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サウジが教えてくれる成功パターン崩壊の予兆(KlugView)
2009/09/25 (金) 15:45
9月25日付の日本経済新聞には、サウジアラビア政府が、海外に保有している資産を取り崩している、という記事が掲載されています。
サウジアラビア通貨庁(SAMA)の最新報告書によると、7月末のSAMAの海外資産残高は、直近ピークである2008年11月(1兆7,300億リヤル)から2371億リヤル縮小し、1兆4,929億リヤルとなりました。SAMAの海外資産残高が1兆5,000億リヤルを下回るのは13カ月ぶりとなります。
SAMAの海外資産残高が減少している背景に、サウジアラビア政府による景気対策があります。サウジアラビアでは、原油価格の値下がりで歳入が落ち込む一方、歳出は国内景気対策のために拡大傾向にあります。このためサウジアラビア政府は、景気対策の財源として海外資産を取り崩すことを表明しています。
SAMAの海外資産のうち、減少幅が最も大きいのが外国預金です。SAMAの外国預金は、2008年11月には3,844億リヤルありましたが、2009年7月には2,231億リヤルと、42%(1,613億リヤル)も減少しています。
一方、SAMAの海外資産の約7割を占める外国証券は、2008年11月から2009年7月に725億リヤル減少していますが、減少率は外国証券全体の6%に過ぎません。
外国預金と異なり、証券の場合、市場にて証券を売却しないと資金を調達することができないという問題もありますが、財政赤字に苦しむ米国政府に配慮したため、という指摘もあります。SAMAが保有する外国証券の多くは、米国債といわれており、仮にSAMAが米国債を大量に売却すると、米国債の価格が下落し、米国政府の資金調達が難しくなる可能性が高まるからです。
ただ、預金にせよ証券にせよ、サウジアラビア(SAMA)が、資金を米国から自国に戻している、言い換えれば、米国への資金流入が減少しやすくなっている点は、注目に値すると思われます。マクロ経済学では自明のことですが、米国への資金流入が細ることは、米国の経常赤字の縮小を意味します。
米国の経常赤字が縮小するには、米国からの輸出が増加する、米国への輸入が減少する、その両方、の3つのシナリオが考えられます。徐々にドル安が進んでいるため、米国からの輸出が増加することは否定しませんが、米国の雇用環境が悪化している点を考えると、米国への輸入が減少するシナリオを避けることは難しいでしょう。
米国への輸入が減少することは、日本や中国の輸出が減少することにつながります。米国は、経常赤字を拡大し続けることで、世界各国の輸出を受け入れてきました。今、起きつつあることは、そのパターンが崩れつつあるということです。米国を相手に経済成長を続ける、という当然視されてきたパターンは、今後、徐々に通用しなくなるのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
サウジアラビア通貨庁(SAMA)が保有する外国預金は
どれくらい?(2009年7月末時点)
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2,231億リヤル
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/09/25/006828.php