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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1805
相次ぐ油田発見、需要満たすには不十分?---(JB PRESS)
2009年09月22日(Tue) Financial Times
(2009年9月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ブラジルからシエラレオネに至るまで、最近の相次ぐ油田の発見は、探査するような未開発の油田はないと考える人々の立場を弱めているが、世界経済が回復する中で、これらの発見は供給不足を解消するには不十分かもしれない。
米国の石油開発会社アナダルコは先日、ガーナ沿岸からシエラレオネまで1100キロに及ぶ全く新しい石油貯留層を発見したと発表した。これは、世界で最も重要な将来の石油輸出国の1つであるブラジルで大きな発見があった直後のことだ。
■ブラジルやシエラレオネで大型油田発見
ブラジルの国営石油会社ペトロブラスと英BGグループが行ったこのブラジルでの発見は、英ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)がメキシコ湾深海部で油田を発見したと発表し、地質学的な新たな油田地帯が確立されたすぐ後のことだった。
西アフリカの新たな石油貯留層では、アナダルコのパートナーである英国の上場石油会社タロー・オイルが今、アフリカ大陸最大の海底油田であるガーナの巨大なジュビリー油田に匹敵する規模の新油田を複数発見できるかもしれないと考えている。
メキシコ湾深海部では、BPが今は埋蔵量が300億バレルではなく500億バレルに達する可能性があると考えていると話している。
一方、ブラジルのエネルギー相エジソン・ロバオ氏は先日、ブラジル議会に、ブラジル沖の大きな塩塊の下の油層に500億〜800億バレルの石油と天然ガスが眠っている可能性があり、ブラジルは今後10年以内に1日当たりの産油量を380万バレルまで倍増できると述べた。
こうした油田の発見は、関係する企業や国にとって重要である。BPとBGの株価はこれらの発見を受けて4%上昇し、比較的規模の小さなタローは、西アフリカでの油田発見を発表した後に株価が11%も跳ね上がった。
これらはすべて、高値をつける原油価格が新規技術の開発を促進し、成功の可能性がごくわずかしかない場合でも油井の掘削に石油会社が前向きに取り組む原動力になり得ることを示している。
■迫り来る供給不足
石油会社の幹部やG8諸国の指導者、石油輸出国機構(OPEC)はそろって、世界が数十年間で最悪の景気後退から立ち直ろうとしているために、今後供給不足に陥る可能性があると警告している。新たに発見されたこれらの油田は、来る供給不足を遅らせたり、回避したりするだけの十分な規模を持っているのだろうか。
短期的には、答えは恐らくノーだろう。油田の開発には時間がかかるためで、2014年までに供給不足が起きると予想する専門家もいる。
先進国の監視機関である国際エネルギー機関(IEA)で中期的な供給予測の責任者を務めるデービッド・ファイフ氏は、より多くの部分は景気回復のスピードにかかってくると話す。
世界経済の成長率が4.5〜5%まで回復した場合には、2008年夏に経験したような原油価格高騰の危険を冒したくなければ、世界は1日当たりの石油生産量を今より約400万バレル増やす必要がある。
■ 景気回復による需要拡大ペースに追いつけるか?
石油の余剰生産能力は現在日量600万バレルと安心できる状態にあるが、2008年7月には中国その他の国の需要拡大によって余剰能力が激減し、原油価格は1バレル=147ドルという過去最高値まで上昇した。産油国は需要拡大に全くついて行くことができなかった、とアナリストらは言う。
最近の油田発見の長期的な供給に対する影響については、過去数週間の発見が目に見える違いを生み出すかどうか、アナリストの間で意見が割れる。
ワシントンのコンサルティング会社PFCエナジーのアナリスト、ボブ・マックナイト氏は、世界最大級の油田で生産量が減少する一方、石油資源に恵まれた地域が政治的障害のために未開発のままであるため、世界の石油生産がいずれ到達する低迷期を遅らせるためには、今よりはるかに多くの石油が発見されなければならないと言う。
エジンバラに本拠を置くコンサルティング会社ウッド・マッケンジーのアナリスト、アン・ルイーズ・ヒトル氏は、石油業界が達成している漸進的な技術進歩によって、企業がより深くより困難な油井を掘削できる力をつけているために、供給予測には「まだ発見されていない油田」が既に織り込み済みになっていると注意を促す。
しかし、シエラレオネとガーナ沿岸の石油貯留層はこうした見通しに含まれてない可能性があり、そのため供給不足の見通しを変化させられる可能性はあるという。
「新たなジュビリー油田と呼べる大型油田がいくつか本当に開発されれば、影響を与え始める可能性はある」。18億バレルの埋蔵量があると見られるアフリカの油田に言及しながら、ヒトル氏はこう話す。
■ 需要サイドの行動がなければ・・・
だが、どのアナリストも一様に強調するのは、石油の供給不足を遅らせるためには、多くの油田の発見だけでなく、それ以上のことが必要になるという点だ。「需要サイドで行動を起こさなければ、その時期を遅らせることはできないだろう」と、ヒトル氏は言う。
効率改善や石油代替エネルギーを促進する政策によって需要サイドの効果がもたらされるのか、それとも、石油の供給が再び需要に追いつけなくなり、経済に急ブレーキがかかることによって痛みの伴う需要減退がもたらされるのかは、各国政府の対応次第だろう。