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第30回 三原 淳雄 2009年02月25日 12:00
三原淳雄 辛口コラム
【メディアは金融危機を大げさに報道しているが、これを真に受けてはいけない。恐慌の心配をする暇があるなら、その時間を使って企業のバランスシートでも読み、その資産の厚味と耐久時間でも調べる方いい。】
「奇貨おくべし」という中国の故事がある。奇貨とは珍しいもののことであり、手に入れて保存しておけば後で価値が出るという意味で用いられるが、いまなら「チャンスを逃がすな」と考えてもいい。
奇貨が珍しいもの、将来価値が出て来るものとすれば、現代版では下げに下げている資産市場はいまや奇貨で一杯になっているのではないだろうか。恍惚や恐怖は時として人間を飛んでもない方向へと駆り立てるもの。「自分は株の天才ではないか」と多くの人がついこの間まで考えていただろう。
だから当時の書店にはいとも簡単に株で億万長者になれるといった類の本がうず高く積まれ、また羽が生えたように売れてもいた。
「1日15分のディトレで億万長者」とか「主婦の私が3000万円」とか、よくもまあ恥ずかしくもなくそんな本が出せるものだと、こちらが赤面したくなった時代があったではなかったか。そんな本を読んだ人たちは膨大な損をしたうえに、ついでに本代まで損をしたはずである。
世の中にそんなにうまい話などある訳はない。またあったとしても、金儲けの秘密を本や雑誌で公開するはずもなかろう。
そう言えば「10万円を5年で1億円」というようなタイトルのベストセラーがあったが、その話に乗った雑誌が実際にその著者の取引を連載したところ、たちまち馬脚がはがれてあっと言う間に連載が消えてしまった。
恍惚(ユーフォリア)とは恐ろしいものである。ところがいまは反対に恐慌本ばかりが本屋に並んでいる。恐慌前夜みたいな状況にもうすでになっているのに、いまさら1930年代の話や、これから恐慌が来るといった類の本を読んだって、何の足しにもなるまいし、おカネまで出してわざわざ暗くなって落ち込んでも仕方ないだろう。
【恐慌に学ぶ】
では本当に恐慌が来るのだろうか。来るとしたらその確率はどんなものなのだろうか。
まず怯える前にそれぐらいのことは考えてみるといい。いま日本以外の世界の国々は恐慌にならないように、精一杯の努力をしているのだから、金融や自動車など問題産業の一角には倒産など波乱が起きるかも知れないが、どう考えても恐慌が50%以上で起きる確率は少ないのではないだろうか。
サブプライムがらみの金融商品の正体が見えず、そのため世界は過剰に怯えているのだが、バッドバンクの設立などがすでに議論されているように、手当ても進み始めている。それでもなお不安なら恐慌が起きようが関係なく生き残る企業を探すことだ。
恐慌の心配は個人の手に余るし、まったく可能性がゼロでもないだろう。しかし、たとえ何が起きても1〜2年は手元資金で食っていける企業も世の中には多い。
恐慌の心配をする暇があるなら、その時間を使って企業のバランスシートでも読み、その資産の厚味と耐久時間でも調べる方が、それこそ奇貨を探すことになるはずである。
【そんな本は読むだけムダ】
奇貨とは珍しい品物のことなのだから、恐慌でも生き残る珍しい企業は、生き残れば大変な成果をもたらしてくれるのではないだろうか。売られに売られている輸出関連でもいい、すべての輸出関連企業が潰れるわけではない。珍しいものを作っている企業は必ず生き残るだろう。
あの大恐慌時でもほとんどの企業は生き延びたのである。恐慌本から学ぶとすれば、そういうポジティブな読み方をして欲しいものである。「資産家は恐慌時に生まれる」という言葉通り、テンプルトン・ファンドの創設者ジョン・テンプルトン氏は、弱冠25歳の時に思い切ってリスクを取り、安くなった株を買ったからこそ、それこそ「奇貨」が山ほど買え、巨万の富を築いたのである。
恐慌本は読んでないが、テンプルトン氏の話など多分書いてないだろう。書いてあるのは損してビルから飛び降りた類の話だろうが、そんな本は気持ちが暗くなるだけ。読むだけムダだろう。
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