★阿修羅♪ > 国家破産64 > 345.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
預金超過の必然としての年金給付額の引き下げ(KlugView)
2009/08/28 (金) 13:17
日本銀行の「民間金融機関の資産・負債統計」によると、国内銀行の6月末の預金額は、過去最高の573兆円に達しました。一方、貸出金は431兆円と3カ月連続で減少しています。この結果、預金と貸出金の差額(預金超過額)は142兆円と、過去最高を更新しています。
民間金融機関にとって、預金が増えれば増えるほど資金の調達コストは大きくなります。一方、貸出金は、減れば減るほど、収益機会が失われることになります。
このため、民間金融機関は、貸出だけでは使い切れなかった預金を有価証券などで運用し、少しでも利益を捻出しようとします。ただ、預かった預金を減らすわけにはいきませんので、民間金融機関は、有価証券で運用するとしても、安全性の高いものを選ぶことになります。結果として、使い切れなかった預金の多くは、国債で運用されることになります。
国内銀行が保有する国債は、6月末時点で112兆円と、預金超過額の約8割を占めます。昨年6月の銀行の国債保有額は87兆円でしたので、国内銀行は、1年の間に25兆円も国債を買い増したことになります。
国内銀行がここまで国債を買い増せば、国債の利回りが低水準で推移するのも不思議なことではありません。長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、昨日(8月27日)に一時、1.295%と、約1カ月半ぶりに1.3%台を割り込みました。
8月28日の日本経済新聞には、「視界不良の企業年金」という囲み記事が掲載されています。この記事によると、厚生基金(企業年金)の6割は、年5.5%の利回りを保証しているそうです。国債の利回りはが2%に満たない以上、厚生基金は、国債以外の投資で運用利回りを確保する必要があります。
ただ国債以外の投資で安定的に高い運用利回りを確保することは困難です。公的年金は、09年4-6月期に株式投資で4.5兆円もの運用益を確保しましたが、その前の年度(08年度)は、9.6兆円もの運用損を被りました。いくら厚生基金が加入者に保証しているとはいえ、国債利回りの3%以上もの利回りを確保しようとすることに、そもそも無理があると思われます。
おそらく厚生基金は、運用がうまくいかなくても、積立金を取り崩したり、企業からの支援金などによって、なんとか給付水準を維持しようとするのでしょう。しかし、こうした手法が永遠に続くわけではありません。いずれかのタイミングで、厚生基金の多くは、保証利回りを低下させ、給付額を引き下げざるをえないでしょう。これは、銀行の預金が貸出金を上回り続けていることの必然といえます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
国内銀行が保有する国債の規模はどれくらい?(09年6月末)
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
112兆円
http://www.gci-klug.jp/klugview/2009/08/28/006596.php