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(回答先: ソロス氏:銀行は「基本的に破たん」−米景気回復の足かせに 投稿者 gikou89 日時 2009 年 10 月 05 日 23:23:37)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091001/206100/
鳩山由紀夫首相の華々しい外交デビューの裏で、政権の足元が揺さぶられ始めた。債務の返済猶予(モラトリアム)や円売り介入否定発言が、円高・株安の引き金を引いた。新政権が投じた「劇薬」政策には副作用もある。問われたのは市場との対話力だ。
「こればっかりは何とも言えないよ…」。ある民主党幹部は苦笑いする。話題は亀井静香郵政・金融相がぶち上げた「債務の返済猶予(モラトリアム)」。同相は9月27日のテレビ番組で金利の支払い猶予まで「視野にある」と発言するなど前のめり気味だが、民主党内では「本当に実現するつもりなのか」という雰囲気が流れる。
このモラトリアム制度は亀井氏が代表の国民新党にとっては何も目新しいものではない。野党だった昨年11月には中小企業や自営業者などに対し、融資の返済を最長で3年間は猶予するとの法案の骨子をまとめていたからだ。実際、その後は参議院で統一会派を組む民主党と協議したうえで、債務の返済期限延長などに金融機関が柔軟に応じるよう求めた法案を議員立法で提出した実績まである。
「本当に実現するつもりか」
民主党と国民新党、社民党による連立政権が発足したことで、この時のアイデアが蒸し返された。しかも亀井氏が金融相となったことで一気に現実味を帯びてきた。しかし、借りたお金をしばらく返さなくてもいいという大胆なアイデアには、借り手の中小企業も疑心暗鬼になっている。
長野県で太陽光発電の機器を売る中小企業の経営者は、「仮に制度ができても金融機関に『ぜひ利用してほしい』と言われない限り使えない」と語る。返済の延期を求めれば企業の信用が下がり、新規の融資を含めたこれからの金融機関とのつき合いに不安が出る。
金融機関の反応も様々だ。ある信用金庫の幹部は「返済を延ばしている間も金利がきちんと入るのならば、別にいいのでは」と話す。だが通常、返済期限を延ばした取引先は査定を見直さなければならず、多くが不良債権か、その予備軍となる。今回の制度で査定の見直しを求められるとしたら「それこそ論外」とこの幹部は語る。
昨秋以来の急激な景気悪化で受注が半分以下に減ったような中小企業は多い。こうした企業の返済が一時的に滞っても不良債権に分類されないように、金融庁は昨年11月、金融検査マニュアルを改定し、経営を5年以内に確実に回復できる中小企業の債権について、金融機関が査定を下げずに返済を延期しやすくした。亀井金融相が提唱する制度に考え方は近い。
植木鉢のデザイン・製造を手がける「カヴァーズ エヌユー」(千葉県四街道市)の伊東美惠子社長は「債務の返済に充てていた資金を製品開発や知的財産権の申請に使いたい」と考え、マニュアル改定を機に貸し出し条件の変更を試みたことがある。だが相談した金融機関のある関係者は「条件を変えると、次の借り入れが難しくなる」。貸し出し条件の変更は、これほど神経質な問題だ。
「景気が最悪期を脱した時になぜ導入するのか。新銀行東京を創設した時に似ている」と、不振企業を延命させるだけ、と心配する信金幹部までいる。
亀井金融相は「劇薬」で何を狙っているのか。ある国民新党の関係者によると「要は『貸し渋り』がうわさされるお行儀の悪い金融機関の姿勢を正したいということ。信金などに大きな問題はない」。亀井金融相の視線の先にあるのはメガバンクだと示唆する。
そのメガバンクが株安に見舞われている。日経平均株価が一時1万円を割り込んだ9月28日には、東京証券取引所が算出する銀行業の株価指数が141.49と、終値では3月16日以来の安値となった。野村ホールディングスが9月24日に発表した最大約5000億円の公募増資で金融株の需給悪化が懸念されたうえに、「亀井金融相の発言が金融株の下げを助長した」(クレディ・スイス証券の伊奈伸一アナリスト)。
市場の洗礼とも言える反応は為替にも表れた。藤井裕久財務相がティモシー・ガイトナー米財務長官との初の日米財務相会談で、安易な為替介入はしない考えを表明。「円高容認」とも受け取れる発言に市場が急反応した。
円高・ドル安を後押し
鳩山由紀夫首相が出席した今回の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は首脳声明の別添に、大幅な経常黒字国に内需の育成を促す「世界経済の不均衡の是正」を盛り込んだ。ドル安につながるこんな議論を前に、「たまたま1ドル=90円の節目に近く、財務相発言が為替介入はないという安心感を誘い、円を買おうとしていた投資家にとって障害が1つ減った」(三菱東京UFJ銀行の高島修チーフアナリスト)。不均衡是正のために米国はドル安を容認するのではないか、という観測に財務相発言が火をつけたのだ。
9月28日には一時88円台前半まで円が急伸したため、財務相は「通貨は安定するのが望ましい」などと繰り返し発言し、事態の収拾に追われた。
29日の会見では「継続的な通貨安政策では必ず世界経済が破滅する」と強調した。米国がドル安容認に動かないよう、機先を制するために円売り介入を封印し、ガイトナー長官から「強いドルは米国にとって非常に重要」との発言を引き出した。だが、2004年3月以来封印し続けてきた介入を今後もしないという、言わずもがなの発言にこれほど市場が反応するとは予想できなかったに違いない。
画像のクリックで拡大表示 野党の時には注目されなかった主張も、与党となれば容赦なく市場に揺さぶられる。新政権が投じる劇薬の波紋の大きさは計り知れない。
「消去法でいけば、それぐらいしかないのも事実」。日々、切迫感を増す日本航空の経営再建問題を巡り、政府内でにわかに注目を浴びる組織がある。政府が10月初旬に立ち上げる「企業再生支援機構」。日航への資本注入を手がけるとの観測がある。
前原誠司国土交通相が日航再建の特別チームに招いた高木新二郎・野村証券顧問や冨山和彦・経営共創基盤代表取締役は同機構の設立に関与していた。だが、もともと同機構は「地域力再生機構」として議論を始め、主に中堅企業の再生を目指している。「日航を手がけたら、本来の中堅企業支援に手が回らなくなる」(経済官庁幹部)。前原国交相の決断次第で、政府の企業再生支援策にも影響が及ぶ。
原口一博総務相は総務省から通信放送行政を切り離し、独立した監視機関である「通信・放送委員会」(日本版FCC=米連邦通信委員会)の新設を検討すると表明した。通信・放送行政の規制と振興を分ける案は、総務省と経済産業省に分かれたIT(情報技術)関連の部局を統合する 情報通信省 の構想につながる。省庁再編の火種だ。
閣僚が競うように投じる劇薬の数々。自民党政権が避けてきた政策だけに、時期を見誤れば副作用も大きい。急激な円高・株安で日本経済に差す影は、新政権に市場や関係者とのきめ細かい対話を促す最初の警鐘なのかもしれない。
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