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見過ごされたリーマン破たん前の不気味な予告−業界は守りで精一杯 9月8日
(ブルームバーグ):
その警告は十分に不気味だった。内容は「大規模で世界的な資産の破壊」。
これこそ、米証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの幹部らが同社の米史上最悪の破たん劇を前に予言した内容だった。ブルームバーグ・ニュースが入手した政府当局者向けに用意された極秘メモの一項目は「すべての金融機関に影響する」とあり、「リテール(小口)投資家も退職者資産も壊滅的な打撃を受ける」とある。
しかし、このメッセージが浸透することはなかった。リーマン救済策を検討しようとポールソン米財務長官やニューヨーク連銀のガイトナー総裁(いずれも当時)が昨年9月13日の週末に集めたおよそ20人の大手金融機関幹部は、自行を救うのに精一杯で、より大きな脅威に目を向けなかった。
同週末に身売りで合意したメリルリンチのジョン・セイン最高経営責任者(CEO、当時)はインタビューで、「CEOらが協議した内容は、『いかにして、次の金融機関の破たんを防ぐか』だった」と回顧する。「リーマンが破たんした場合、さまざまな市場が直接受ける影響について、もっと話し合うべきだった」と述べた。
ニューヨーク連銀に当時集まった幹部全員は、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの問題や債務担保証券(CDO)などの証券化商品によって金融システムが崩壊の瀬戸際に追いやられたことは認識していた。しかし、彼らが見過ごした点によって、金融業界と世界経済はその後、ほとんど破壊されたも同然の姿となったのだ。
経済の血液
リーマンは昨年9月15日の月曜日に破たん。これをきっかけに給与支払いや光熱費含む企業の運転資金を工面するコマーシャルペーパー(CP)をやりとりする3兆6000億ドル規模の短期金融市場が凍り付いた。パニックで、一部企業は運転資金不足に陥ったほか、多くの人々の口座にも影響が出るありさまだった。
その週末をゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクフェインCEOやJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOら主要金融機関トップは、デリバティブ(金融派生商品)取引の解消や銀行間融資の継続に注力していたが、経済の血液とも言えるCP市場を無視した事実は高く付くミスとなった。
1週間以内に、米政府はマネーマーケット・ファンド(MMF)からの資金流出を食い止めるために介入し、1兆6000億ドル規模の業界支援につながった。大恐慌以来最悪の金融危機対策として約束した支援は総額で13兆2000億ドルに上る。
3月のベアー・スターンズ危機に始まり、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)、そして米保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の救済まで含めた2008年の大激震のなかでも、リーマン破たんによる波及効果を把握できなかったことが最も重大な結果をもたらした。世界経済が破滅寸前に陥ったからだ。
リーマンの破たん処理を担当する米法律事務所ウェイル・ゴットシャル・アンド・マンジェスのパートナー、ハービー・ミラー氏は米政府当局について、「金融システム全体を危険にさらしたが、そうする必要はなかった」と批判する。
「彼らには、わたしも『ハルマゲドンがやって来る。結果がどうなるのかの認識が甘い』と警告していた」が、当局からは「対応はできている」との反応が返ってきたという。
ポールソン、ガイトナー両氏ともコメントを控えている。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=aSiEUXi0CcWI&refer=jp_news_index