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http://mainichi.jp/select/biz/news/20091018ddm041040043000c.html
◇中小製造業、返済猶予法案に期待と不安
「追加の担保として、あなたの生命保険証券を出してほしい」
埼玉県内で金属加工会社を経営する山元正志さん(60)=仮名=は、メガバンクの融資担当者の言葉に耳を疑った。衆院選投開票日(8月30日)の直後。融資の返済猶予を申し入れ、協議していた席だった。「命を担保にしろということか」。怒りに声を荒らげた。返済できなくなった場合に解約して、その返戻金を回収したいというのが担当者の言い分だった。「僕が死んだらどうするの」。答えはなかった。
民主党政権が公約通り「中小企業に対する貸し渋り・貸しはがし対策」を講じれば、逆に金融機関が駆け込みで回収したり、融資態度が厳しくなるのでは−−。選挙中からそんな懸念がささやかれていた。
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東京近郊のベッドタウンにある山元さんの工場の周りには、同業者の工場が軒を連ねていた。ところが、安価な海外製品とバブル後の不況の影響を受け、周辺の製造業は91年からの15年で3分の1近くが廃業。工場は次々とマンションに姿を変えた。
親から継いだ会社を守ろうと必死だった昨年秋、未曽有の不況が襲ってきた。07年8月に8000万円あった売り上げは3分の1に減った。「約束を破りたくない」と融資の返済は続けてきたが、従業員10人に辞めてもらわざるを得なかった。
8月下旬、気がつくとインターネットで自殺の方法を調べていた。「死んで責任を取るしかない」。首をつろうと考え、会社の今後を部下に指示した遺書を書き、清潔な服に着替えた。明け方、恐怖心を和らげるため睡眠薬を飲んでロープの前に立った。吐き気が止まらなかった。こらえていると、人の姿が見えた気がした。「まだやることがあるんじゃないか」。そう思った瞬間、意識を失った。
メガバンクに返済猶予を申し入れたのは、その数日後のことだ。
開き直って会社を立て直そうと誓い、生命保険証券の提出を拒否した。
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全国有数の町工場密集地帯、東京都大田区。午後4時を回ると、小道を行き交う人の姿が増える。「よっ、お疲れさん」。軒先で知人の背中を見送りながら、金属加工業の浜中拓也さん(58)=仮名=がつぶやいた。「まだこんな時間だよ。要するに仕事がないってことだよ……」
不況で受注量は激減し、土日を挟んで金曜から月曜まで週休4日の工場も少なくない。特殊な金属部品の製造を請け負う浜中さんの会社はある程度安定しているが、「よその反感を買っちまう」と、できるだけ午後4時半で仕事を切り上げる。「『金くれるより仕事まわしてくれ』。それが本音だよ」。円高で海外受注の利益は減るばかり。工場の前を、また1人同業者が通り過ぎた。
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山元さんが生命保険証券の提出を拒否して2週間後の9月15日。メガバンク側が提案の撤回を申し入れてきた。「行き過ぎた行為でした」。だが、謝罪されても釈然としない。
金融・郵政担当相に就くことになった国民新党の亀井静香代表が「金融機関が社会的責任を果たしていない。貸しはがしが激しいので、3年ほど返済を猶予したい」と、中小企業の融資の返済期限を延長する支払い猶予(モラトリアム)の実現に意欲を見せたのはこの日の夕方だった。
モラトリアムについて、浜中さんは「駄目な企業が延命するだけ。銀行は新たな融資をしなくなるんじゃないか」と心配する。一方、山元さんは「3年あれば立ち直れる企業もある」と期待を寄せつつも、詳細が分からない不安をにじませ、こう話した。「経営危機に対応してもらえるのは、日本航空みたいな大企業ばかり。助けてほしいのは、小さな会社も同じなんですよ」。当分は新政権の動きを見守るつもりだ。【渡辺暢】
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■ことば
◇融資返済の支払い猶予(モラトリアム)
中小企業向け融資などの返済を猶予する制度。亀井静香金融・郵政担当相が導入を強く主張した。資金繰りに苦しむ中小企業の倒産回避につながるとされる一方、金融機関の経営悪化を引き起こすと懸念する声もある。近く召集される臨時国会で、モラトリアムを盛り込んだ「貸し渋り・貸しはがし対策法案(仮称)」が提出される見込みで、最長3年の返済猶予が認められるが、猶予するかの判断について、法律による強制は見送られる方向だ。
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コメント
反民主党支持者でもなく、また、反自民党の支持者でもなく、感じたことを述べているコメントとして見てもらえればありがたいです。
ただ、非正規、正規労働者との格差訂正には、支持していますし、そのことに活動している労働者は、応援をしています。
何故民主党政権批判のようなコメントがでやすいかというと、これから数年間は、今までの経済定石が通じない世界、事件が起こりうる可能性が頻繁におこるかもしれないという予測もあります。
今や、FRBにしても予測ができない状況が迫り来るとも考えています。グリーンスパン元FRB議長などは、数々のデーターを分析しては、ある程度前もって予測できるような発言をしていましたし、今度のバーナンキFRB議長にしても詳細は分かりませんが、ある程度昨今それなりの手段をしているようですが、果たして従来通りの考えで動くかどうかということはわからないのではないでしょうか。
それぐらい金融の世界というのは、巨大化してしまったということです。
民主党政権の批判ではなく、今民主党政権がしていることは、いい部分もあるのですが、こと経済政策にしては、自民党政権がバブル後の不況からしてきたこっとと同じことをしているように見えるからかもしれません。
GDPの推移及び個人金融資産の推移をみていると、何故日本だけがこの十年が失われた十年、二十年といわれているのか理解できるのではないでしょうか。
亀井大臣のモラトリアムにしても、今地方金融機関が行っていることは、不良債権かしつつある中小、零細企業の借金をすべて政府保証に変更しつつあるようです。つまりは、リスクを政府におわせ、単なる手数料機関にかわりつつあり、ある意味地銀の経営を守っているとも言えますが、本来の間接金融の業務をなくしつつある状況だそうです。
地銀の株価が下げているのも、地方の景気悪化が進んでいるとみていいでしょう。
その点小沢幹事長は、今回の政権の変化は、改革だといっているのであり、その指導力で改革をしつつあるのですが、政権を見ていますと改革とは反対の方向に行っているようにも思え、うまくやろうという意識が強すぎるのかもしれませんが、どうしても批判するようなコメントに思えるのかもしれません。
ただ、株式を例に見ていますと、NY市場の上昇の影響を受け東京株式も日経平均10000円をきったあたりから上昇しており、10350円近辺にきておりますが、膨大な公的資金で買い支えた資金が逃避しているようにもみえ、かつ、生命保険会社も優良株式といえる銘柄を売却するという話題もでています。
つまりは、東京市場では、自国による売り圧力が大きくなりつつある状況です。
為替にしてもここのところのドル増刷で、ドルの重みに市場が不安定になりつつあります。
中央銀行の力が及ばないほどの金融拡大世界の中で、ここ数年政治というものが国民にとって大変重要な選択を与えるのかもしれません。
鳩山政権を見ていると変化を決断した国民からみると、変化を恐れている政権ともみえ、世界から圧力がかからないにもかかわらず、自滅していくようにもみえるというのは、私だけなのでしょうか。