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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu202.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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大不況を乗り切るための突破口は人の削減ではなく人の教育だ。どういう
人材が必要なのかという根本的な問題を理解していなければならない。
2009年10月19日 月曜日
◆ディスカウント合戦で生き残れるのか? 10月19日 日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091008/206650/
景気低迷で消費者の低価格志向が強くなっていく中で、小売業はディスカウント傾向を強くしている。リーマンショック後、売り上げが低迷している小売業は、ディスカウントすることによって売り上げを増やそうとしているのである。
しかし、その結果は悲惨である。ディスカウントにより売上数量は増えたが、商品単価が下がり、売上金額は伸びなかった。ディスカウントしたので、売値から仕入値を差し引いた粗利額が減少し、売上数量が増えたので作業が増加し、経費が削減できず、大幅な減益になる小売業が続出している。
ディスカウントにより一時的に少し売り上げが伸びた小売業あったが、ここへ来て多くの小売業の売り上げが低下傾向になってきている。ディスカウント合戦になり、一部の小売業を除いて、ほとんどの小売業が泥沼でもがいている状況になっている。
ディスカウントしているのに、なぜ売り上げが増えないのだろう。私はコンサルタントや経営者として数多くの事例を知っているが、私の経験で言うと、ディスカウントして売り上げが増えた経験はない。一時的に売り上げが伸びることはあったが、だいたい3カ月か6カ月もすると売り上げが低迷してくる。何回も経験したから身にしみている。(中略)
かつてある大手小売業が老朽店をディスカウント業態にしたことがある。売り上げは急増した。売上前年比150%を超える店舗も多かった。マスコミにも、もてはやされた。
しかし、1年もすると売り上げは低下するようになった。何年か経つうちに、元々の売り上げさえも割る店舗も出てきた。閉店が相次ぎ、ディスカウント業態の店舗はほとんどなくなってしまった。閉店はマスコミには騒がれなかったが、寂しい末路だった。マスコミは注目されている時は煽るだけ煽るが、その結幕はほったらかしが多いから、注意した方がいい。
ディスカウントは「麻薬的だ」と言われている。最初は効いても、だんだん効かなくなり、売り上げを増やすにはもっと刺激的なディスカウントが必要になってくる。最初は「安いな」と思った価格も、同じ価格だと次第にインパクトがなくなる。
競合相手も対抗してディスカウントしてくるから売り上げは低迷していくのである。だから、今、ディスカウント業態にして一時的に売り上げを伸ばしている店舗も同じ轍を踏まないか、心配している。(後略)
◆大不況を乗り切る突破口は、人の「削減」ではなく「教育」にあり! 9月17日 日経BP
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20090914/337187/
価格を下げても、いずれ売れなくなる
大久保社長や村田社長の話を聞いて思ったのは、削減することにはおのずと限界があるということだ。価格を下げれば、一時的にものが売れるかもしれない。しかし、需要の先食いをしているにすぎない。
例えば、ナショナルブランドの醤油が、通常よりもかなり安く売られているとしよう。すると消費者は「安いうちに買っておこう」と思い、一時的に売れるが、いずれ売れなくなるだろう。理由は、安いからといって醤油の消費量が2倍や3倍に増えるわけではないからだ。消費量が増えない以上、ある程度までいったら売れなくなる。
価格を下げることには限界がある以上、そのほかの方法で消費者の購買意欲をかき立てなければならない。そこで重要になってくるのが、消費者とじかに接する店員による接客だ。
赤ワインを購入しようとしたときを考えてみよう。店員が丁寧に応対してくれて、最終的に自分の好みに合ったものの中で一番手ごろのワインを薦めてもらえたとすると、「なかなかいい店だな」と思うものだ。そして、家でそのワインを飲んで、おいしかったら、また買おうかなという気になるだろう。
成城石井が従業員にワインやチーズ、生ハムを中心に、正しい商品知識を身につけさせるというのは、理にかなっている。そのために時間をかけて従業員を教育することは、将来的に消費者を店に引きつける力になる。
不況の今こそ、接客を見直すべきだ。
「経営とIT新潮流」サイトでは、国内総生産(GDP)の約7割を占めるサービス産業の活性化を狙って、「サービス・イノベーション推進委員会」というコラムを掲載している。9月3日に公開した同コラムでは、産業技術総合研究所の内藤 耕・サービス工学研究センター次長が「プロが選ぶナンバーワン旅館『加賀屋』のサービス・イノベーションを支える仕組み」と題して書いているが、「加賀屋が提供するサービスの価値はおもてなしを提供する接客にある」とズバリ指摘している。
とりわけ旅館の場合は、接客が重要になる。それを支えるために、食事を部屋まで届ける「自動搬送システム」を導入したり、お客さんに関する情報を共有するためのIT(情報技術)を駆使したりしている。いずれも、客室係による接客に十分な時間を割けるようにするためだ。もちろん、接客を高めるための教育にも力を入れている。
接客力を高めるといっても、そう簡単にはいかないだろう。普通の旅館は、どうしても目先のコストを下げようとして、接客係を減らそうとする。しかし、その瞬間に、サービスの質が低下し、お客さんは二度と利用してくれなくなるだろう。人の削減は、最終的に自身の首を絞めることになる。
本当に強い企業しか、人を教育できない
大不況を乗り切るための突破口は人の削減ではなく、人の教育だ。もっとも教育といっても、どういう人材が必要なのかという根本的な問題を理解していなければ、それこそ時間とお金のムダになってしまう。
成城石井のように、力を入れたい商品に絞ってその知識を習得させているように、それぞれの店によって教育すべき内容は違ってくるだろう。ここで重要なのは、その店の「売り」や「強み」が何なのかということだ。その強みをより強化するために人を教育するわけであり、経営者は「持ち味」や「強み」をしっかりと把握していなければならない。もしかしたら、この問題が一番難しいのかもしれない。
大不況は、本当の意味で強い企業をあぶり出す。その企業はその強さを自覚するから、さらに強くなるために人の教育に力を入れる。一方、自分たちの持ち味が何なのか、分からなくなってしまった企業は、人の削減に走るしか打つ手がないのかもしれない。
(私のコメント)
小売業の値下げ合戦が止まらない。特に大手流通チェーンの値下げ合戦が酷くなってきた。特にノートパソコンや大型液晶テレビなどの値下げが目立つ。これでメーカーは採算が取れているのだろうか? それよりもヤマダ電機やビックカメラなどの大型家電チェ−ンの販売合戦は熾烈だ。他店より安い商品があればそれより安く売るといっているのだから、小売マージンはどうなっているのだろう。
百貨店はもとより大手スーパーやコンビニでも売上げが落ちてきているそうですが、売上げの低迷を値下げで挽回する事ができるのだろうか? 消費の低迷は今に始まった事ではないのですが、安売り合戦と言う一番厳しい状況が生まれてきてしまっている。それに対して日銀はデフレを否定している。年間所得の低下が小売店の値下げに繋がっているのにデフレではないといっている。
値が上がっているのは円だけであり、日銀は円の価値を高める事に一生懸命だ。円の価値が高くなればなるほど円は国内で循環せず海外に流れていく。円が高くなって海外から安い物が入ってくるから国内で製造しているメーカーは価格競争で負けていく。国際的にも通貨の値下げ合戦が始まっており、中国はダンピング商品を世界に売りさばいて世界の工場とまで言われるようになった。
国内の小売店でも他店から客を奪おうとすれば値下げして客を呼び込む。日本も高度成長期に入った頃は「メイドインジャパン」と言えば粗悪品の代名詞だった。日本車もアメリカのハイウェイですぐにエンストした。そんな品質だったから安くしなければ販路を築く事は出来なかった。しかしすぐに品質の改善を図って行く事で今では「メイドインジャパン」が高品質の代名詞になっている。
小売店にしても新規開店したときは大売出しを行なって客を集めますが、ディスカウントセールは最初は良くても長く続けていると売上げが落ちてくるそうです。客のリピーターを定着させるには安さではなくて店員の行き届いたサービスなどがないと売上げが落ちてくるそうです。だから正社員を切って派遣やパートに切り替えれば当面は良くてもサービスの低下は売上げの低下に繋がる。
中国や韓国も開店大売出しでバーゲンセールで世界に売り込んでいますが、アフターサービスや品質の向上が伴わなければ、ベトナムやインドなどの新たなるライバルに市場を奪われるだろう。本来ならば日本のように賃金の上昇と品質の向上などで市場を広げていく事ができればいいのですが、人民元も韓国のウォンも安いままだ。
日本ではエコポイントやエコカー減税で家電や車の販売の梃入れをしていますが、これは消費の先食いに過ぎない。ディスカウントセールは長く続けていると効果が無くなる。そして店員の質の低下と商品の質の低下が伴えば売上げが前よりも落ち込んで閉店を余儀なくされるだろう。
そのような状況で成城石井が売上げが好調だそうです。秘密は安心安全な商品と商品の良さをアピールしていると言う事ですが、客も本当に美味しいものは何かと言う事がわかっている。マクドナルドや吉野家の牛丼も一時安さを売りものにしましたが客が離れていった。まずければいくら安くても食べる気がしなくなるからだ。
書店などはどこで買っても同じ商品だから書店の売り方で差がついてくる。やはり店員の質が低ければ雑然と本を並べるだけで、薄暗くて埃がかぶっているような書店の本は買う気がしないだろう。さらにアルバイト店員ではどこにどの本が置いてあるかもしらないから客に尋ねられても答えられない。パソコンだって同じであり、技術的なことがまるでわからない店員が多くなった。
日本人の質が低下したのだろうか? そうではなくて正社員の割合が低くなり商品知識のない派遣店員やアルバイト店員が増えたから商品知識もないのだ。衣料にしてもユニクロは安さを売りものにしたカジュアル衣料の量販店でしたが、一時不調になったものの品質を向上させて独自商品の開発力で世界的衣料販売チェーンになった。現在ではユニクロより安い衣料が溢れていますが、売れるのは品質とデザインと店員の質の良さだ。
私は不動産業なのですが、やはり不況でテナント料金の引き下げ競争が厳しい。近所では空室のまま半年も一年もテナントがふさがらないビルが続出している。しかしビルのテナント料を下げるのは最後の最後であり、いくらビルのテナント料が安くてもビルの管理が悪ければ客はつかない。
ビルも建てた当時はオフィス街だったのですが、不況でオフィス需要が無くなり空いた後には一階などには飲食店が入るようになった。並びにはハンバーガーチェーンや牛丼チェーンやラーメン店舗などが並ぶようになり、私のビルにも飲食店が入った。上の事務所もネイルサロンや美容室が入るようになり、それに合う様なビルの改装などしている。
オフィスビルがいつの間にか店舗ビルに変化してきたのですが、空室の多いビルは相変わらずオフィスにこだわっているようだ。将来的には風俗店やエステサロンが入って新宿歌舞伎町にあるようなビルになるかもしれない。千葉のアパートも客筋が変わってきたのでペンション風に改装して満室にしています。やはり不動産業もサービスと管理が第一なのであり、建ててそのままと言うのでは空室は埋まらない。
日本の長期的スランプも結局は政治家の質の低下と、会社も世襲化が進んでやる気のない社長が増えたから不況が続いているのだろう。確かに人件費を切り詰めれば利益は増えるが、そんな会社は先が見えている。安さだけで商売が出来ると言うのなら、それは本当の商売を知らないからだ。実際に商売をして見れば分かるが不況は本当に苦しい。しかしその苦しさを従業員にしわ寄せをすれば、そんな企業や商店は確実に潰れる。