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http://59155480.at.webry.info/200901/article_2.html
<マイクロ・クレジット>、<グラミン銀行>、そして<ソーシャル・ビジネス>。 日本の金融常識からおよそかけ離れたこの三つに今世界の注目が集まっています。
6日付けの朝日新聞に、バングラデシュで無担保少額融資制度(マイクロ・クレジット)を創設し、06年にノーベル平和賞を受賞した経済学者、ムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus)氏へのインタヴュー記事が載っていました。
ユヌス氏は、「利益の最大化を目的とするビジネスだけに市場を使ってきた経済システムの再設計が必要だ」と語り、グローバル化や資本主義の現状に疑問を投げかけています。
グローバル化において、「問わなければならないのは、正しいグローバル化か、誤ったグローバル化かということ。強く豊かな者がすべてを取り、弱く小さい者は何も手に入らないのではなく、公平に分け前を取れるようにすべきだ」
「金融制度をただす前に、それを生んだ資本主義をただすべきだ。私たちは資本主義を誤って解釈している。 ビジネスとは金もうけのことで、利益の最大化がその使命という。 この解釈は人間を金もうけの機械と見なす、誤った解釈だと思う」
「すべての人間には利己的な面と、無私で献身的な面がある。私たちは利己的な部分だけに基づいて、ビジネスの世界を作った。無私の部分も市場に持ち込めば、資本主義は完成する。私はそれを<ソーシャル・ビジネス>と呼ぶ」
ソーシャル・ビジネス(SB)とは?
「投資家は特定の社会問題の取り組みに投資する。
SBは損失も配当もない。社会に貢献する目的を持つ会社だ。
貧困解消や健康、貧しい人の住宅問題、
環境問題など様々な事柄に取り組める。
投資した金は、可能な期間で会社に元本を返済してもらう。
利益を生むかもしれないが配当を受けない。
金銭的利益ではなく満足感を得る。
会社の利益の使い道は、ビジネスの改善、拡大に使う。
会社自らは利益を取らない。
従来の慈善事業への寄付の代わりに、SBへ投資する
人間の二つの面(利己的な面と無私な面)が
ともに機能する資本主義を完成させる必要がある。
利益の最大化を夢見る眼鏡を外し、SBの眼鏡をかけてみてはどうか。世界が全く違って見えるだろう」 (図および 「 」 朝日新聞1月6日より引用)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昨年だったと思います。 ユヌシ氏が総裁をつとめるグラミン銀行によるマイクロ・クレジットの利用により、最貧困層から脱してゆくバングラデッシュの人々についての特集番組をテレビで見ました。
<ホントにすごいなぁ!こうした理念に裏打ちされたしっかりした金融・融資システムがあれば、どんなに貧しくても、また虐げられた階層にいても、新しい世界へ踏み出すことができるんだ!>と感動しました。
マイクロ・クレジット(マイクロ・ファイナンス 小額融資)とは、 既存の銀行が融資しない貧困層を対象に無担保で小額を貸し付ける制度。貧しい人々が、融資を元手に自立のために起業し、貧困から脱出することを目的とする。
ユヌス氏らが1976年に始め、世界100カ国以上で実施されています。
グラミン銀行の定例会、地区のワークショップで話し合う女性メンバー
「グラミン銀行の女性メンバーは、公教育を受けた経験がまったくないか、初等教育までが、圧倒的に多い。さらに、若くして結婚し、家からなかなか出られないため、家族や狭い地域社会以外から、何かを学ぶ機会に極端に恵まれていない。 ワークショップは、このような女性に、学びの機会を提供している」*そうです。
その日暮らしでかつかつだったChaibia さん↑ マイクロ・クレジットの利用で衣服を売るビジネスを軌道にのせる
先進国に暮らす私たちは、貧しく恵まれない人たちにたいし、<寄付やチャリティ(慈善行為・事業>をよくします。
それはそれでとても役に立っているのではないかと思いますが、ユヌス氏はつぎのように考えています:
<返済を伴わない援助は貧困に対して無力である、慈善は貧困を救えない。貧困がなくなるには、究極的には一人ひとりが自ら自分の経済をコントロールする力と自尊心を持ち、自立することが大切である>
<チャリティ(慈善)で貧困をなくすことはできない。 貧困を克服するのは、一過性のチャリティではなく、循環的なシステムである>と。
つまり慈善(援助)ではなく融資システムを、と提言。 たしかにそうですね、一過性のアクションや愛の精神だけではどうにもなりません。 構造を変えるには、しっかりしたシステムが必要です。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
さて、冒頭の朝日の記事の「ソーシャル・ビジネス」。
新聞では、「ユヌス氏が総裁を務めるグラミン銀行のグループ企業はすでに、乳製品の仏大手ダノンや世界最大の仏水道事業会社ベオリアとの合弁で栄養価の高い安価なヨーグルトの販売や安全な飲料水の提供にあたる複数の会社を設立した。仏企業側とは、これらの事業から利益を得ないことで合意しているという」
ユヌシ氏が日本にも呼びかける「利益を追わぬ投資」。 金融危機のなか、はたして呼応する勇気ある企業や法人は出てくるのでしょうか?
世の中にはいろいろな人がいますね。 自分の仕事に応じてなるだけ高い報酬を得たい人(儲けたい人)もいれば、人々に貢献する社会的な仕事を優先させたい人、あるいは、芸術など好きな仕事だけに没頭したい人、などさまざまです。 個人の選択の自由のなかで、ソーシャルビジネスを、従来型の企業ビジネスや個人ビジネスと共に発展させ共存させていくことができればいいのになぁ と思います。
かつて古代社会でありふれたものであった奴隷制を、21世紀の私たちは、おぞましく野蛮で非道な制度だと考えています。しかし、たとえば古代ローマ社会では、奴隷の存在を当たり前としていた人が大半だったのです。
アメリカだってようやく1862年に奴隷解放宣言なんですから。
それと同じように、22世紀、23世紀、24世紀の人たちが、20〜21世紀の状況を見るとき、たとえば、リーマン・ブラザーズの元経営陣のやり方や、弱者を切り捨て自分たちだけが儲かればいいという強欲主義を、そして「利益の最大化だけを目的とするビジネス」のあり方を、なんとおぞましく野蛮で非道なものだと考えるかもしれません。
社会通念や価値観は、歴史の推移のなかで移り変わりますね。
金融危機で雇用不安のなか、日本でも新たな方向への模索がされています。 ムハマド・ユヌス氏の活動とソーシャル・ビジネスについての提言は、旧弊なものを打ち破り、普遍性をもつ新たなパラダイムを予感させるもの。
新年早々嬉しくなりました。
世界にはガザなど大変なことがいっぱいあるものの、それでも少しずつ少しずつ、確実に動いているなぁと感じます。 アフリカ系のオバマ大統領の誕生でもわかるように・・・・
ユヌス博士、インタヴューと博士自身によるソーシャル・ビジネスの説明(英語)
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参考
* 「グラミン銀行を知っていますか」 坪井ひろみ著 からの引用
ムハマド・ユヌス氏関連項目へ
@ ニュース グラミン銀行を利用した人たちのレポート
A グラミン銀行訪問
B ダノン( Danone ) のソーシャル・ビジネス (ヨーグルト) 英語
C グラミン銀行 HP 英語
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