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UBS、スイス金融機関として初めてのカバードボンド発行(日本経済新聞)
チューリッヒ(ダウ・ジョーンズ)スイスの金融大手UBS(NYSE:UBS)がカバードボンド(担保付き債券)の発行を計画している。
好条件での資金調達に向けて、スイスの金融機関として初めてこの金融商品を利用することになる。
UBSにも大打撃を与えた金融危機の前は、格付けの高い金融機関であれば無担保債券の発行で資金調達が容易だったため、担保付き債券のコスト面での利点は乏しかった。だがこの2年で、銀行の長期資金調達コストは増加し、急増する場合もみられた。そうした環境の変化によってカバードボンドが魅力的な中長期の資金調達手段になってきた。
UBSがスイス金融業界が従来避けてきた資金調達手段に乗り出すのは、今回のカバードボンドで2回目になる。これまでには米住宅市場に関連する資産に投資し、その市場が崩壊して500億ドル以上を失っている。
UBSは昨年12月、住宅ローン会社に代わってカバードボンドを発行した金融機関から約20億スイスフラン(約19億ドル)の融資を受けた経験がある。スイス中央銀行がまとめ役を務めた取引だった。
この取引の一環として、スイスのリテール銀行はこのカバードボンドを購入した。これにより、流動性が過剰になっていた国内リテール銀行業界からUBSに資金が移動する流れが出来た。当時は信用収縮の影響で金融市場が機能不全に陥り、UBSでも銀行間市場での資金調達が難航していた。
それ以来、スイス中銀は同様の取引をいくつか仲介し、大手銀行のクレディ・スイス・グループ(NYSE:CS)もこの取引から恩恵を受けた。
UBSはロンドン支店を利用してカバードボンドを発行する。欧州資本市場での公募か、数回に分けて特定の第三者に割り当てる私募のいずれかの方式をとる。カバードボンド保有者への金利と償還金の支払いはUBSロンドン支店が行う。支払いの保証は、UBSが新設した子会社「UBSモーゲージ」(本社・チューリッヒ)が引き受ける。
この支払い保証を担保するためにUBSはスイス国内の住宅ローン資産をUBSモーゲージに移管する。売却ではなく移管であるところがポイントで、それら住宅ローン債権は引き続きUBSのバランスシートに残る。
カバードボンドは、金融機関が住宅ローンや公的機関向け融資の原資を調達する形式で金融機関自身が発行する。金融機関から切り離されることがなく、バランスシート上に残る高格付の債券であるため、金融機関はローン資産の信用の質を維持するよう求められる。
カバードボンドに関する特定の規定を満たすことを義務付けられる場合もある。住宅ローン担保証券(MBS)とは異なり、投資家は発行体と原資産の双方に対して債権者としての権利を主張することができる。
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