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http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003001&sid=a0M3dAKI9fS4&refer=commentary
【経済コラム】新たな準備通貨はドルの6700マイル向こう−ペセック---(ブルームバーグ)
8月13日(ブルームバーグ):新たな準備通貨探しをめぐる議論に耳を貸すのはもうやめよう。すでに円と呼ばれる通貨があるからだ。
笑わないでほしい。このアイデアを没にする前に、投資家が安全な投資先と見なしたために円が上昇していることを思い出してほしい。円がセーフヘイブン、つまり安全な避難先の地位を享受していることは、最近の経済ニュースでもおなじみだ。もちろん日本経済の現状とは食い違いがあるのだが。
日本はリセッション(景気後退)に陥っており、デフレも進行中だ。政府債務の対国内総生産(GDP)比率は200%に近づいている。もし20年間の冬眠から覚めた投資家がいたとすれば、現在の日本のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を見た途端に逃げ出してしまうことだろう。それでも円はドルに対し過去1年間で14%上昇した。
この矛盾が浮き彫りにしたポイントは3つある。1つ目は現在の状況が異常なこと。2つ目は、準備通貨の在り方を見直す必要があること。3つ目は、円上昇を過度に期待すると裏切られる恐れがあることだ。
1つ目のポイントは最も興味深い。ドル弱気派の投資家が円買いによってかなり着実に利益を上げているのは確かだ。日本は構造的な問題を抱えているが、この国には特有の安定感があり、大きなショックは数週間や数カ月でなく、数年や数十年の単位で消化される。
とはいえ、円が「世界的な狂乱の中にある繁栄のオアシス」と受け止められているのは、現状が異常なためだ。過去20年間にわたり先進国とのつながりが弱かった日本が、本当に投資家の退避先となり得るのだろうか。
狂乱の18カ月
ベアー・スターンズが立ち行かなくなって以降の1年半は、投資家や政策当局にとって狂乱の18カ月間だった。大恐慌再来の観測、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破たん、旅客機でエコノミークラスを使うウォール街のバンカー、自動車業界への政府介入、英ポンドの急落、米国債を購入して米国を国家破たんから救う中国−。具体例は枚挙にいとまがない。
そして今、UBSのブライアン・キム氏(米コネティカット州在勤)は「リスク許容度が低下した場合でも、円の方がユーロよりも恩恵にあずかり続けることになる」と指摘する。キム氏ら為替ストラテジストの見方は「円は旬」という為替市場の共通認識にすぎない。
2つ目のポイントは、さらにやっかいだ。もし20年間の冬眠から覚めた投資家が、米国のバランスシート(貸借対照表)を見たら、この投資家は米国を途上国とみなし、投資を手控えるだろう。ゼロ金利、巨額の債務、最近になってようやく上向いたとはいえなお低い貯蓄率−。「ドルは準備通貨」と胸を張って言うことは到底できない。
信仰体系
それでも、好むと好まざるとにかかわらず、ドルは準備通貨だ。中国やロシア、湾岸諸国がドルを敬遠しているのも口先だけだ。一国の通貨がいったん準備通貨になると、その国のファンダメンタルズはほとんど無視され、群集心理が醸成される。ドルが準備通貨であるという事実は、自己達成的な信仰体系に深く根付いている。
ある意味、ドルが崩壊しないのは、崩壊できない理由があるからだ。そんなことが起これば、影響はあらゆる資産クラスに及び、世界経済は手に負えないコストを払わされることになる。だからこそ格付け会社は米国の最上級「トリプルA」格付けに触れるのを避けているのだ。このためドル不安説にはことごとく「間違い」のレッテルが貼られることになる。
スイスの中央銀行は、スイス・フランをセーフヘイブンとする市場の認識を自らの努力ではねのけた。ノルウェー当局も同じだ。一方でユーロは、経済面でさまざまな問題を抱えており、ドルに代わって準備通貨となる用意ができているようにはほとんど見えない。
円資金調達
そこで注目が集まるのが円だ。円資金の調達コストは安い。低金利の円資金を調達し、海外の高利回り資産に投資する円キャリー取引にかかわった人なら誰にでも分かることだ。
果たして準備通貨は本当に必要だろうか。各国政府は新たな準備通貨の検討を進めている。しかし準備通貨は政治家が決めるものだろうか。準備通貨をワシントンで印刷するか、6700マイル離れた東京で印刷するかを決めるのはマーケットになる可能性が高い。
ただ日本には円を世界の準備通貨にする政治的意思がない。本当に注意しなくてはならないのは、日本経済の見通しが不安定なことだろう。例えばスイス・フランは長年にわたり政治的安定の恩恵を受けてきた。8月30日の衆議院選挙の結果、日本経済が長年続いた低迷期から抜け出すかどうかは不透明だ。
最近は円売りで大幅な利益を上げた話をほとんど聞かない。だからといって、円が下落する番が今後数年以内に訪れないという保証はない。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニスト。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時 : 2009/08/13 15:54 JST
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(コメント)
金融資本家の最終目的は各国通貨が並存した上で、SDRなどの仮想的な「世界通貨」を誕生させ、それに順次置き換えていく事です。
しかし基軸通貨たる「ドル崩壊」という形での世界通貨の誕生では、それまでに蓄積した富が消えてしまいます。
また、急激な変動は世界の経済システムに取り返すことができないダメージを与える事となります。
したがって、これから10年〜20年程度のスパンをかけて人為的に通貨危機をつくりながら、世界各国の通貨当局が準備資産を多様化するように仕向ける事でしょう。
最終的には統一された「世界通貨」を流通させる事が目的ですが、その為には世界中の通貨当局が準備通貨を多様化する必要があります。ドル国債だけが流通し、準備されている状況はマズイのです。
中国やロシア、ブラジルやインドなどの新興国が世界の金融市場から自由に資金を調達できるようになると、どのような事になるか・・・・
詳しくは書きませんが、結局は金融資本家は今よりもはるかに儲かるようになると言う事です。
貿易や金融取引が世界に拡大し、世界経済は多極化しましたが、通貨の多極化、世界通貨の創造はまだ、なされていません。
それが実現した時にだれが儲け、だれが損をするか言う点は重要だと思うのですが・・・