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第3493回
台湾に行くと、
「日本は景気が悪いというのに、
どうして円高が続いているのですか」とよくきかれます。
詳しく説明するのが面倒臭いので
「円高じゃなくてドル安が起っているのですよ」
と答えてお茶を濁していますが、
円高はメイド・イン・ジャパンの商品の
輸出を困難にしているだけでなく、
日本のメーカーや輸出業者をピンチにおとし入れています。
台湾のように日本と関係が深く、
日本商品を数多く輸入している地域では、
輸入品の決済は円建てでやっていることが多いので、
業者は利幅がうすくなってピンチにおちいっています。
また対米輸出のようにドルで決済している取引の場合でも、
日本側の手取りは円高になった分だけ減少するので、
日本の輸出業者は青息吐息です。
日本の産業界にとって明らかに不利な現象に見舞われているのに、
日本の総理大臣も日銀総裁も他人事のように無関心でいられるのは
どうしてでしょうか。
私はそれは多分、自分たちの財布の中と直接関係のないところで
起っている現象だからではないかと思います。
日本の政治家の人もお役人でトップまでのしあがった人たちは
いずれもお坊っちゃま育ちばかりになってしまって、
企業のお金の出し入れをするところと直接タッチしていません。
為替相場は大学の経済学が教えるように、
需要と供給のバランスするところに落着くもので、
政策で動かすことは邪道であると思い込んでいるのです。
こういうことが長く続くと、
日本の輸出産業の衰退は長期化して、
バブルのはじけたあとの衰退期に似たピンチが
かなり長期にわたって再発するのではないでしょうか。
ダーティ・フロートと言われようとどう言われようと、
中国のように自国通貨の上昇にブレーキをかけないと、
日本のメーカーは日本国内にいたたまれなくなって
工場の大移動に動くことになってしまいます。
政治家と生活保障に頼る人たちが日本に居残って
あとは皆で出稼ぎに出かける動きになっていいものでしょうか。