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第3491回
国営では駄目だった筈なのに
自動車業界を見たらすぐにもわかることですが、
30何年前に第一次石油ショックが起った時、
アメリカの自動車メーカーが省エネに全く無関心で、
相も変わらず
ガソリンの流しっぱなしになる大型車をつくり続けるのを見て、
私はいまにGMはトヨタにとって替わられる、
アメリカの自動車産業に終わりが来る
と文章に書いたことがあります。
でも「腐っても鯛」と言いますから、
一度、世間から評価されたものは実用性がなく、
多くの人から見離されるようになっても
本当に駄目になるのに時間がかかるんです。
その答が出るまでに30何年もかかってしまいましたが、
実際に倒産すると社会に対する影響が大きすぎるので、
最終的には国がお金を出して再建することになります。
でも国にそんなことができると思っている人が
本当にいるのでしょうか。
大抵の人は、国はお札を刷って急場を救うだけだけど、
そのうちにどうにかなるだろうとタカをくくります。
お金を出す要路の人も
あとは自分のことでなくなると思っているから
平気で国のお金を使うのです。
国のやることは曖昧で効率の悪いことは誰だって知っています。
ですから国営事業では駄目で
本気で立て直すためには民営化が必要だと誰もが考えた筈です。
日本の国鉄を民営化したらどうなったかは
日本国中、誰でも知っていることです。
それなのに民営で駄目になった大企業の面倒を
国がまた見ようじゃないかというのが
いまアメリカのやっていることなのです。
民営でもやって行けなくなった倒産企業の建て直しが
もっと効率の悪い国にできるのなら
世の中にできないことは何もない
ということになるのではないでしょうか。
ですから世界的金融不安からの戻りは
そんなに簡単なわけがないし、
なかでもアメリカが一番遅れると見てよいのではないでしょうか。
とりわけ金融の分野、お金にお金を儲けさせる分野は
そんなに簡単には立て直せないと私は見ています。