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出典 http://www.bloomberg.co.jp/news/column.html
【コラム】オバマ氏と鳩山氏、共通点は「米大学院卒」くらい−ペセック
9月2日(ブルームバーグ):仏銀BNPパリバの為替ストラテジスト、ロバート・ライアン氏は日本の総選挙での民主党勝利について、米民主党の「オバマ政権誕生のようなものではない」と評した。
半世紀にわたる自民党支配の終えん・政権交代にケチを付ける気はないが、評論家たちは次期首相になる民主党代表の鳩山由紀夫氏をオバマ米大統領になぞらえ、日本が本物の変化を迎えるのだろうかなどと議論している。これは先走り過ぎではないか。
民主党の勝利は別に不思議なことではない。政治家は選挙民を無視することはできないという常識が、日本でも通用するようになっただけだ。つまり、民主主義が日本でも、概念ではなく現実になったということだ。
ただ、鳩山氏は選挙結果が民主党の勝利というよりは自民党の敗北だった事実を忘れてはならない。野党が何をしようと、麻生太郎首相の自民党政権の延命を助けようとする努力は無駄な悪あがきだった。今や次の首相になることになった鳩山氏は、寄せ集めの軍隊を指揮して現代経済史で最大の難題に挑まなければならない。米スタンフォード大学で博士号を得た同氏にとっても容易なことではない。
ハーバード・ロー・スクール卒業のオバマ大統領の方は、好き嫌いは別にして、米国の方向転換の青写真を詳細に示し、実践を図っていることは確かだ。一方、日本の民主党は何を達成したいのか、どのように実践するのか、何を財源にするのかについて、いら立たしいほどあいまいだ。
鳩山さんへの宿題
政権交代は日本を変えるのだろうか。日本人の投資家や財界人、同僚、隣人との対話から感じる限りでは、答えは誰にも分からないらしい。とりあえず、鳩山「新首相」に宿題を出しておこう。
――景気を回復させよ。公的債務が既に国内総生産(GDP)の2倍に近く金利はゼロ付近のなかで、民主党は既存の予算のなかからより大きな成長を引き出す創意工夫が必要だ。
――社会保障の安全ネットを強化せよ。これは貯蓄大好き日本人の消費を促す鍵になる。
――競争力を向上させよ。日本が高い生活水準を維持する唯一の方法は、限られた労働人口からより多くの生産を引き出すことだ。
――人口高齢化に備えよ。日本では長く、教育水準の高い若い労働者が安定的に供給されてきた。労働力の質が変わるとき、税収への影響は極度に大きいだろう。
少子高齢化
――出生率を引き上げよ。人口減少は地球環境には優しいかもしれないが、経済にとっては大打撃だ。
――アジアと和解せよ。日米関係は決定的に重要だ。しかし日本は高い経済成長を成し遂げているアジアで、自身の居場所を確立する必要がある。第二次世界大戦の後遺症をすっかり終わらせ、近隣諸国の中での役割を拡大することが必要だ。
――経済の軸足を移せ。自民党は輸出主導の経済からの脱却を避け続けたが、新政権にとってこれは選択肢ではない。民主党は弱い円が国益との思い込みを脱するべきだろう。
――大胆になれ。米国民としてオバマ大統領がわたしを心配させるのは、今必要とされている経済システムの変革について十分に急進的でないことだ。鳩山氏は変化を何よりも嫌う官僚の手から、政治と力を取り戻さなければならない。
そうしなければ数年後には、政権の座を追われた今と同じ古臭い自民党政権が、返り咲いているかもしれない。日本国民にとってはありがたくない話だ。オバマ大統領の大胆さが足りなければ米国民の運命も同じだろう。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時 : 2009/09/02 17:31 JST