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米国の影響力の強さを示す新興国の外貨準備拡大(KlugView)
2009/10/19 (月) 18:38
最近、新興国の外貨準備高が急拡大しています。ブラジルの外貨準備高は、10月15日時点で2322億ドル(約21兆円)と、過去最高を記録しています。9月末の外貨準備高は2242億ドルでしたから、2週間程度で80億ドル(約720億円)も増えたことになります。
中国も外貨準備高を積み上げています。中国の外貨準備高は、9月末時点で2兆2726億ドル(約204.5兆円)と、ブラジルと同様に過去最高を記録しています。中国の外貨準備は、2006年2月に日本を抜いて世界一になりましたが、今では、中国の外貨準備高は日本の2倍以上の規模になっています。
あまり報じられていませんが、外貨準備高の拡大は、中国やブラジルだけの現象ではありません。台湾やタイの外貨準備高も、過去最高を記録しています。
新興国の外貨準備が拡大しているのは、ドル安による自国通貨高を防ぐために、通貨当局が為替介入をしているためです。中国を始めとする新興国の多くは、海外への輸出で経済成長率を高めています。自国通貨が上昇すると、輸出企業の採算性が低下し、景気が悪化する可能性が高まります。このため、通貨当局は、介入をしてでも自国通貨高を防ごうとします。
単に為替介入をするだけなら、ドル買い&自国通貨売りのオペレーションをすればいいだけです。しかし、これでは、売りに出した自国通貨が自国に還流し、物価を押し上げる(インフレになる)リスクが高まります。新興国の多くは、先進国に比べ需要が供給に比べ大きい傾向にあるため、自国通貨の流入は、物価押し上げ要因になりがちです。
このため、通貨当局は、為替介入と同時に国内に流通するマネーを回収し、流通するマネーの量(マネーサプライ)を一定にとどめようとします。この際に実施されるのは、中央銀行が国債といった債券を売却し、市中のマネーを吸収する「売りオペレーション」という金融政策です。金融界では、為替介入と売りオペレーションの組み合わせを「不胎化介入」といいます。
不胎化介入は、理屈の上では、すばらしい政策のように思えますが、それなりのリスクを政府が取ることになります。現時点において、外貨準備高が増えることは、ドル資産が増えることと(ほぼ)同義ですので、政府が多大な「ドル安リスク」を抱えることになります。また、売りオペレーションによるマネーの吸収は、インフレを抑制する効果があるものの、行き過ぎればデフレのリスクを高めます。
そもそも足元のドル安は、新興国によるもの、というよりも、米国の財政・金融政策によるところに起因します。米国のために新興国が、それなりのリスクを負うことに理不尽さを感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、新興国としてはリスクを取らない限り、経済成長を続けることが難しいのも事実です。いろいろと綻びは見えつつあっても、世界経済における米国の影響力は、まだまだ強いといえそうです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
不胎化介入って何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
為替介入によるマネーの流入でインフレになることを防ぐために
売りオペレーションでマネーを吸収すること
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/10/19/007077.php