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君子豹変し圧力か、それとも親日銀か−民主「政権」下の金融政策 8月19日
(ブルームバーグ):
衆院選が18日公示され、30日に投開票が行われる。下馬評では優勢が伝えられる民主党。同党を中心とする政権が誕生した場合、日本銀行との関係はどうなるのか、金融政策に影響はあるのか。エコノミストらの声をまとめた。
民主党の大塚耕平政調副会長は7日、衆院選のマニフェスト(政権公約)説明会で「中央銀行の独立性は十分に理解している」と述べる一方で、「経済や国の財政が破滅的な状況で、中央銀行だけが無傷な形で残ることもあり得ない」と言明。「財政当局と金融当局がマクロ経済政策運営の共通の価値観なり、アコード(政策協定)を見いだすことはあり得ることではないか」と語った。
白川方明総裁は11日の会見でこれへの感想を聞かれ、米国の中央銀行は1951年のアコード以前、財務省から国債価格の買い支えを指示されており、アコードによって逆に独立性を回復したという事実をさらりと紹介。日銀は既に新日銀法で独立性を与えられており、「経済金融の状況を毎回の会合で点検しながら判断していく以外に方法のない話だ」と述べ、日本版のアコードは必要ないとの考えを示した。
民主党政権が誕生した場合の日銀との関係について、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「民主党主導の参院が白川総裁と山口広秀副総裁の誕生に実質的に寄与したことを考えると、基本的に良好だろう」とみる。昨年春の日銀総裁人事では、民主党が武藤敏郎前副総裁の総裁昇格に反対し、先に副総裁に任命されていた白川総裁に白羽の矢が立ったという経緯がある。
自民党政権下ではさまざまな圧力が
自民党政権の下では、日銀の金融政策に対して幾度となく圧力が加えられてきた。古くは旧日銀法下の1992年2月、同党の金丸信副総裁が「日銀総裁の首を切ってでも利下げさせる」と発言。日銀に独立性を保証した新日銀法施行後も、99年2月に野中広務官房長官が会見で日銀に国債購入を要請したほか、2006年から07年初の利上げ局面では、中川秀直幹事長が強い反対の意向を表明した。
元日銀審議委員である大和総研の田谷禎三特別理事は「これまでの民主党の主要な人々の言説から判断すれば、自民党より日銀の政策に対する理解はあるように思われる。特に、政策の独立性に対する配慮はあるようにみえる」と語る。
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストも「民主党政権が誕生した場合、当面は金融政策の独立性を尊重するスタンスを示していくと思われる」と語る。ただ、来年度も財政刺激策を継続するとなると、さらなる国債増発の恐れがある。それをきっかけに長期金利が上昇するようなことがあれば、「政権と日銀の間で摩擦が生じるかどうかが注目される」と加藤氏はみる。
民主党政権下でも圧力の可能性も
JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「民主党が積極的な財政政策を採用した場合、国債増発により長期金利に一定の上昇圧力が働くだろうが、潜在成長率の低下とデフレ継続見通しの下では、長期金利の上昇幅は限定的だろう」と指摘する。
ただ、「国債増発による当面の利払い費負担の増加は小幅にとどまるだろうが、これがさらに政府の財政規律の後退をもたらすという悪循環に陥りやすい。最終的には、金利の小幅上昇でも利払い費が急増するぜい弱な財政構造になる危険性が高い」と指摘。その場合、「民主党政権といえども、長期金利の上昇を回避する目的から、日銀にさらなる国債購入を求めてくる可能性が高い」とみる。
一方、民主党政権下での方が日銀は利上げしやすいという声もある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストによると、「自民党の伝統的支持者は主に『既存の生産者』であり、それゆえ自民党政権は利上げに対してアレルギーが強く、日銀が利上げを模索する際には政治的な圧力にさらされる局面が幾度か生じた」。
未知数多く、不透明
これに対して、「政策の焦点を『生活者』に当てている」のが民主党であり、「超低金利や円安が家計部門から利子所得や実質購買力を大きく奪ったという認識を強く持っている」と河野氏。このため民主党政権下では、「循環的な景気回復が明確になれば、利上げには慎重な態度は取らない」とみる。いずれにせよ、民主党政権が誕生した場合の政策運営には未知数な面が多い。
日興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「これまでの民主党議員の国会での発言等はあまり参考にならないのではないか。他の政策と同様、『現実路線』に回帰する可能性が高い」と語る。野村証券の松沢中チーフストラテジストも「民主党は現在、日銀への不介入、追加緩和策の不必要を主張しているが、政権党になった場合、このスタンスを堅持できるかは不透明」とみている。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=aDyUb5nGLgeg&refer=jp_japan