-max.co.jp/2009/10/bnp_1.html