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第3482回
新しい政権になって、
次の総理も色々と手を打つでしょうが、
誰が総理になっても手にあまるのは
多分、失業問題でしょう。
日本の失業はまだ5%台で、
欧米の先進国に比べて遥かに低い水準にありますが、
政府がさまざまの対策をとっても、
雇傭が回復するどころか、
逆に一そう深刻になると私は見ています。
なぜならば、国内消費が萎縮する方向にあり、
物が売れなければ、
百貨店もスーパーも売場の人を減らすよりほかありませんが、
物をつくる生産部門に至っては
更に人を減らすよりほかないからです。
とりわけ工業部門はドル安によって輸出が困難になるだけでなく、
工場をもっとコストの安い外国に移す動きが盛んになりますので
工場で働く人を一段と減らすことになります。
失業者がふえれば、
失業者を救済するための失業保険の支出もふえるし、
浮浪者がふえる一方で治安も悪くなります。
また税収が減るだけでなく、支出がふえるので、
財政はますます困難におちいって増税は避けられなくなります。
かつて昭和のはじめ頃に経験した「大学は出たけれど」
という舞台に大半の日本人が立たされるようになるのです。
そうした中で、
昔と今の違うところはグローバル化の時代になったことです。
大正から昭和にかけては、
日本人が外へ出ようにも出られない時代でした。
軍事力に頼って隣り近所を脅かす以外に、
日本人が外に出稼ぎに行ける可能性はありませんでした。
でもいまは違います。
知恵のない者と勇気のない者だけが失業日本に残って、
先進工業国の先輩筋に当る日本人は
世界中どこにでも出稼ぎに行くことができます。
国内における失業率がふえればふえるほど、
進取の気性のある日本人は
世界中どこにでも出稼ぎに行くことができるのです。
但し、思い切って祖国にさよならのできる人は
恐らく百人に1人もいるでしょうか。
ですから日本国内はやがて
失業日本の溜り場になることは避けられないと見て
間違いありません。