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http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091014/biz0910140814001-n1.htm
日本の裏社会で起こっていることは、表の世界の景気のバロメーターになり得る。
成長が止まりデフレが悪化するなかで、犯罪者も追い詰められていくのは自然なことだが、「やくざ」として知られる日本の非合法集団について驚くべきことは、メンバーたちが「しのぎ」について試験を受けていることだ。
これは日本の不景気がエコノミスト予想よりも長く続くことを示唆している。日本の回復に期待している向きは失望させられるかもしれない。
小説にも登場するやくざが、教科書を開いて勉強している姿は絵にならない。しかし、借金を取り立てたり商店主から上前をはねたり、売春のために女性を管理したり、株価を操作したりという通常の仕事をしていない間、日本最大の暴力団である山口組の組員たちは12ページあるテストのために勉強しているというのだ。
非現実的に見えるが、日本の不景気のひどさを示す現象でもある。やくざは、生計を立てるために一段の努力が必要になったために教育に力を入れているのだ。これは景気に良い兆候ではない。
日本で記者を務めた経験を持ち「Tokyo Vice(トーキョー・バイス)」の著書のあるジェイク・エーデルスタイン氏は、「やくざは本物のバロメーターだ」と話す。「やくざの商売が低調なときは、景気も悪い」という。
働き者のやくざですら苦しいのだから、普通の人の家計は推して知るベしだ。成長機会が重要になるわけだが、日本には今、それが欠乏している。
やくざの試験については9月に毎日新聞が最初に報じた。警察が暴力団員を取り調べ中に試験問題を見つけたのだという。
試験の内容は、電話を使った詐欺のやり方から産業廃棄物の捨て方、自動車の盗み方、証券法の抜け穴までと幅広い。不動産や建設業界、株取引などからの利益が低下している今、無駄な訴訟を避けることも目指しているという。
日本の金融業界へのやくざの急速な進出には驚くべきものがある。大きな入れ墨をした昔ながらのやくざが懐かしいと冗談を言う人もいるほどだ。10年前には、やくざは簡単に見分けがついたし、仕事の内容も想像がついた。
今や彼らは東京株式市場では、れっきとした分散運用を手がける投資家だ。やくざに後れないためには金融や会計を勉強しなければならない。日本の株式売買、発行、市場操作の方法を知らなければ、現代のやくざを理解することはできない。
やくざの経営多角化のおかげで、彼らは有用な経済指標なった。エーデルスタイン氏によれば、2008年終わりころには「やくざ関連」の企業が600社程度あったもようだ。金融市場や重要産業の動向についての教育が必要になるのも無理はない。やくざの経営学修士(MBA)課程というところだろうか。
やくざは機敏だ。昔ながらの売春や麻薬関連から金融へのシフトは加速している。消費者金融業界への規制強化を生かすのも素早かった。ヤミ金融に顧客が流れた結果、犯罪組織は信用危機の初期には恩恵を受けた。
しかし、景気は悪化しているもようだ。円高は輸出主導の日本経済の重しだし、失業率は記録的高水準にある。国際通貨基金(IMF)は、日本のデフレが2012年まで続くと予想した。
政治も逆風だ。暴力団は公共工事の利益の分け前にあずかってきたが、民主党中心の新政権は新規のプロジェクトを進めるどころか事業中止に動いている。おまけに「ショバ代」を集める対象のバーの稼ぎもいまひとつで、売春業も2年前に比べると客が減っている。家計も借金には慎重だ。株取引と不動産も低迷が続いている。
暴力団員もリセッション(景気後退)を乗り切るために知恵を絞っているに違いない。暴力団同士の抗争が激しいのも焦りの表れかもしれない。
これらを、経済の本筋と無関係な出来事と考えるのは間違いだ。やくざが試験勉強をしていることは、裏社会の苦境を如実に表している。その他の日本国民も、苦境にあることは同じだ。