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日本が変わる:補正予算見直し 政治主導、前途多難 削減、想定下回る【毎日JP】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091003ddm003010060000c.html
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
◇2兆円規模、正式発表を先送り
鳩山政権が「政治主導」の第1弾として着手した09年度補正予算の執行停止を巡り、各省庁が期限の2日に回答した予算削減案の合計は2兆円規模にとどまった。
想定していた3兆〜4兆円を下回り、政府は正式発表を来週以降に持ち越した。
前政権の手で組まれた補正予算の見直しは、新政権が最初に迎える試金石だ。
水膨れの補正予算にさえ切り込めないなら、子ども手当など民主党の目玉政策に要する来年度分の財源(7兆1000億円)確保にも黄信号がともる。
政治主導の削減は、地方自治体の予算執行の現場にも波紋を広げている。
文部科学省は、すべての公立小中学校に電子黒板などを配備する「学校ICT(情報通信技術)環境整備事業」(事業費2087億円)を削減する。
電子黒板を05年12月に独自に購入した横浜市立霧が丘小学校で1日、6年生の授業、大縄跳びの練習の様子が50インチの画面に映し出された。
横山美明(よしあき)教諭(47)が画面にタッチペンで跳ぶ位置を書き込む。
38人の児童は「跳ぶタイミングが早い」と声をかけあった。
電子黒板は50インチのディスプレーとパソコンをつなぎ、教材表示ができる。
横浜市は周辺整備も含め63億円で小中学校490校に導入する予定で、10月末に入札も計画していた。
市の担当者は「市の財政は厳しく、国の予算がなければ導入は難しい」と戸惑う。
横山さんは「もう1台買えれば、授業の幅がさらに広がるのに」とため息をつく。
だが、千葉県浦安市の小学校教諭(52)は「これまでの黒板で不便はない」と削減を支持し、鳩山政権には「教員の増員や少人数学級の実現に回してほしい」と訴える。
電子黒板などの予算削減は、09年度補正予算の一部執行停止が閣議決定された9月18日深夜、スタートした。
「必要な予算のために身を削ることを考えてほしい」。
川端達夫文部科学相は、この日、同省の補正予算全項目を見直し、改善策を提案するよう坂田東一事務次官らに指示。
坂田次官は「どんな資料を用意すればいいのか」と、戸惑っていたという。
週末を返上して同省職員らが資料を作成し、祝日の22、23日、政務三役5人が集中的にヒアリングした。
三役はその後も連日、役人抜きの会議を開き、同省の幹部を必要に応じて呼び込んでは、質問を浴びせた。
役人が予算の詳細を作って閣僚に届けていた今までとは正反対の展開だ。
度重なるヒアリングを経て、川端文科相は民主党が「アニメの殿堂」と批判していた国立メディア芸術総合センター(仮称)の設立費(117億円)などの見直しも決めた。
だが、政治主導の見直しでも、削減額は当初の想定に届いていない。
「無駄か、不要不急か、必要か」の線引きの基準がはっきりしないためだ。
直嶋正行経済産業相は9月26日、事務方からの聞き取り後の会見で「100%不要な事業はない」と漏らした。
太陽光パネルの設置事業を28日に視察した増子輝彦副経産相は「温室効果ガスの90年比25%削減は公約。太陽光パネルは積極的に進めるべきだ」と、逆に予算増額を求めた。
農地を貸した地主に、10アールあたり最高1万5000円を支給する農林水産省の「農地集積加速化事業」は、2979億円の予算を大幅に縮小される。
青森県十和田市でコメや大豆を生産する営農組合代表、気田一彦さんは「農地を借りるつもりだった。
農家が高齢化する中、有意義な事業だったのに」と話す。
野党時代、国会で補正予算のムダを指摘してきた民主党だが、削減が不十分に終われば目玉事業の財源を確保できないばかりか、「省庁に取り込まれた」との批判にさらされかねない。
仙谷由人行政刷新担当相を中心に、削減案をどこまで上積みできるかが問われる。
【加藤隆寛、福永方人、斉藤望】
◇「各省、基準バラバラ」
内閣官房と財務省のパソコンには、2日夜になっても、執行停止予算の精査に手間取った省庁から削減額を記したメールが届いた。
回答期限とされたこの日、官僚たちは朝から報告の準備に追われた。
だが、肝心の鳩山由紀夫首相と藤井裕久財務相は海外出張に出かけ、関係閣僚が集まる場面もないまま。
削減案も締め切り時間までは徹底されておらず、予算の切り込み役・行政刷新会議を担当する古川元久副内閣相は2日の民放テレビ番組で「(期限は)夜中の12時までですよね、と他の副大臣から電話がかかってきた」と混乱ぶりを語り、「各省の削減の基準はバラバラだ」とも明かした。
補正予算削減分を来年度、衆院選で国民に約束した子ども手当などの予算に充てるというのが新政権の腹だ。
2日、新たに財務省が1000億円超を削ることが判明し、執行停止額は10府省庁で1兆8200億〜2兆200億円となった。
それでも、目標とされる3兆円とは開きがある。
「数字が独り歩きすると、次の段階の障害になる」。
菅直人副総理兼国家戦略担当相は1日の記者会見でこう述べ、予防線を張った。
しかし、首相官邸は2日、積極的に公表しようとした赤松広隆農相にさえ発表を控えるよう指示した。
「情報隠し」との批判を招きかねない状況を生んでいる。【野原大輔】
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◆削減される見通しの主な補正予算計上事業◆
■国土交通省(7000億〜9000億円)
高速道路の4車線化事業
■厚生労働省(4000億円超)
緊急人材育成・就職支援基金の一部
■農林水産省(3000億円超)
農地集積加速化基金
■文部科学省(2000億円程度)
国立メディア芸術総合センター▽学校のエコ改修、電子黒板を配備するスクール・ニューディール構想▽若手研究者らの海外派遣支援基金
■財務省(1000億円超)
日本政策金融公庫に対する出資
■総務省(約900億円)
行政サービスの電子化事業
■経済産業省(1000億円前後)
研究開発施設整備費見直しなど
■警察庁(259億円)
次世代安全運転支援システムパイロット事業
■外務省(100億円程度)
所管施設の整備費見直し
■内閣府(8億円)
国立公文書館関連政策費▽世界金融・経済危機研究事業▽外国人高度人材ネットワーク構築事業
※カッコ内は削減可能な金額
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毎日新聞 2009年10月3日 東京朝刊