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需要不足による値下げ競争激化、デフレスパイラル懸念も(ロイター)
http://www.asyura2.com/09/hasan65/msg/190.html
投稿者 賢者の石 日時 2009 年 9 月 30 日 02:21:49: Qf5ShLuWtoZHs
 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11706420090929

[東京 29日 ロイター] 国内の需要不足を背景にした企業の値下げ競争が激化している。需給ギャップの目立った縮小が見込めない中、こうした値下げを背景に物価の下押し圧力が継続し、昨夏にかけた原油高という海外市況要因がはく落した後も、物価下落基調が長期化する気配が濃くなっている。

 <需給ギャップを背景に、コアコアCPIは下落幅が拡大> 

総務省が29日に発表した8月全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比で2.4%低下し、昨夏にかけた原油高の反動などから、4カ月連続で過去最大の下落率を更新した。ただ、今秋からエネルギー要因がはく落していくため、コアCPI前年比の下落率自体は、次第に縮小していくとみられている。

その背景として、レギュラーガソリン店頭価格は1月中旬を底に緩やかに上昇しており、ニッセイ基礎研究所・主任研究員の斎藤太郎氏は「ガソリン価格の前年比は年内にはプラスに転じる公算が大きい。エネルギー価格低下の影響一巡に伴い、年末にかけてコアCPIのマイナス幅は1%台後半まで縮小、来年3月までに1%台前半まで縮小する可能性が高い」と予測する。

一方、全国コアCPIをみると、前年比で上昇したのは190品目(前月209品目)、下落したのは282品目(前月264品目)で、物価下落は広がりをみせている。

下落品目の多さは国内の需要不足を反映しており、来年以降もコアCPIはマイナスが継続するとの見方が根強い。バークレイズ・キャピタル証券・チーフエコノミストの森田京平氏は「コアCPIのプラス転化は、早くても2011年7─9月になる」として、向こう2年間は前年割れで推移するとの見方だ。

9月のESPフォーキャスト調査をみると、民間エコノミストの予測平均値は、2009年度のコアCPIは前年度比1.49%下落、2010年度は0.72%下落となった。2010年度にかけて物価下落率は縮小するとの従来からの見方に変化はなかったものの、前回調査と比べて予測値は下振れした。

大幅な需要不足が続き、需給ギャップはなお空前のマイナス幅となっている。4─6月期はマイナス7.8%(1─3月期マイナス8.1%)。日本経済の需要不足額は、今年4─6月期で名目で年率40兆円程度にのぼり、供給過剰で物価は低下しやすい。このため内閣府が発表した8月の石油製品・その他特殊要因除く消費者物価指数(コアコアCPI)は、前年比で0.75%低下し、これまでより下落幅が拡大した。

大和総研・エコノミストの渡辺浩志氏は「景気悪化で生じた需要不足は1─3月期が最大で、今後は少しずつ縮小する見通しだが、これが早期に解消する可能性は低い」と指摘する。 

<値下げ競争が売上・収益悪化要因に、デフレスパイラル懸念も>

企業は生産・供給能力をある程度維持しようとする一方で、実際に売れる量は限られてしまうため、価格調整が本格化し、売上圧迫にもつながる構造になっている。内閣府がまとめた景気ウォッチャー調査では「客単価、商品単価等は一段と低下傾向にある」(東海、スーパー)、「一度引下げた弁当の単価を上げるのは難しく、売上は低迷する」(東北、弁当)とのコメントが相次いだ。

百貨店でもそごう・西武などを中心に、独自のプライベートブランド(PB)を強化するなど、企業の価格戦略は大きく変化してきている。BNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏は「消費者の節約志向に対応できなければ生き残りは難しく、企業の価格設定行動はデフレ・モードへと移行している。ここに来て進む円高を利用し、価格のさらなる引き下げを打ち出す企業も増えるだろう」と分析。景気持ち直しでもデフレ予想は企業や消費者に定着し、1%を超えるマイナスのインフレ率が継続すると予想している。

物価下落が企業の売上高を圧迫する中で、企業は設備投資の圧縮のほか、固定費にあたる人件費などのコストカットを進めている。家計の購買力低下で消費が伸び悩み、さらにそれが企業の売上を抑制する形で、デフレがデフレを呼ぶというプロセスに入るのかどうかも留意点として挙げられる。

エコノミストからは「今後そうなってしまうかは1つの焦点。日本経済を支えている輸出と、家計の購買力にかかわる賃金の動きという、両者のバランスを見ていく必要がある」(バークレイズ・キャピタル証券の森田氏)、「1─3月を底に企業収益は段々と持ち直しているが、水準はなお低い。価格競争が厳しくなると、今すぐではないが、デフレスパイラルが視野に入ってくる」(大和総研の渡辺氏)との声が出ている。

物価下落によって、実質金利が高くなってしまうという弊害もある。実質金利が上がると設備投資の抑制要因になるほか、中小企業金融の圧迫材料になるため、物価のマイナス幅が拡大する過程では問題になりやすい。需要不足が招く物価下落は、企業活動にとって様々な形で悪影響を及ぼすことになりそうだ。  

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