★阿修羅♪ > 国家破産65 > 271.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
IMFは粛々とSDRを推進 ? ----【IMF:金融業界への課税方法を検討、「単純な」トービン税ではない】---(ブルームバーグ)
ブルーム・バーグのタイトルでは、金融業界への課税についてIMFが言及した事を報道していますが、それ以外にもIMFが実質的にSDRを「主たる準備通貨」とすべく推進するためと思われる示唆的かつ重要な発言をしています。それらの内容について、コメントしたいと思います。
まずは以下の報道内容をお読み下さい。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aeqN5j3RzfeY
【IMF:金融業界への課税方法を検討、「単純な」トービン税ではない】---(ブルームバーグ)
10月2日(ブルームバーグ):国際通貨基金(IMF)は20カ国・地域(G20)の要請により、金融業界に課税する方法について検討している。ストロスカーン専務理事が明らかにした。
同専務理事は2日、イスタンブールでの記者会見で、「あまりにも単純な」国際金融取引税(トービン税)の構想を、実行が非常に困難なことを理由に否定した。
一方で、「金融業界は世界経済に対する大量のシステミックリスクを生み出している。そのような業界が、自らが創り出すリスクを和らげるためにリソースの一部を差し出すのは公平なことだ」と語った。
トービン税の議論は、英金融サービス機構(FSA)のターナー長官が8月に銀行を対象とした世界共通税の導入を提唱したことから再び脚光を浴びた。ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・トービン氏が1971年に外為取引への課税を提唱したのが原型。
G20首脳はピッツバーグでの先週の首脳会議(金融サミット)後に、「力強く持続可能、かつ均衡の取れた成長の枠組み」確立に向けてIMFに支援を要請した。
ストロスカーン専務理事はまた、通貨安に見舞われた国に対しIMFが「最後の貸し手」となることを提唱した。
これにより、各国が外貨準備を積み上げる必要が後退するとし、これはIMF設立時の元々の使命でもあると述べた。
各国は「アジア危機など過去の危機から、自国通貨が攻撃されるのを避けために巨額の外貨準備が必要だという教訓を得て」外貨準備を積み上げていると指摘し、各国が「国際準備をIMFに貯蔵する」ことを提案した。
原題:IMF Mulls Financial Industry Levy, Not‘Simplistic’ Tobin Tax(抜粋)
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:アムステルダム 木下 晶代 Akiyo Kinoshita
akinoshita2@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba記事に関する記者への問い合わせ先:Sandrine Rastello in Istanbul at srastello@bloomberg.net
更新日時: 2009/10/02 23:11 JST
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
(コメント)
G20でドイツがトービン税を提案しましたが、G20では採択されず、「お蔵」になったものと思っていましたが、IMFで検討していたとは驚きです。また、トービン税以外のところでスゴイ発言をしていますので、ツッコミと(デタラメな?)解説を試みます。
まずは以下の部分が目を引きます。
1.金融機関への課税問題についての説明
引用します。
>>>「あまりにも単純な」国際金融取引税(トービン税)の構想を、
>>>実行が非常に困難なことを理由に否定した。
>>>一方で、「金融業界は世界経済に対する大量のシステミックリスクを生み出している。
>>>そのような業界が、自らが創り出すリスクを和らげるためにリソースの一部を差し出す
>>>のは公平なことだ」と語った。
トービン税は以前の投稿で、その概要と効果について説明しましたが、理想的な形はすべての外国為替取引に「あまりにも単純に」課税する事です。
トービン税を完全実施するとヘッジ・ファンドは恐らく開店休業、全滅となることでしょう。
同税の導入は、タックス・ヘイブンへの所得移転を当局が把握につながり、これによる富裕層の半合法的な脱税が問題となる事は必至です。
このような事から主要国がトービン税を本気でやる事はまずないでしよう。
ただ、「・・・自らが創り出すリスクを和らげるためにリソースの一部を差し出す・・・公平なこと・・・」と言う下りは重要で、トービン税ではないが、それに近い形の税制を導入して制限すると言っているのは重要です。
ちょっと脱線・・・
なぜ、トービン税が導入されるとヘッジ・ファンドが全滅状態になるかと言うと、彼らの価格操作の手法に致命的なダメージを与えるからです。
為替に限らず、相場は市場での力関係で決定されます。
ヘッジ・ファンドなどによる為替相場の「メイク」は、日中の取引量よりもはるか大きな資金で、買占め(あるいは売り)を行い、相場を一方的に押し上げる事で行なわれます。
価格が上昇したら、相場が崩れないように断続的に買い注文をいれて、価格を支える一方で、一定時間をかけて小口の売りを出し、段々と利益を確定して行くのが通常の手法です。(買上がり)
最終的には下がりそうになったら再度買占める。上がったら少しずつ売るプロセスを繰返して売り逃げをします。
つまり、多額の資金を用いて「頻繁かつ多頻度」の売買が相場を作り出す源泉となっています。
トービン税は一回の売買について0.05%の税金をかけると言われています。
もし、1秒間に100回の売買について1回当たり0.05%の税金がかかったらどうなるでしょうか。
※株式市場等では実際には、これ以上の頻度で米系金融機関はトレーディングしてます。
事実上、税金で資金は枯渇します。 これがトービン税の狙いです。
※本気で金融規制をやるつもりなら、不可能ではありません。絶対できます。
ですが、やるつもりは無いでしょう。
2.本命の発言
>>>通貨安に見舞われた国に対しIMFが「最後の貸し手」となることを提唱した。
>>>これにより、各国が外貨準備を積み上げる必要が後退するとし、これはIMF設立時の
>>>元々の使命でもあると述べた。
「最後の貸し手」になるという意味ですが、IMFが「最後の貸し手」になる為には条件があります。
それは「資金」と「その流動性確保」です。
条件を満たす為には、各国の中央銀行が個別に行なっている「外貨準備」をIMFに対する預け金で行なう事が必要です。
しかしドルでは長期的かつ継続的な「価値減価」がさけられず、価値減価(デバリュー)が最も少ないという条件が適切だとすると、それはSDRになる事が自然の流れとなります。
これはIMFが外為分野での中央銀行になる事を意味します。
しかし、これはSDRが必ずしも世界通貨、機軸通貨になる事を意味しません。
大量に世界各国の資金を預かり、その構成通貨に自由に交換できるSDRは合成通貨であるが為に、当面、市場に出回る事は無いはずです。
実際の決済では現行のドル、ユーロ、円、人民元などがそのまま使われ、現行の通貨システム、決済システムはそのまま使われる事でしょう。
また、各国の金融政策も独自におこなう事ができます。むしろ、そうした問題の解決の為にもSDRが適切と言えます。
次に
>>>各国は「アジア危機など過去の危機から、自国通貨が攻撃されるのを避けために巨額の外貨準備が
>>>必要だという教訓を得て」外貨準備を積み上げていると指摘し、各国が「国際準備をIMFに貯蔵する」
>>>ことを提案した。
実は外貨準備は、自国通貨がヘッジ・ファンドなどの攻撃により、暴落の危機に瀕した時に防衛する為の資金です。
必要な時に、必要な通貨に、必要量だけ、交換すれば良いのです。
それは「機軸通貨」である必要は全くありません。価値変動が少なく、必要通貨への交換と流動性が保証されている事を兼ね備えた「準備通貨」であれば良いのです。
「機軸通貨」イコール「準備通貨」と硬直的に考えていたのでは、言っている事が絶対に分かりません。
3.最後に
これは米国の陰謀です。はっきり言って・・・・
現行の米ドルのデバリューの問題は先送りされます。最低でも40-50年位は持つでしょうか。
バスケットの中身と構成比を随時に変更する事で、うまく行けば、もっと長持ちすると思いますが・・・・・
結果は・・・・世界はドル・バブルとは桁違いの巨大バブルに埋もれる事となります。
しょせん、普遍的な価値とか永遠の存在とかは人類の夢・幻でしかない。
単なる思い込み。通貨の問題は必ずそこに突き当たる。
世界通貨バンコールと清算同盟を提唱したケインズ、地域通貨を提唱したミヒャエル・エンデが生きていたら何と言うか。
※この説明文は俗に言う「とんでも論」です。「と論」である事を願いたい。