★阿修羅♪ > 国家破産65 > 540.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 伯マキタ社=工場閉鎖で組合が反発=総領事館前で抗議行動 投稿者 gikou89 日時 2009 年 10 月 16 日 09:27:06)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091015dde012010006000c.html
◇仕事がない/抵抗してもしかたない/根回しなくなりすっきり/これが本来の姿
◇すべては「三役」の手に
鳩山由紀夫内閣が誕生して16日で1カ月になる。民主党が掲げる「脱・官僚依存」政治は官僚にどんな変化をもたらしたのか。各省庁の担当記者が見た、政権交代後の霞が関の様子をまとめた。【政権交代取材班】
まずは復習しておきたい。これまでの自公連立政権下で政策はどのように決定されたのか。政治家に対する官僚の立ち位置は? 財務省を例にとってみてみよう。
予算や税制改正などの重要案件は、役所主導で立案するのが当然だった。大臣はただ「みこし」に乗っていればいい。官僚はその上で主な族議員に事前に説明して、ご意見を拝聴しながら法案に修正を加えていく。つまりは調整、いや根回しか。
法案を閣議に諮る前には、必ず国会議員のセンセイ方で構成される「政調審査会」と「総務会」で承認を得るのが自民党のしきたりだ。これも一つの政治主導かもしれない。しかしその場でエライ議員が「おれは聞いてない」と声を張り上げれば、政府としての議案にならない。
自らの手で練り上げた政策を国会で採択してもらうのが役所の務めだったから、官僚は国会議員との調整に多くの時間を割いた。永田町の人脈が豊富だったり、センセイの「受け」が良かった官僚ほど出世競争に強かった。
この根回しの過程で族議員と特定業界、族議員と官僚・天下り先との癒着が生まれ、国民の公平な利害を損なっていると見たのが鳩山内閣だ。政策を立案する段階から政治家が直接関与し、官僚を「手駒」に使う。明治以来の仕組みが崩れて1カ月−−。
■
主要課長以上48幹部の肩書が並んで記され、在庁を示すランプが黄色く光る掲示板が各部屋の壁に掛かっている。ここは教育行政、いわゆる国家の未来を担う文部科学省。麻生太郎政権時は日中でも約3割は消えていたが、今では朝から深夜まで、ほとんどのランプが点灯したままだ。
省内では09年度の補正予算や15日に締め切られる来年度予算の概算要求について、大臣と副大臣、政務官の「政務三役」が先週末も連日、見直し作業を進めていた。問い合わせを受ける度にその説明と準備に追われる官僚は、呼び出しと同時に駆け付けなければならない。
個室で独りぽつんと資料を読んでいた幹部は「ヒッキー(引きこもりの俗称)です」と苦笑した。総選挙前の8月中旬までは1日の半分ほどを費やし大学関係者や産業界と情報交換をしていたが、その「現場感覚もなくなるかも」と嘆くのだ。
オフィスワークではなく、永田町を飛び回りながら族議員との折衝で頭角を現してきた「暗躍型」の官僚も、机に向かっている。覇気がなく、羽をもがれたチョウのよう。その一人は「三役から宿題を出され、解答を持って行く。運動不足になりそうで……、こういうのが『役人仕事』と言われるんでしょうねえ」と寂しそうな表情を見せた。
前原誠司国土交通相はダム事業の中止や航空行政の見直しなどトップダウン方式で矢継ぎ早に新政策を打ち出す。補正予算の減額についても、官僚にはどの事業を停止するのかという情報すらほとんど与えられなかった。幹部の一人が「抵抗しても仕方ない」と話すようにあきらめムードが漂う一方、公共事業の大幅削減で「地域経済への影響を考えているのか心配」。
予算カットでプライドは傷付き、記者会見は国交相が自分の言葉で語るため、想定問答作りに力が入らなくなった。半面、官僚たちは大量の実務を抱える三役からの「指示待ち」が常態化。ある幹部は「仕事がない。我々をもっと使えばいいのに」とこぼす。
■
小泉純一郎氏や菅直人氏ら個性派トップに仕えた経験のある厚生労働省。「ミスター年金」こと長妻昭氏があるじとなった。着任時は拍手もなく、宿敵を迎え入れるような空気が漂うテレビ映像が印象に残るが、そうではない。どう対応していいか分からぬ中で現れたため、官僚たちが互いの態度を横目で見極めている間に、あの雰囲気が醸し出されたというのが真相だ。
しかし、新政権の手法にはどうしても警戒するという。重要な政策はすべて「密室」の三役会議で決まる。必要に応じて担当幹部が呼び出しを受けるが、テーマは直前まで分からない。三役と面と向かって会う機会を全く持てない幹部も。官僚の一人は「一度だけ説明させてもらっただけでラッキー」と政権に忠実たらんとする公僕としての感想を漏らす。休日出勤中の係長の一人は「全部自分でやろうとして大臣たち、体力が持ちますか」と苦笑した。
これまで「我々が政策を動かしている」と自負していた財務省でも似たような現象が起きている。別のある官庁では、幹部が外出せずに昼夜いるため、部課員の互助会費で賄うコーヒー代が不足してきたとぼやく職員も。「皆さんには申し訳ないんですが、安い豆に買い替えないと……」
■
センセイ「対策」から解放され、歓迎の声も聞かれる。「与党議員への面倒な根回し作業がなくなって、さっぱりした」と話すのは、財務省のある幹部。文科省の幹部も、予算の見直しについて「族議員や与党の部会とのしがらみがなくなったから、スパッと切れるものもある」。国交省では「前は政策の方向性まで丸投げされ、我々が政治の役目を代行してきたが、これが『政と官』の本来の姿なのだろう。政治家が責任を取るということ」と話す官僚も。
1カ月前までは当の役所にバッシングを繰り返していた長妻厚労相は今「実態掌握が先だ」と官僚批判を控えている。多くの幹部が「我々の意見に耳を傾ける姿勢がある」と指摘し、ある職員は「舛添(要一・前厚労相)さんのようなパフォーマンスがなく、会見でも、冷や冷やしなくてすむ」と打ち明ける。
「外交交渉の場でこちらが用意したペーパーをそのまま読むのではなく、そしゃくして理解してくれる」と岡田克也外相は歓迎されている。「民主党内でも『重み』ある人が来てくれた」。核密約を巡る検証チームも審議官を筆頭に15人で発足。あえて不安材料を挙げればかつて宿敵だった鈴木宗男議員(新党大地代表)が与党会派に加わったことだという。
ところで、記者の取材方法もがらりと変わった。以前は情報を漏らしてくれた官僚の口が固くなったからだ。政府が事務次官の記者会見を禁止したため、感想や見通しを尋ねても「見解を述べちゃいけないんですよね」と国交省の幹部。文科省では「私たちの所に来られても説明能力がない。政治主導だから三役の所に行っていただかないと」。
財務省でも、各部局の担当者が三役から発注された部分部分の政策しか知らされず、全体像を把握しなくなっている。かつては幹部や族議員の方が政策に精通していたが、今やほとんど情報が集まらない。代わって早朝や深夜の取材先となったのは、前政権下では「お飾り」に近かった副大臣や政務官だ。担当記者にしてみれば、一回も顔を合わせる必要さえなかった政務官すらいたのに……