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あのひとは今---「一方的な報道による誤解を解きたい」堀江貴文氏の逮捕後初の会見を(ほぼ)完全収録
堀江貴文、元ライブドア社長。一世を風靡した彼がどうなったのか・・・小泉改革で時代の寵児となり、ニートや若い人たちの希望ともてはやされた。衆議院議員選挙では「刺客」として亀井静香氏の対抗馬として争い、選挙区には当時の首相であった小泉純一郎が応援に駆けつけたのは記憶に久しい。
小泉改革は失敗し、巷に失業者は溢れ、やりどころのない不満と怒りが政権交代を生んだ事については想像に難しくない。ネトウヨが支持する自民党が産んだ時代のモンスターとしての「ホリエモン」は、ドラえもんが不思議なポケットから、得体の知れない道具を取り出すかのように、富を創造し続けたと言われている。
しかし、本当にそうなのだろうか。記者クラブなどのマスコミ報道の問題や当時明らかになっていなかった官僚とマスコミの癒着問題は、「そこに地検特捜部の暴走がなかったのか?」という、単純な疑問を呼び起こす。
単に「欲張りドラえもん」が小泉改革のセールスマンに利用されただけではないのか・・・・そんな気さえしてくる。
「外人記者クラブ」での会見が見つかったので、再検証の意味で彼の言い分を読んで見る。
結論はない。しかしマスコミと官僚が如何に理不尽なものなのかを知るには良い資料だと思うのだ。
世界に絶対的な真理や正義などない。あるとすれば、それは宗教の世界だけなのだ・・・
「善とは何か−人間において権力の感情と権力を欲する意志を高揚するすべてのもの。悪とは何か−弱さから生ずるすべてのものである。」---ニーチェ
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出典 http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0904/03/news036.html
「一方的な報道による誤解を解きたい」堀江貴文氏の逮捕後初の会見を(ほぼ)完全収録---(Bussiness Media誠)
堀江貴文元ライブドア社長は4月2日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。2006年1月23日に逮捕されて以来、堀江氏が公の場で会見を開くのは初めてのこと。その内容を詳細にお伝えする。
[堀内彰宏,Business Media 誠]
証券取引法違反で一審二審とも実刑判決を受け、最高裁に上告中の堀江貴文元ライブドア社長は4月2日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見を行った。2006年1月23日に逮捕されて以来、堀江氏が公の場で会見を開くのは初めてのこと。その内容を詳細にお伝えする。
「間違った報道による誤解を解きたい」
堀江
(英語で)日本外国特派員協会で会見をするのは今回で3回目です。1回目はライブドアの社長として、2回目は衆議院議員候補としてでした。今回は夢にも見ていなかった立場で講演をすることになります。
逮捕され、容疑者としてここに立っています。「私はジェットコースターのような人生を生きている」と感じています。
私は未来の経営者や起業家が、ちょっと変わったところのある日本でビジネスをすることを手助けするために『徹底抗戦』という本を書きました。
執筆には3年かかり、その中には獄中にいた期間もありました。
この機会に、私を支えてくれ、この本を書く勇気をくれた人たちに感謝の言葉を述べたいと思います。後は日本語でお話ししたいと思いますが、よろしいでしょうか?
(日本語で)今日、皆さんにお話したいことはいくつかあるのですが、大きく分けると2つのこと(を話したい)です。1つは「私がかけられている容疑についての詳しいお話」、もう1つは「私にかけられた容疑及び警察からの激しい攻撃など、日本の司法制度に関すること」をお話ししたいと思います。
なぜこのタイミングで『徹底抗戦』という本を出版したいかと思ったのか。
私は検察庁に逮捕されてからほとんど皆さんの前に姿を現すことなく、マスコミあるいは検察庁の発表、裁判所の判決などで一方的に私のことをいろいろ言われてきました。
しかし、多くの報道は間違った部分が多くて、その誤解をいつか解きたいと思っていました。(『徹底抗戦』を出版するのに)3年もかかってしまったのですが、(3年という時間は)実際に書いている時間というわけではなくて、この本を書ける気持ちになるのにものすごく時間がかかったということです。
まず、ライブドア事件についてお話します。
2006年1月16日、ライブドアのオフィスにいきなり東京地検(の捜査官)が乗り込んできました。
その後の報道は皆さんご存じの通りなのですが、そもそもライブドア事件というものが「どういったことを悪いとされて(一審二審で)有罪とされたのか」ということに関して、知らない人が非常に多いのではないかと思います。
インターネットや雑誌のコラムなどを見ると、「私がインサイダー取引で捕まった」と思っている人すらいます。インサイダー取引で捕まったのは、私ではなくて村上ファンドの村上(世彰)さんです。
それくらい誤解されているということで、正しいことを知ってもらいたい。いろんなマスコミ報道で非常に悪いイメージが(私に)付けられているので、そういったイメージを払拭したいと思いました。インサイダー取引で捕まったわけではありません。
私が捕まった容疑は「有価証券報告書の虚偽記載」それと「偽計風説の流布」という容疑です。
あまり聞いたことがない言葉が並んでいると思います。3年前の事件当時の報道ではどういったことが言われていたかというと、例えば「私が暴力団とつながっている」だとか、「脱税をしている」だとか、「海外でマネーロンダリングをしているのではないか」というようなことが報道されましたが、こういったことはすべてデタラメです。
そういったでたらめの報道に関しては2社、日経BPさん(参照リンク)と講談社さん(参照リンク)に勝訴いたしました。そして賠償金を数百万円ずついただいております。
そして私にかけられた「有価証券報告書の虚偽記載」「風説の流布」に関しては、「堀江がすべて考えて堀江が実行した」といういわば“堀江主犯説”というものが大きく報道されましたが、これに関しても一審の地裁判決で「少なくとも堀江は主導はしていない」ということは認定されました。
そして仮に有罪だとしても、それを主導したのは私の部下の宮内(亮治)さんであり、彼が実は「会社のお金を香港あるいはスイス経由で海外に横領していた」ことが発覚して、「司法取引のようなことをして、私に多くの責任をなすりつけた可能性が極めて高い」ことが分かりました。
「それ(宮内氏が堀江氏に責任をなすりつけたの)はなぜか」というと、彼が横領したとされる額は非常に高額で、私たちにかけられている証券取引法違反の容疑より刑罰は非常に重いものになります。
「そういったものを回避するために、必要以上に彼は地検に迎合していたのではないか」ということが疑われております。
ライブドアが捜査された翌日からライブドア株が大暴落しました。しかし、この原因の多くはまず月曜日に強制捜査をしたということ(にあります)。
通常こういった経済事件は市場への影響を最小限にとどめるために、金曜日に行うことが通例です。
なぜなら、土曜日と日曜日は市場が閉じているので、こういった大きなネガティブなニュースに投資家が直面したとしても、クールダウンすることができます。
冷静に考えることができるようになるので、普通は(経済事件の捜査は)金曜日になるのですが、(あえて)月曜日にやったことは「市場への影響を大きくしよう」という(検察の)意思が見えます。
さらに「実体が無い会社である」とか「粉飾額が100億円を越える」だとか、まあ実際に起訴されたのは50億円程度の粉飾なのですが、ライブドアが「まったく中身がない会社、価値がゼロの会社だから、いつつぶれてもおかしくはない」という報道がされたことによって、「マネックス証券が信用の担保としていたライブドア株の価値をゼロと評価したことが(参照リンク)、さらに大暴落の引き金を引いた」と言われております。
ライブドアは当時2000億円程度の純資産を持つ会社で、それを正当に評価すれば株価は200円を割らないはずだったのにも関わらず、株価は一番安い値段で60円台まで落ち込みました。
そこの差額はこの風評被害によるものであると考えます。ライブドアはこれだけ叩かれたにもかかわらず、強制捜査後の2007年の決算では利益剰余金を計上するに至っています(参照リンク、PDF)。
それはライブドアが「実体の無い会社ではなく、実体もあり資産もある優良企業であった」ということを証明付けている事実だと思います。
ライブドア事件の3つの争点
堀江
そもそもライブドア事件というのは、私は「違法でない」と考えております。
3つの争点があります。「マネーライフ事件」「ファンドでの自社株取引」「架空取引」、この3つの論点があるわけです。
まず、マネーライフ事件ですが、これは2006年1月16日の強制捜査及びその1週間後の私の逮捕容疑になった事件です。
マネーライフ事件では、ライブドアファイナンスが実質所有していると言われているファンドが持っていたマネーライフという会社を、バリュークリックジャパンという会社に売った時の(マネーライフの)株価の算定方法に、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法※という方式を採っていたのですが、「この企業価値評価が適正でない」と検察庁から指摘されています。
※DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法……将来発生するキャッシュが、現時点でどのくらいの価値があるのかを算出する手法のこと。
マネーライフは赤字の会社だったのですが、こういった会社を売る際に将来伸びるということを前提にして、「『今は赤字だけども、将来黒字になってお金をたくさん稼ぐ』ということまで評価して企業を売買する」というのはベンチャー企業の世界では当たり前のことで、米国でも赤字なのに何千億円という価値で取引されている会社は山ほどあります。
日本にもたくさんあります。こういったことを「NO」だと(検察庁は判断しました)。
要は検察庁は、会社の値段というのは「誰が考えてもこの会社は1億円なんだ、という一物一価のようなものがある」と彼らは考えています。
しかし会社の評価は当然、買う側の意識によって大きく変わるわけで、「この会社は伸びる」と思えば1億円の会社を2億円で(というように)ライバルより高い値段をビットして買う人がいるように、いろんな評価があってしかるべきです。
それを「本来1億円である会社を4億円に評価して買ったというところが違法だ」と言われています。こういったことを言い出したら、「ベンチャー企業は上場もできないし、ベンチャー企業の売買、M&Aもまったく立ち行かなくなるのではないか」と私は危惧しています。
最大の争点
堀江
次は、3つのうち一番有名な容疑、検察庁の一番攻めたいところで、判決で私に有罪判決、しかも実刑判決が下ったところでは一番大事なポイントの「ファンドでの自社(ライブドア)株取引」です。
そもそも何でこういった(ファンドを通じて自社株を取引する)ことになったかというと、ライブドアがある会社を株式交換で買収しようとした(ことに始まります)。
株式交換というのは、「自社株を新規に発行して(当時は5%まで取締役決議だけで発行できた)、マックス5%分のライブドア株を発行して、買収予定会社の株主に対して買収予定会社の株と交換することによって買収を成立させる」という方法なのですが、それをやろうとした時にこの事件の元になるお話が始まりました。
(株式交換で買収しようとした時に)買収予定会社の株主が、「ライブドア株は価値が低いから受け取りたくない、その代わりに株と同じ価値の現金をくれ」と言ってきたのです。
しかし、当時ライブドアは彼らに払う十分なキャッシュがなかったために、株式交換を使おうと思ったわけですので、困った私たちは新しいスキームを作りました。
「一時的に別の証券会社を経由してSPC※(ファンド)を作って、そこにお金を(ライブドアから)貸し付けて、いったんその(買収予定会社の)株主に(SPCから)現金を払って株式をもらって、その後市場で(新規発行した)ライブドア株を売ることによって、その(SPCへの)貸し付けを戻す」という方法をとりました。
永遠にお金がそっち(SPC)に行ってしまうと困るのですが、一時的に貸すお金はありますので。
※SPC……Special Purpose Company。金融機関や事業会社が債権や不動産など保有する資産を本体から切り離し、有価証券を発行して資金を調達するために設立するペーパーカンパニーのこと。
そういうスキームを作ったわけですが、たまたまその後、株価が高い水準で推移したために、買収先の株主にお金を払っても、ものすごくSPCがもうかったわけです。
2社を同じスキームで買収したのですが、30億円以上もうかってしまいました。
いや、ごめんなさい。買収したのは2社ではなくて3社です。
「なぜ僕が1社忘れていたか」というと、この1社の分、1億数千万円は宮内さんの財布に入っていたからです。
そこでそのSPCがもうかった分をライブドアの子会社、ライブドアファイナンスに対して配当という形で戻したのですが、「ライブドアの連結決算で利益に計上したことが違法だ」と言われているのです。
「お金が実際に動いていないのに、お金が動いたようにする」というのが普通の粉飾決算だと思います。
しかし、われわれが粉飾決算と言われているものは、37億円のキャッシュが実際に動いています。
(検察庁が粉飾決算と主張する)理屈は「自社株を出すことによって、あるいは自社株を売ることによって得た利益は、連結決算上は損益計算書(PL)上の利益ではなく、貸借バランスシート(BS)上の資本剰余金の増加という形で会計書には記載しなければいけない」というものです。
実際には子会社がお金を出資しているSPC、別の証券会社が業務執行組合員をやっているまったく独立したSPCでそういったことをやっているにもかかわらず、「実質的にはライブドアがライブドア自身で自社株を売ってもうけたのではないか。
それはPLではなくBSに付けるべきだ」ということで、有罪だと裁判所は言いました。
このSPCは脱法目的ではなく、法令を順守しようという目的で作られました。
日本の法律では、子会社が親会社の株を持つことが会社法で禁止されています。
SPCを運営してもらっている証券会社の担当者はもともとライブドアのグループ会社社員で、「ライブドア株を売買することは、彼のインサイダー取引になってしまうかもしれない」ということで、法律に抵触しないようにわざわざSPCを作ったにもかかわらず、ダミーファンド、粉飾決算をする目的で作ったファンドだと乱暴に認識されているのです。
つまりこの事件は、「本当は脱法目的でないのに、脱法目的で作られたファンドはその存在を否定される(と解釈されたことによって)、(ライブドア自身が)自社株を実際に売買したのだから、それ(利益)をPLではなくて、BSに付けろ」というだけの話なのです。
しかしBSに付けなければいけないというルールはそうなっているのですが、そういうルールになったのも2002年のことで非常に新しい。
しかも学会では、「資本説」と「資産説」という2つの学説が並存しています。
つまり、「ライブドア株という自社株がどういった性質を持つものなのか」、要は「他社の株と同じような有価証券としての金融商品、つまりお金とかと同じようなもの」なのか、自社株は「自分のところの資本の中の一部なのか」ということです。
非常に専門的な話なのですが、会計士のように会計を専門的に勉強している人ではないとよく分からないような話を、「当然お前は知っているだろう、だから有罪なんだ」と(検察は主張していると)いうことを言っているのです。
みなさん説明してもちょっとよく分からない人たちも多かったと思うのですが、それだけ非常に複雑なことを「当然知っているんだろう」と言われた事件なのです。
ちょっと難しい話が長くなったのでみんな退屈だと思うのですが、つまり、非常に会計的に難しいところ、どっちが正しいのか分からないようなところでむりやり「お前は正しくないんだ」と言っているのが、ここの2つ目の争点の一番のポイントになるところなのです。
「SPCを連結するか、しないか」「SPCが出資元の株を売買した時に出た利益を、BSに付けるかPLに付けるか」という非常にあいまいでよく分からないようなことを無理やり有罪にしようとしたのがこの事件の本質なのです。
同じような事件で最近最高裁で無罪判決が出た長銀事件(参照リンク)というのがあるのですが、こちらもやはりあいまいな会計制度を争っている事件で、検察はずっと有罪を主張してきて、地裁高裁で有罪判決が出たのですが、最高裁で無罪判決が出ました。この(あいまいな会計制度)部分に関しては、「私も無罪判決が出る」と確信しています。
最後に(キューズネットやロイヤル信販との架空取引)、こちらの方も架空(取引)と言われていますが、実際には一部作業を除いて(取引の実体はあり)、一部作業は実際にはされていなかったらしいのですが私にそれは報告されていなくて、監査法人からはそこに関しては「作業はされている」とお墨付きをいただいていた形でした。
仮に有罪だとしても罪が重すぎる
堀江
私は「東京地検に疑われて、実際に会社が上場廃止にされた」という部分に関しての経営的道義的な責任は感じますが、それと「刑事事件として有罪になるのか」はまったくの別物だと思います。
刑事事件については、ちゃんと罪刑法定主義で法律に基づいて判断をしてほしいと思います。
ライブドア事件について私は無罪だと思っていますが、「仮に有罪だとしても非常に不公平だ」と私は考えます。
2005年に刑事処罰に代わって課徴金制度(参照リンク)というものが証券取引法(現金融商品取引法)違反について導入されました。ライブドア事件以降、いくつもの粉飾決算の事件が起きましたが、代表的なものをご紹介します。
まず、日興コーディアル証券の粉飾事件(参照リンク)。
ライブドアの約4倍、180億円の利益粉飾を行って5億円の課徴金、そしてライブドアのように上場廃止されず、もちろん経営陣も逮捕されてません。起訴もされていないし、有罪判決ももちろん出ていません。
次に、IHI(石川島播磨重工業)の粉飾事件(参照リンク)。こちらも200億円の粉飾に対して16億円の課徴金、そして上場廃止されず、経営陣も逮捕されていません。
そして、ライブドア。50億円の粉飾疑惑と2つの事件より規模が小さいにもかかわらず、上場廃止になり、経営陣が4人逮捕、起訴されて、2人が実刑判決を受けています。
私はこれは検察庁の暴走だと思いますし、「こうやって暴走することで市場に大混乱を引き起こす」と分かっていたがために、課徴金制度を2005年から導入しているにも関わらず、その制度を適用せずにわれわれを摘発してしまいました。
ライブドア事件以前に証券取引法違反単独で実刑になった事例は原則的にはありません。
詐欺商法をしていた会社が1件だけ実刑判決を受けて確定している事例(参照リンク)がありますが、基本的には証券取引法違反だけで実刑判決になるということはこれまでありえなかったことです。
人質司法と検察の暴走
堀江
ちょっと長くなってきましたが、これからすごく重要なことをお話します。
だからもうちょっとお付き合いいただきたいのですが、『徹底抗戦』に書かれているもう1つの大きなポイントは「人質司法と検察の暴走、これを止めたい」という私の気持ちです。
日本では検察官しかこういった刑事事件の起訴というのはできない仕組みになっていて、しかもそれはすべて検察庁の中の密室で行われています。いわば“ブラックボックス”なわけです。
(検察に)捕まえられて無罪主張をする、いわゆる否認をすると保釈が認められません。
つまりずっと閉じ込められたまま外に出られなくなります。
私も95日間拘留されましたが、どうして私が拘留されるのかというと、「逃げるかもしれない」「嘘をつくかもしれない」「口裏合わせをするかもしれない」ということで長期拘留されたのです。
しかし、僕がどこに逃げても、日本中僕の顔を知らない人はいませんから、逃げられるはずがありません。
なのに95日間も拘留されました。
私は逮捕前、こんなにふっくらしていたのです。逮捕されたらこんなになりました(下写真)。まあ、それくらい辛いということです。
検察庁は捜査権限、起訴権限を独占していることを利用して、自分で事件を選んで、“費用対効果が一番高い”非常に効果のある事件を捜査、起訴して、長期拘留してむりやり自白をさせるということをやっているのです。
「起訴をする、しない」という判断を検察庁ができることで、「お前は起訴しないから、ターゲットした人間が悪いという調書にサインしろ」といった取引もできますし、「お前はずっと無罪を主張しているからずっと出さない」ということもできる。
つまり、そういった起訴権限を検察官が独占していることによる弊害がものすごく大きい、だから私は日本では導入されていない大陪審、いわゆる起訴陪審(参照リンク、PDF)、「起訴をするかしないか」、つまり「事件にするかしないか」の判断に裁判員が関与できるという透明性の高い開かれた仕組みを作らなければいけないのではないかと思います。
「長期拘留をする人質司法をなくすために刑事訴訟法の第89条第4項の規定(参照リンク)を変えなければいけない」と私は強く感じます。
私がこうやって逮捕、起訴された1つの理由に、「私は拝金主義者だからではないか」「お金が好きだからではないか」といったことをたくさん言われましたが、「それはまったく違う」ということを最後にお話します。
私がお金の話をたくさんしたのは、お金というのは色がない、つまり差別を克服するものであるということ、そしてお金は非常に大事なものであると(伝えたかった)、お金は実際に大事なもの、避けて通れないものなので、そういったことを僕は皆さんに知ってもらいたかったのです。
だからお金の話をたくさんして、それが「堀江はお金が好きなんじゃないか」と悪評が立つ1つの原因になったと思うのですが、私は貯蓄に興味はありません。
私は得たお金はすべて自分の夢に向かって投資をしています。
私はライブドア株を売って得たお金のほとんどを、宇宙開発に投資しています。そういった夢に向かって新たな投資をするということをこれからやっていきたいと思っています。
検察官は費用対効果を大事にする
日本外国特派員協会の会見は質疑応答が中心になるため、講演時間は長くても30分程度におさえられるのが通例だ。
しかし、堀江氏は1時間以上にわたって、事件内容や検察のあり方について熱弁した。
講演後の質疑応答では、外国人記者たちからさまざまな質問が堀江氏に投げかけられた。
――今、お話を聞いていて、「堀江さんの話し方などが逮捕前と違うな」と感じました。
以前のご自分について、「逮捕前に戻れたら、ああすればよかった」というような自分なりの反省などはありますか?
堀江
自分がやってきたことに後悔はないのですが、あの時はああいうやり方しかなかった、今(逮捕前に)戻っても、同じことをやると思います。
「丁寧に(なった)」と言われて、すごくありがたいのですが、それは当時は余裕があまりなかった(からです)。
ものすごくあせっていたので、いろんなところをはしょっていたのです。
今は例えば、今回私はスピーチの原稿を作ったのですが、実は初めてのことで、今まで原稿を作ってスピーチをしたことはないし、プレゼンテーション資料を作ったこともありません。時間的な余裕があるので、そういったことをしているのです。
「急がば回れ」という言葉がありますが「運が良ければ回らなくてもいい」、そういった部分に賭けていた部分が私はあります。
運があまり良くなくて、そうはならなかったのですが。
だから(逮捕前に)戻っても、同じことはやると思うのですが、これからは「あまりあせらないようにしよう」と思っています。
時間をかけて丁寧にと。このちらし(配布資料)も僕が作っています。
――「拘留されていた間、うつ状態になっていた」と聞いたのですが、検察官とのやりとりはどうやってやり過ごしたのですか?
堀江
そこの部分は本にも書いたのですが、私のような経済事件(の被疑者)というのは、すべての人との通信を禁じられて、手紙のやりとりも面会もできません、面会できるのは私の弁護士だけです。
「独房に閉じ込められて誰ともしゃべれない」というのは、普通の刑務所では懲罰房のやり方です。
私は95日間そういうところに閉じ込められてきました。
だから、精神的にはものすごいプレッシャーを受けました。
「たぶん、体験したことがない人には分からないかもしれない」と思いますが、想像を絶するプレッシャーで、私は生まれて初めて精神安定剤と睡眠剤を処方されて飲みました。
それくらい辛かったです。
検察官との取り調べは、どちらかというと僕はリラックスできていました。
相手は検察官で嫌な人なのですが喋れるので、僕は検察官の取り調べに毎日楽しみに行っていました。
(取り調べの内容は)ほとんどが茶飲み話、「それはなぜか」というと彼らも僕が事件についてよく知らないというか、「何が有罪だと思われているか、こいつよく分かってねえな」と向こうも思っていたのか、(事件についての)具体的な話は100分の1くらいしかしていない。
あとは99%は茶飲み話で、僕はそれを楽しみにしていました。でも、それ以外の時間は地獄でした。
――ライブドアを経営していた頃にも「●億稼いだ」というような経営についての本を何冊か出されていますよね。
人を動かすのに成功していた人が、挑戦に失敗してライブドア社内からも支持を失い、一気に転落してしまったのはなぜですか?
堀江
私はいきなり捕まえられて、「お前、有罪だ」と言われて、頭が非常に混乱してナーバスになったんですね。
ナーバスになっていたので、「どこを有罪だと言われていて、裁判所がどういう風に判断するのか」ということもまったく分からなかった。
それは「経営が分からなかった」わけではなくて、「何でいちゃもんをつけられてるのか」が分からなかったのです。
僕は3年かかって、やっとこういう形で本にもまとめられたし、皆さんの前で概要を説明できるようにもなりました。
だから私は「会社の経営の内容を知らなかった」のではなくて、「何で私が有罪と言われているのか、どこのどの部分が有罪だと言われているのかが分からなかった」のです。
それで(疑われている内容を)実際に見てみたら、ほとんどが「会計の専門的な知識を必要とする部分が有罪だ」と言われていたことが分かりました。
これは私の仕事ではなくて会計士あるいは監査法人の仕事で、その部分の専門的な知識は私にはあまりないので、そこまで経営の問題と言われてしまうとなかなか難しい。
会計的なことがすべて分かるのなら、私は会計士も監査法人も雇う必要はありません。
――先日、小沢一郎さんの秘書が逮捕されましたが、それについての見解をお聞かせください。
堀江
僕はこの3年間でよく分かったことなのですが、検察官は費用対効果をものすごく大事にする人たちなのです。
司法ではなくて、非常に経済的な原則に従って動いています。
東京地検特捜部の検事は事務官合わせて150人もいないのかな、検事は50何人とか非常に小さな組織、会社で言えば中小企業(です)。
だから、(捜査する)事件を選ぶのです。
「経済事件だったらライブドアの堀江をやれば最大限の効果が上がる」
「小沢さんの秘書をやれば政治的には今、一番注目を浴びる」と(考えたのでしょう)。
注目を浴びたら出世できますよね。
特にライブドアのような経済事件をやると、多くの会社は恐怖に震えて、検察庁にいたOBたちをたくさんお金を払って雇うことでしょう。
彼らは「巨悪を摘発する」と言っていますが、巨悪ではなくて、それこそ“しょんべん刑”って言ったらちょっと下品かもしれないですが、そういった類の事件を集中的に捜査して起訴しているようにしか私には見えない。
「私や小沢さんの秘書がものすごく悪いことをしているから捕まえる」のではなく、「彼ら(私や小沢さん)が有名だから捕まえるんだ」と僕は思います。
つまり、「まったく無名な人が高速道路を100キロオーバーで走っていても捕まえないが、堀江や小沢の秘書みたいなのが1キロオーバーで運転してたら捕まえる」というような例えが簡単に言うと正しいです。
保守的なシステムに対して苦言を呈するのが私に与えられた役割
――今日はいろいろなお話がありましたが、「なぜ、あなたが世間の地位の高い人たちからやり玉に挙げられたのか」について言及されていません。
日本の外から見ていると、「やんちゃな若者に日本の老害が逆襲した」というように見えます。
あなたが保守派から弾圧的な仕打ちを受けたのは、暗黙の一線を超えてやりすぎたとか、誰かがもっとしきたりに則ってやれと言っていたのを無視していたからなのでしょうか?
堀江
もっと単純な問題だと僕は思っていて、私のことを嫌いな人がたくさんいると思うのです。もしかしたら好きな人もたくさんいるかもしれないですが。
嫌いな人たちが一定数いれば、「その人たちが自分たちの味方をしてくれる」という意味で、検察官は捜査がしやすい。まず、これが1つの理由だと思います。
もう1つ(の理由)はさっきも言った通り、検察官というのは1人1人単独で動くのですが、私のことを捜査していた人も最初は1人だったらしいのです。
すでに検察庁を辞めている北島さんという検事さんらしいのですが、彼が1人でやっていたと(いうことです)。
つまり北島という検察官が「堀江をやりたい」と(思って)、堀江のネタを集めるために「お前知らねえか」と例えば新聞社の司法記者に聞くと、「ああそれだったら、堀江のネタこんなのありますよ」と情報提供する人がいて、「これはやれそうだな」と思ったらそれを1人で徹底的に調べていくという手法でたぶんやっているんだと思います。
つまり、1人の検察官の「これをやるんだ」というモチベーションと、それを味方してくれる人が一定数いる、という2つが重要ではないかと僕は思います。
「エスタブリッシュメントの人たちから堀江は嫌われてるんじゃないか」といったことは支援する材料にはなるのですが、やはりそれ(捜査するかどうか)は僕は検察官1人1人の個性なんだと思います。
有名になったら、「検察官に狙われているかもしれない」と注意をするべきです。
有名になってお金もうけをしたりすると、「周りの人からねたまれている」と考えるべきだし、「その中で(自分を)快く思わない人が検察官に告げ口をする」ということも当然考えなければいけない。
ただ私はその(検察の)システムに関しては非常に危険性があると(思います)。
第三者のチェックが働かないからです。
多くの人たちは逮捕されるだけで、逮捕されて起訴されたらもう社会的生命を絶たれますよ。
だから私はさっきも言いましたが、「起訴する、しない」という部分を透明化するべきだと思うし、検察官から捜査権限を取り上げるべきだと(思っています)。
だって別に検察庁がやらなくても、金融商品取引法違反に関して言えばSESC(証券取引等監視委員会)がありますし、普通の経済事件、詐欺などに関しては警察がいるわけですから、彼らが捜査をすればいい。
彼らが捜査したものを起訴するかしないかを第三者的にチェックする機関が検察庁であれば、それで社会がうまくいかないということはないと思うのです。
――古い価値観の犠牲者として現在の日本社会を見たときに、これから若い成功者を輩出していくために、日本はどんな点で変わらないといけないかを3つ挙げるなら何でしょう。
堀江
一番大事だと思うのは、お金に対する教育です。
日本では、江戸時代に士農工商というシステムが作られました。「士」というのは侍、最後の「商」というのは商人、われわれのような商売をする人たちなのですが、つまり「一番偉いのは侍で、僕らのような商人というのは一番下の階級である」と200年以上言われてきた。その意識から抜け出ていないんですよ。
「武士は食わねど高楊枝」という言葉がありますが、「お金もうけをしている奴らは地位が低くて、お金もうけをしていない私たちのような侍というのが偉いんだ」という意識が日本人の中にものすごく植えつけられているのは間違いないと思います。
「お金を稼ぐ者は地位が低いんだから、世の中に出て有名になって脚光を浴びてはいけない」という道徳心のようなものが子どものころから植え付けられてきて、それが歴史になってきているというところは僕は大きく変えなければいけないところなのかなと(思います)。
2つ目に私が思うのは、日本は高齢化社会になってきていて、40歳以上の人口の方が多いんです。
だから、新しいもの、チャレンジしていくというようなものに対して、それを抑制する保守的な勢力というものがものすごく強くなってきている。
これを変えなければいけない。移民なり、出生率を向上させるためにいろんな補助金を出したりとかやらなければいけないと思うのですが、そういった動きというのは具体的にはまだあまり起きていません。
3つ目も教育の問題なのですが、「テクノロジーなどで特別なスキルを持っているような人間を、伸び伸びと育てるための教育環境が整っていないのではないか」と思います。
日本で教育を受けていない人はよく分からないかもしれませんが、例えば日本の小学校の運動会ではみんな軍隊のような行進をさせられたりします。
そういったことを意味もなくさせられるのですが、こういう画一的な教育がされている上に、特別なスキルを持っている人間が周りの平均的な子どもたちからいじめられることが多いんです。
いじめられて自分の才能を封印してしまう子がいたり、あるいは自殺してしまうような子がいたり、学校に行かなくなるような子どもたちもいたりする。
こういった子どもたちは特殊であるが故にそういう目にあっているわけですが、「彼らを上手く伸ばしてあげられるような教育機関があれば、彼らの特異な才能をもっともっと伸ばして、それを社会に還元することができるのに」と私は思っています。
――米国大統領選挙を通じて「CHANGE」は流行語になりましたが、「自民党を支持するか、民主党を支持するか」程度のことで日本人は抜本的に変わることができるのでしょうか?
堀江
結論から話すと、僕は「できない」と思います。
なぜならさっきちょっとお話しましたが、日本の人口というのは40歳以上の方がマジョリティなんです。
だから、「CHANGE」したくない層の方が多いはず(です)。
だから何かの外圧のようなもの、例えば江戸時代だったら黒船が来襲するみたいなことでもない限り、なかなか変わらないのではないかなと(思います)。
この世の中で軍事的な革命が起こるとも思えない、起こしてはならないと思うし、だったら平和的な解決策でこれだけ保守化した日本が新しいことができるかというと(疑問です)。
だって、それ(「CHANGE」するかどうか)は選挙で選ばれるわけですから。日本がものすごく貧しくなるとか、ものすごく住みにくくなるとか、そういったことがない限り、みなさんの不満は爆発しない。
――保守的な陣営をあえて刺激するように振るまっていたのですから、それがトラブルを招いたのは必然ではないでしょうか?
堀江
そこに関して「後悔しようかな」と思ったのですが、やはり考えてみて、「私はそういう刺激的なことを言わなければいけない役割なのではないか」と思いました。
みんなが保守的で「何も変えたくない」(と思っていたり)、あるいはちょっとおかしいなと思っていても「言うと叩かれるから言いたくない」と思っていたら、誰も言わないから何も変わらないし、良くならない。
だから、「それ(あえて旧来のシステムを刺激する振るまいをすること)は私に与えられた運命だし、役割なんだな」と今は確信しています。
外国人記者に人気の堀江氏
堀江氏は日本外国特派員協会に3回呼ばれていることもあり、外国人記者たちの間での人気は高い。今回も会見前、『徹底抗戦』にサインを求める列ができたため、開始が5分ほど遅れていた。