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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2191
(2009年11月19日付)
ンスティチューション・アベニュー101番地にあるゴールドマン・サックスのワシントン事務所。10階から望遠鏡で外を眺めると、米連邦議会議事堂のドームが目の前に見える。世界の金融界で最も強力なプレーヤーである同社が占有するオフィスは落ち着いた色調で装飾されており、飾りの風見鶏が2つ、花を添えている。
だが今週、ゴールドマンの幹部らが風向きを知りたいと思ったら、議事堂とは向きが違う東側を見なければならなかった。オフィスの外に大勢のデモ参加者が集まっていたのである。
米国の労働組合SEIU(サービス従業員労働組合)が組織したデモで、参加者たちはゴールドマンと米政府の異様に緊密な関係――ゴールドマン出身者の中には、元財務長官やホワイトハウス高官がいるほか、世界中の規制当局に出身者が散らばっている――を批判し、折しも米国人の10人に1人以上が失業している時に、巨額の利益を稼いで何十億ドルもの報酬を払おうとしていることに抗議の声を上げた。
【オフィスを取り囲むデモ隊、突如罵りの的になったゴールドマン】
ゴールドマンはここ数カ月、非難の集中砲火を浴びており、ワシントンでのデモは最新の一撃に過ぎない。政府の支援を最大限に活用し、ものすごい勢いでウォール街のトップに返り咲くと、同社はローリングストーン誌に「コウモリダコ」と呼ばれ、新型インフルエンザのワクチンの優先配布を受けると、サタデー・ナイト・ライブで笑いのネタにされた。
銀行には社会的な目的があり、「神の仕事」をしていると冗談めかして言ったロイド・ブランクファイン氏の発言が、とんだ騒ぎに発展した〔AFPBB News〕
そして先日は、CEO(最高経営責任者)のロイド・ブランクファイン氏が、ゴールドマンなどの銀行は「神の仕事をしている」と冗談めかして言うと、宗教指導者から一斉に攻撃された。ブログの世界は今、「ロイドの祈り」の話題で沸き返っている。
今月、オハイオのデイトン・デイリー・ニュース紙などの中西部のメディアまでが風刺漫画でゴールドマンの「強欲」を揶揄し、ニューヨークのザ・ヴィレジャー紙が同社のオフィスの近所で生まれた猫を獣医に診せる費用を払っていないと非難(ゴールドマンは後に支払いを済ませたことを明らかにした)するに至ると、新たな現実がはっきり見えてきた。
2世紀近くにわたって、公の目の届かないところで投資家や政府、優良企業と取引してきたゴールドマンは、今や嵐のような罵りの的となってしまったのである。
ゴールドマンはこの記事に対するコメントを拒んだ。もしかしたらこれは、一連のネガティブな報道のせいで、会社が強迫観念を抱き始めたサインなのかもしれない。社内関係者らは、会社の地位の落ち方に愕然としていると言い、自分たちの報酬の詳細が激高する一般市民にリークされたりしたら、身の安全が心配だと話している。
【CEOの謝罪も中小企業支援策も効果なし】
今週、ブランクファイン氏はゴールドマンが危機で果たした役割について謝罪し、同社は今後5年間で米国の中小企業支援に総額5億ドルを投じると発表したが、批判を和らげる効果はほとんどなかった。
経営陣が今、潤沢なボーナスの原資――ゴールドマンは今年1〜9月期に、既に167億ドルを報酬資金として取り置いている――を配分しようとする中で、問題は、同社がカネを稼ぐ力を損ねることなく、世論の反発を乗り切れるかどうかだ。
ダウンタウン・マンハッタンのブロード・ストリートにあるゴールドマン本社では、規制当局と政治家、そして投資家までもが、同社の成功の2つの礎を切り崩していくのではないかとの不安が広がっている。つまり、高額報酬によって結びついた結束力と、果敢なトレーディング戦略だ。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ガイ・モシュコフスキ氏は最近、ブランクファイン氏に次のような質問をした。「会社としては、メディアの詮索と露骨な怒りをどう鎮めるつもりなのか。報酬問題が物議を醸す中で、ゴールドマンはどうやって大事な人材を引きとめていくのか」
ブランクファイン氏はこれに対し、自分のスタッフはウォール街で最も生産性が高く、ゴールドマンの社風は顧客がビジネスをするのを助けることだ、と答えた。
【自らの成功の犠牲者】
ゴールドマンはある意味で、会社の存在そのものを脅かす危機から急回復を遂げた成功の犠牲者とも言える。昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻後、ゴールドマンと宿敵のモルガン・スタンレーは株価急落に見舞われた。両社が資金調達のために、預金ではなく気紛れな資本市場に依存していることに投資家が不安を抱いたためだ。
昨年のリーマンショックで、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーも一時は先行きが危ぶまれた〔AFPBB News〕
ほんの数日で、米当局は両社が銀行持ち株会社に移行することを認めた。おかげで両社は数十億ドルの政府支援を受けることができ、米連邦準備理事会(FRB)の庇護の下に置かれることになった。
銀行持ち株会社への移行は、ゴールドマンの再生の基礎も作った。崖っぷちから奈落の底をのぞき込んでいた時から15カ月が経ち、同社はその間に、ウォーレン・バフェット氏を含む投資家から数十億ドルを調達。100億ドルの公的資金を受けて、それを返済したうえで、2009年1〜9月期に125億ドルの利益を上げた。
ゴールドマンの株式は現在、1年前の安値の2倍以上で取引されており、3万人いる従業員の多くが1年を締めくくるのに巨額のボーナスを手にする見通しだ。
ゴールドマンの突出した業績は、2つの強みの上に成り立っている。個々人の集合としてではなく会社として利益を上げることに対するコミットメントと、トレーディングと規制問題に取り組む際の怖いもの知らずの大胆さだ。
【利益に対する執着と怖いもの知らずの大胆さ】
サービスがかなりコモディティー化(汎用化)された最近のウォール街にあって、ゴールドマンには他社がほとんど真似できないものがある。団結して利益の極大化に専心する企業文化である。「過去50年ほど、変わらないことが1つある。商業的な成功を尊ぶ文化とカネを損することに対する嫌悪感だ」。ある元ゴールドマン幹部はこう話す。
ゴールドマンを羨むある競合金融機関の幹部は、ブランクファイン氏は神の仕事について話した時に、ゴールドマンの宗教では、神はマモンの神だとつけ加えるべきだったと言う。
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